経営コンサルタント田上康朗の雑感帳

経営コンサルタント田上康朗が、気ままに本音で記す雑感帳です。書く日もあれば書かないときもあります。

友達の多い人~我が家の楽園

2007年07月28日 | Weblog
 映画は、私にとって師である。友である。父である。母である。妻である。別の人生である。そして単なる時間つぶしでもあるし、時には隠れ家、逃避先でもある。

 毎日見る。見てから寝る。寝ていて夢でもう一度、見ることがある。

50年経て著作権の切れた映画が、ITのニフティやヤフーの動画WEBで無料放映されている。それまでは、ツタヤの店やWEBでレンタルする以外方法がなかった。ところが1930-50年代の古い作品見る人は、恐らく稀有なのであろう。よっぽどの幸運に恵まれないと見つけることができない。それが少しづつDVD化され、ツタヤなどの「名作コーナー」に並ぶようになった。

 嬉しかった。

 1週間レンタルで10本も借りて、睡眠を削って見続けた。それでもDVD化されているのは、当然のことだがDVDとして、数多く売れる作品だけである。やがて、それも底が尽きた。レンタルが止まったのである。
 
 前後して、ITでの無料放映が開始された。以来毎日、必ず1本は見る。急がねばならない理由がある。それは、放映期間に制限が付いているからである。せっかくリストアップ登録していた、「我らが町」など、無惨にもリストから流れてしまった。
 昔、一度見た記憶がある作品は、見ていない作品を優先するので、こうしたミスをやらかすのである。

 昨夜、1934年「或る夜の出来事」、1936年「オペラハット」に続き、1938年アカデミー賞監督賞を受賞したフランク・キャプラ監督の、「我が家の楽園」を、見た。

 この作品は1938年、第二次大戦開戦前夜の作品である。全篇を貫くヒューマニズム、おおらかな反権力性、等、アメリカの民衆の善意があふれている傑作である。
 何度もテレビ等で再放送されているので、過去、どこかで見たような、といった思いをする、といった人が多いのではないか。私も、そうした無意識に見たような、という思いで、昨夜ヤフーでみた。

銀行王カービー(エドワード・アーノルド)は、軍需工場拡大のため不動産屋に命じ地上げのため、用地買収しようとするが、ある一家の反対でうまくいかない。
 カービーのぼんぼん息子で副社長のトニー(ジェームズ・スチュアート)は秘書のアリス(ジーン・アーサー)に夢中で、親の仕事に無頓着。だがアリスこそ、その地上げをこじらせている一家の総領 ヴァンダホフ老人(ライオネル・バリモア)の孫娘であった。

金持ちと偏屈一家の交流を通して、笑いの中に人生の機微を見え隠れさせていく。人生とはそうあくせくするものではない。人生で、何が大切なのか考えてみよう」という問いかけ、そして、最後に「人生で一番大切なものは、友と家族」という、フランク・キャプラ監督の強い思いを打ち出す、といった主張は、「素晴らしき哉 我が人生」と同じである。
 裁判官が、被告となるヴァンダホフ老人に対し「実に友達の多い人だな」と、あきれつつ感嘆するシーンなど、思わず同調してしまう。

 例によって、悪人の出てこない、暖かい微笑ましいシーンが随所に盛り込まれ、2時間の間だけでも、楽しい気分に浸れる。
 ラストのハーモニカの合奏のシーン、表現は違うが「素晴らしき哉 我が人生」でのラストシーンを彷彿させ、わかってるのにジーンとする。
 最後は、銀行王カービーの巨体とこわばっていた顔が、まるで一変。柔和なお人好しのおじさんの顔、姿をUP。
 素晴らしい後味と余韻を、見る者に残し、エンドマーク。

 心の底に大切に採っておき、時折取り出して、我が人生を慈しみたい。そんな思いがする作品である。

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