ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2011.7.28 予定を入れることは“希望”を入れること

2011-07-28 21:47:24 | 日記
 7月23日の朝日新聞で「政治時評2011 オピニオン」という記事に目がとまった。ゲストは「希望学」提唱者・玄田有史さんで、ホストは同じ東大教授の宇野重規さん。玄田さんは、先日読んだ岩波新書「大震災のなかで」にも寄稿されておられた方だ。今回のテーマは「東日本大震災の被災地に希望はよみがえるか」というものだった。

 玄田さんが被災地に送って喜ばれたのはカレンダーだった、と述べておられる。「希望って明日をどう生きるかみたいなところがある。明日何をして、来週何をして、と自分で刻んでいく。被災地の人たちがカレンダーを求めるのは、被災の中の希望を象徴している感じがした。」と言っておられた。そして最後には「希望は自分たちの手で作るもの。社会、政治の関心は移ろいやすい。でも、被災地の人たちにとって復興の道のりは長い。苦しくても途中であきらめず、カレンダーに書きこんだ希望を被災者自身がかなえていくしかない。極端にいえば被災しなかった人は何もできないんです。・・・」と。

 この「被災者」が自分を含む「患者」に、また「被災しなかった人」が「健康な人」に、すんなりと読み替えられる気がした。
 私は夫に「あきれるくらいスケジュールを一杯にしないと気が済まない人だ。」と言われる。確かに真っ白なスケジュール帳はちょっと心もとないというか、落ち着かないのは事実。けれど、再発して以来、そうそう先のスケジュールまで一点の気持ちの曇りもなく入れることは憚られるようになった。そもそも来年の話をすると鬼が笑う、とも言うが。
 そうはいっても、概ね3ケ月から半年くらい先の“楽しむための”予定は、今のところ、どんどん入れてしまっている。家族との旅行や「プチ虹のサロン」の月例会、3月に1度が定例になりつつある「つぼみの会」やら、年に1度の合唱の予定もそうだ。こうして薬が奏功して小康状態が続いていると(もちろんマーカーがじわりじわりと上がっているとか、1年も経っていないポートが不調だとか、考え出せば暗雲垂れこめる事態が全くないわけではないのだけれど)、年末はどこどこに行ってみようか、もし今度の9月末の海外旅行で自信がついたら、もうちょっと長く遠出をしてみようか、くらいの欲張りな気持ちはある。
 けれど、来年度の入学式やら何やら、仕事上の諸々のスケジュールを入力している時、休薬の週を考えながら日程を調整する時、ふとこのスケジュールでちゃんと治療が出来、ちゃんと働くことが出来ているだろうか・・・と不安になることも、当然ある。

 予定を入れることは、“希望”を入れること。こうして予定を入れて、それを目標に体調管理をしながらきちんと治療を続ける。そして、その予定を一つずつ実現していく。そうしたらまた、次の予定を入れる。こうすると前向きに日々が送れるように感じている。

 4年ほど前に、高校時代の後輩の訃報に接した。卒業してから個人的なお付き合いはしてなかったけれど、新聞記者になったということは風の噂で知っていた。亡くなったのは肺がんの再発・転移で、40代半ばだった。その彼女が、亡くなる3日前に自らが立ちあげた活動を紹介する本の見本刷りを持って訪れた人の前で、出版の打ち上げの予定を書こうと手帳を開いたそうだ。人はどこまでも前を向いて生きて行くんだと、その時居合わせた人は感じた、というネット記事を読んだことを思い出した。

 先日頂いたコメントのお返事に書いたことがあったけれど、当面の私の3つの目標は、もう来週に迫った、息子を無事ホームステイに送り出し、その間は夫と小旅行等をしつつ元気に過ごすこと、9月末に勤続25周年の休暇を利用して5年半ぶりに家族3人で海外旅行に出かけること、10月半ばに3年連続となる大学の校友会音楽祭の合唱舞台に乗ること、である。

 さて、最近、夜遅くまで起きていられなくなった。やはり夏場の暑い時期、1日職場に出て、夕飯を作って、片づけをすませる時間になると、もう本を読んだり何か別のことをしたり、という元気が残っていない。夕食後にゆっくりお茶を飲むこともなく、そそくさとお風呂に入るともう横になりたくなってしまう。だからといって翌朝すっきり早起き、というわけでもないのだけれど。体力が落ちたなあ、と実感する。まあ、体が要求しているということで、無理に夜更かしをして頑張ろうとは決して思わないけれど・・・。
 今日は気圧のせいか、夕方から頭痛がひどくなり、またロキソニンのお世話になってしまった。

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