JA6VQA 日々新たに

趣味のアマチュア無線で海外との交信や写真などを中心に、日々感じることを書き綴ってみます。
 

岩井三四二著「タ」は夜明けに飛んだ

2022-03-07 16:39:00 | 読書
 久しぶりに文庫本の新しい本を買いました。
 最近はもっぱらKindol版で購読しております。新刊本はKindol版がありません
から書籍を買うしかありません。

 さて表記の「「タ」は夜明けに飛んだ」は日露戦争の勝利に向けた日本独自の
無線機の開発物語です。
 「タ」は「敵艦隊発見」を意味する連合艦隊の暗号。
 バルティック艦隊を迎え撃つ連合艦隊の信濃丸から三六式火花送信機から発せ
られた「タタタタタ 二〇三YRセ」電文。二〇三は位置、YRは信濃丸の符号。

 物語は科学者 木村俊吉 国産の無線機の開発に尽力し、日露戦争の海戦の
影の立役者になった人物です。
 すでにマクセエルの方程式で電波の存在が予言され、ヘルツが電波を発見し、
マルコニーが英国で会社を設立し、無線機の特許を取得していた時代、日本では
逓信省の松代技師が火花式の無線機を独自に試作していた。
 日清戦争時に初めて経験した海戦から無線機の有用性を認めた海軍がこの無線
機に注目し木村俊吉を招聘して、本格的に開発に乗り出した。
 強い火花を発生するために、耐圧の高いインダクションコイルの開発、コヒー
ラ管の改良、さらに全く理論的動作がわからない中でのアンテナの改良など、
その苦労話が物語です。
 陸上に設置したアンテナの距離を伸ばしての通信実験。さらに艦船に設置した
ときの無線機やアンテナの設置方法など通信距離「80海里」が当面の目標。
 陸地に設置した無線機、アンテナの通信距離はすでにマルコニーはドーバー
海峡を越えて成功していた時代、高価な値段を吹っかけてきたマルコニー社の
無線機は論外と国産にこだわっての開発が続き、バルティック艦隊の発見に間に
合うゲルマニュウム検波器や真空管が発明される前の時代の先人の苦労がしのば
れる。
 もちろん物語ですから、清国との海戦、連合艦隊のバルティック艦隊との海戦
も詳しく述べられているので楽しめました。

                                                                                                                 
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