戦場では日々
多ぜいの若い兵士たちが
亡くなっているというのに
ラジオは同じ言葉を繰りかえす
「西部戦線異状なし」
女優、佐久間良子が唄う「リリー・マルレーン」の冒頭の詩。
CD「なかにし礼と12人の女優たち」から。
映画は1930年につくられ、アカデミー賞を受賞している。
DVDレンタルを借りて観た。
第1次世界大戦におけるドイツと連合軍の戦いを、ドイツの若者の視点からえがいている。
「愛国心」を強調する教師に感化され、われ先と志願する青年。
当時の「塹壕戦(ざんごうせん)」のすさまじさ。
クラスメートが次から次へと戦死していく。
ポールが塹壕で刺殺した敵兵のポケットからでてきた妻と娘の写真。
動揺するポール。
休暇をとって故郷に帰ったが、相変わらず教師は「祖国に殉じるのは、うるわしき名誉なり」、「祖国が呼んでいる、勇士を求めている」と、子どもたちを煽っている。ドイツが負けているとも知らずに。
傷ついたポールは再び西部戦線にもどり、古参兵のカットとともに、・・・・・衝撃的に幕を閉じる。
モノクロの映画で、CGもないが、すさまじい迫力である。
人が人と殺し合う。こういう事なんだ、とわかる映画でもある。
日本では学校現場で、やたらと「愛国心」教育が強調されはじめている。
安倍首相は、中国などの「脅威」を強調し、「安全保障環境の悪化」を訴えている。自衛隊の、シームレスな、切れ目ない対応が必要だと訴えている。
7年前、道東の矢臼別演習場で「カムイの砦総合戦闘力演習」が行われた。陸上自衛隊が「塹壕」を27キロも掘った。空からの写真まで示し、成果を強調していた。報道によると、この時、幕僚長は「穴を掘って施設を作り上げる訓練は、イラクで行ったような復興支援活動にも役立つ」と意義を述べたことが報道された。
なにやら「西部戦線異状なし」の映画がダブってくる。
「戦争法案」の実際の中身は、アメリカ軍と一緒に、世界中の紛争地帯に自衛隊員をシームレスに、切れ目なく、派兵するものとなっている。
あなたはまだ 帰らない
瞳をとじれば 聞こえるあの声
愛しい リリー・マルレーン
愛しい リリー・マルレーン
新たな「リリー・マルレーン」の歌をつくらせてはならない。
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