年月に関守なし…… 

古稀を過ぎると年月の流れが速まり、人生の終焉にむかう。

隅田川:潮入の景観

2009-03-20 | フォトエッセイ&短歌
 浜離宮庭園は芝離宮庭園と同じように「潮入の池」である。池と海をつなげ満潮・干潮の水位の変化が池の風景を変える趣向になっている。海辺の庭園でよく用いられる様式である。
 芝庭園はその遺構しか残されていないが、浜離宮は現在でも唯一の「潮入の池」として現役である。そのために、池にはボラをはじめ、セイゴ、ハゼ、ウナギなどの海水魚が棲んでいる。池の上空にはカモメの舞う姿もみられる。

<中の島に至り「お伝い橋」を越え対岸までを結ぶ118Mもある総檜造りの橋>

 海水引き入れ口は隅田川の河口、江戸湾に接する所にある。水位の上下を調節するのが水門である。水門から流入した海水は「潮入の池」の中の橋を引き立てたことだろう。
 幕末、この浜御殿に外国人接待所として石造洋館の延遼館が建設された。幕府滅亡と共に宮内省に接収され浜離宮となるのであるが、1945(昭和20年)年11月 GHQの要請により東京都に解放される。GHQは細かな事にまで指令・勧告をしていた事がわかる。

<海とつながる水門からは、お台場と晴海を結ぶレインボーブリッジが望まれる>

 「江戸の日本橋より唐・オランダまで境なしの水路なり」と林子平は『海国兵談』に記して処罰された。鎖国の世にあって卓見である。「潮入の池」は日本橋から江戸城の濠に流れ、江戸湾からオランダに通じているのである。
現在、内堀の海水を止め石垣の改修復元工事が進められている。



<内堀改修中で構造が観察できる絶好の機会。石垣のフジツボが確認出来る>