経営コンサルタント田上康朗の雑感帳

経営コンサルタント田上康朗が、気ままに本音で記す雑感帳です。書く日もあれば書かないときもあります。

幻想の中で

2009年04月01日 | Weblog
この不況、そして対応について
書いておきたいことがある。

それをスーパー業界に例を取り、話を進めたい。

スーパーチェン業界の歴史は、システム化であった。
それは端的に言えば標準化、同質化、マニュアル化。
裏返せば、それによる人員削減。

コスト削減のためには地域特性など無視(店舗標準化)、
そして鮮度などを犠牲にした集中一括仕入れ、
物流センター集約,一括配送などなど。
とりわけ物流センタなど、結果として品質の劣化をなす何者でもない。

つまりコスト削減の手段として、消費者に不利益を成す行為を、
高邁な理論を背景に行ってきた典型的な天動説型企業なのだ。
結果はどうか。
寿屋、ヤオハン、ダイエー、マイカル、ニコニコドー、どんどん潰れた、

消費者は、企業の高邁理論にもシステム化にも全く関心はない。
それらが結果として自らの利となるかどうかで選択をする。
その結果、スーパーチェンに背を向ける行動を起こした。
当然である。

消費者が背につくか、背を向けるかといった論議の範疇外の論理が、
いかにむなしいものであるか典型的な事例である。

そうしてたことで多くの企業が消えていったが、
それはその根本理論が、消えてことを意味しない。
今なお大なり小なり多くの企業で、その高邁理論を支えに、
依然として、その幻想的似非経営思考が、
多くの経営者の占領しているのである。
 
述べるまでもないことだが、消費不振は、
作り手、売り手側と消費者との乖離で発生する。

供給≠需要

この綱引きは多勢に無勢の力関係で右辺の勝ち。
これで困るのは供給側だ。

工業的発想を根拠とするこれらの論理、思考は、
そもそも、人は皆一人一人が違うということを
「考えないでおこう」ということを前提に
最高の効率を求めようといった論理である。

これは、他の人のことはともかくこの私のことを
「考えて欲しい」という消費者と相反する論理である。

「考えないでおこう」≠「考えて欲しい」

この綱引きは多勢に無勢の力関係で右辺の勝ち。
これで困るのは供給側だ。

需要があって供給がある。購買があってその結果売上が発生する
他動説と自動説、多勢に無勢、さまざまな普遍の原理からみて、
かっての共産主義同様、現実的には成り立たない
理論であることは、もはや明快である。

そのことは良しとして、問題は、
先にふれたが依然その幻想理論に洗脳されたまま、
あるいは信奉したまま、その幻想の中で
一生懸命努力している人たちが大勢いることだ。

依然として未だ主流を占めているのではないか。
そのことで消費者が購買をしない、
それで消費不況、デフレが起きた。

それが、この大不況の根本にある。
そう私は、見ている。以下、後日。