経営コンサルタント田上康朗の雑感帳

経営コンサルタント田上康朗が、気ままに本音で記す雑感帳です。書く日もあれば書かないときもあります。

姉歯事件、よどみと不透明さが、消費者の不安を募る

2005年11月22日 | Weblog
業種別に企業倒産の多い順位は、おおむね決まっている。1に、不動産を扱う企業、非流動性企業会社、いわばよどみと重たい企業である。 2に、見えない部分が多いところである。これには情報不開示、それに物理的に第三者が見ることの出来ないモノを扱っているといったことも含めてほしい。
 これをひとことでいえば、うさんくさい部分が大きい、という。

 前者への対応としての経営者の仕事は、企業をあらゆる意味で流動化することである。そのシクミをつくることである。指標としては、設備の生産性、キャッシュやモノの回転率をあげ、ROCE(総資本利益率)をあげる経営をめざすこと。
 B/Sは縦を短く、小さくすることにつきる。LPは消費者に関係ある費目とそうでない費目と2つに分け、前者の比率を限りなく高くしていくこと。

 つまり短く、単純、そして売上貢献度の高い決算書をめざすことである。例えば、資産を小さくするにはどうするか。議論や会議で減るわけではない。ダイエットの本をいくら読んでもダイエットは不可能である。町を歩くことだ。行動することだ。 動けば,喉もかわいてドリンク飲みたくもなろう。
 そうすれば金が動く。これが経済である。

 前者への対応としての経営者の仕事は、企業をあらゆる意味で透明化、世間の目に晒す状態にすることである。そのシクミ、仕掛けをつくることである。

 たとえば建築関係などその際たるものである。自分の家の設計図すら見たことのない施工主は多かろう。ましてや、多くの人は、自分家の中の鉄骨、天井裏が耐震強度がどう、など検証もできない。

 だから今回の手抜きした設計士事件など怒るべきして起きた、といえるが、この事件の影響がとてつもなく大きいと考える理由を、まさに「不透明さ」にある。

 見えない部分を見えるように持っていく以外に対策はないのだが、見えないことで儲かっていたとしたら、これは業界を揺るがすほどの大きな問題になる。なぜなら、生活者の不安、恐怖といったものは、見えないが故に大きくふくらむからである。

 建設に限ったことではない。医者など最たるモノだ。飲食業もそう。中に何が入っているかわからない。だからそこへ工夫がない企業は、不安が潜在的に存在するとみる。作った人が、見える形で信頼が置ける人だ、といったことが裏書きが必要だし、表書きとしては、素材の出身産地まで細かく明示しておくといったことが、対策になる。製造業はもしかり。

 今回の事件を、業界と見るのではなく、こうした1に流れが鈍い、2に不透明、ることで、自企業飛躍のきっかけになる。風は追い風だけではなく、向かい風も活用する。また風邪は、人がを引いたのを見て、自分の風邪予防のに使う、といったことである。こうしたしぶとさとともに、他人事として見ず我が身の襟を正すといった理解を竹刀と、世の中は良くならない。

 今回の事件は、設計技術以前の、人間としての信頼性が、過去の彼の仕事からそれだけ浮かび上がってくるか、という根幹の指標をより重要視されねばならない、ということが明らかになった、といえる。