ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2020.1.29 採血後腫瘍内科診察、パージェタ・ハーセプチン16クール目 レントゲン追加

2020-01-29 22:41:19 | 治療日記

 昨日の寒かったこと。雪にはならなかったけれど、冷たい雨が文字通り土砂降り。午前中はばっちり会議で取られ、昼休みは用事を済ませるのに取られ、午後もあれやこれやなんやかんや。なんだかぐったり目がしょぼしょぼ。母にご機嫌伺いの電話をかける暇もなかった。
 夫が「映画でも観ていったら」と言ってくれたのでそれに甘え、強引に定時で職場を出て、途中で洋画を観てから夕食を済ませ、そのまま病院最寄り駅前の宿を目指した。

 久しぶりに病院から最も近いホテルに宿泊した。チェックインした後は、NHKの新型コロナウィルスの報道に釘付け。それでも疲れていたので、入浴後ベッドに入ったら、スマホもチェック出来ずにバタンキュー。
 明け方ちょっと目が覚めたが、目覚ましと同時に目が覚めた。お腹も快腸である。足湯を終えてから身支度をして階下のレストランへ。このホテルでバイキングの朝食を摂るのは初めて。前回の食べ過ぎに懲りて、今日は少し控えめにしたが、やはり食後は起きた時のお通じより断然緩くなり水様便の一歩手前。
 予報によれば、今日は昨日より10度も気温は上がるという。朝のうちは雨が残るようだが、お天気になりそう。

 部屋に戻って母に電話。昨夜電話をかけても出なかったと言ったら、その時間には早くも入浴を済ませて寝る準備をしていた模様。まあ元気そうだったのでほっとする。明日は外科で内視鏡検査の結果のための通院だという。

 朝の連続テレビ小説を視てからチェックアウト。足が痺れており、階段の最後の1段を踏み外しそうになる。何とか踏ん張れたが、ここでこけて骨折でもしたら、とぞっとする。気をつけねば。
 道路はびっしょり濡れている。長い傘は持っているし、厚手のダウンにストールのいでたち。違うのは昨日着ていたヒートテックのインナーを抜いたことくらい。かなり暖かい。コートの前を開けていてもなんともない。青空が広がりいいお天気になってくる。

 月末だが、 IDカードは並ばずにすんなり通せて、採血の受付。いつもより早めの受付番号だ。そして取ったと同時に自分の番号が電光掲示板に出ている。全く待つことなく、採血室に入り、コートを脱ぐ暇もなく、呼ばれてしまう。あたふた。
 何度かお世話になっている女性の検査技師グレーヘアのTさん。今日はフル検査なので5本。あまり痛まず、すんなり終了した。
 止血をしながら向かいの腫瘍内科の受付へ。待合い椅子はそれほど混雑していないが、いつもの席は確保できず。殆ど待つことなく受付を終えた。

 今日のお供は碧野圭さんの「1939年のアロハシャツ」(ハヤカワ文庫JA)。
 帯には「『書店ガール』の著者が紡ぎ出す、ふしぎなふしぎな物語。ハワイはあなたを癒すだけでなく、奇跡までくれるー」とある。表紙の絵がとても綺麗で思わず手に取ったけれど、実に面白かった。
 6つの短編が収録されている。「ラナイの貴婦人」、「ワイオリ劇場の夜」、表題作「1939年のアロハシャツ」、「火の岩の娘」、「この世で一番居心地のいい場所」、「水晶は笑う」。どれもこれもグイグイ読まされた。

 裏表紙によれば、表題作は「曾祖父の蔵に残されていたのは、変わった和風柄のアロハシャツ。桜や龍や富士山までもが取り入れられている。まさかこれって、ヴィンテージアロハ?美大生の主人公が、これらが1930年代に作られ、日本とハワイを繋ぐ大切な秘密が込められているのを知る・・・」
 この曽祖父の家というのが土地勘がある市。ハワイには30年前にハネムーンで訪れて以降一度も行っていない。うーん、やっぱりまた行きたい!と強く思わされてしまった。

 途中、化学療法室の看護師Okさんが色々な患者さんに声かけをされており、私にもご挨拶に見えた。「体調はいかがですか?」と訊かれ、「咳が出るとちょっと止まらないのと、下を向くと(鼻毛がないので)鼻水が出て・・・」とお答えする。
 読みふけっていたら瞬く間に1時間が経過しており、電子掲示板に番号が出てしまった。これまたあたふた。血圧測定の機械は列が出来ていて、測定できないまま中廊下に入ることになった。とほほ。

 20分ほどして先生が診察室からお顔を出され名前を呼ばれた。
 「申し訳ありません、血圧測定が間に合わなくて・・・」とお詫びしながらご挨拶して席に座る。「さて、どうでしたか。」と問われ、「ちょっと咳が出るとなかなか止まらず・・・」と言ったところで咳き込む。「ふーん、そういう咳ですね、痰はなし、と。」と入力される。「痛みはどうですか?」 「相変わらずです。」と答えた後、「採血は、まあ普通通りですが、マーカーが上昇傾向ですね。」とグラフを見せられる。

 うーん、正常範囲を超えてしまった。そして隣にはCT画像が今回、前回と並んでいる。「こちらは大きくなった感じですね。」とのこと。うーん。どこをスクロールしてもなんとなく大きくなっている。先生が仰るには、(腫瘍の位置は)咳の原因になりそうにない場所だそうだが・・・。他は骨も含めて新たな転移はなく、変わりなしということで、とりあえず最悪ではないことにほっとする。「そうゆゆしき問題ではないですが、マーカーは上昇し、腫瘍増大傾向はある。この傾向は続くと思われる。今日は帰りにレントゲンを撮っていってください。次回も採血にレントゲン撮影で、次回と比べてマーカー上昇と画像上増大なら、次の一手を考えるタイミングですかね。」とのこと。言葉を選んで話されているのをヒシヒシと感じる。

 診察室での検温は6度8分。「で、何をするか、ですが・・・」と仰るので、「7月くらいには使えそうなエンハーツ(カドサイよりも奏効率が高そうな期待の新薬:トラスツズマブ デルクステカン)まで粘りたかったのですが・・・」と言うと「うーん、もうハラヴェンは嫌でしょ?」 「はい。手足の痺れも残っているのでタキソールもちょっと・・・」と言うと、「そうですね、なるべく負担のないものがいいですね、“昔の名前で出ています”作戦でいきましょうかね。」と仰る。

 例えば、ナベルビン、だそうだ。ハラヴェンとは作用機序が違うし、好中球減少もないし、ポートなので血管炎の心配もないし・・・」とのこと。再トライでまた奏功することもあるようだ。ナベルビンはタキソテールの後、脱毛が嫌でECの前に2年近くお世話になった。「ホルモン剤のお試しもなくはないし、じっくり慌てず考えましょう。とりあえず今日は予定通りで。」とのこと。

 「(再発治療も)もう丸12年になりました。ナベルビンは10年近く前ですね。」と言うと、「かつては(再発)10年選手に会うことはなかったけれど、最近そう珍しくもなくなっています。」とのこと。「でも私の周りには殆どいなくなっていて・・・」と応ずると「ほう、独走態勢、いいですねえ。」と仰る。アバスチンとかイブランスとかも使えればよいが、現状ではHER2陽性だと今は使えない形になっている。

 確かにハーセプチンをはじめとする抗HER2薬は本当に良い薬が目白押しだから、恵まれているといえば恵まれているのだけれど、その分HER2陰性の薬は試すことが出来ない。
 「再発前後でHER2-が+に転じる等の変異もあると聞きますが、私の場合遺伝子検査をすると言っても、生検が必要となると(肺から取らないといけないので)なかなか大変ですし…」と言うと、「一度エイッと取ってみるのもいいかもしれないですね。これからはそういう手技を持ったドクターが引っ張りだこでしょう。」とのこと。ということで、色々情報交換もさせて頂き、3週間分の飲み薬全種類を処方して頂き、ご挨拶をして、化学療法室へ入った。

 待合い椅子は車椅子の方や付き添いの方もいらして混雑している。まずは忘れないうちに、と血圧測定。検査結果に実は動揺しているのか133-77、脈拍は89。お手洗いを済ませ、少し待っていると、看護助手のMさんから窓側の奥から2番目の椅子に案内された。外はいいお天気で青空。温室のようである。かつらを外してケア帽子に替え、夫やお友達に報告LINE。リクライニングシートに足を伸ばして読書の続き。

 15分ほどして今日もCさんが刺針に見えた。今日は朝の採血も痛みが殆どなかったし、前回Cさんはお上手だったので、リラックスしてお任せ。今日も殆ど痛まず、ラッキーだった。
 その後30分ほどしてMさんから薬が届く。2剤併用の治療16クール目。もしかすると今回で最後になるかもしれない。いつもどおり点滴棒には2本の薬液パックと生理食塩水の小さなパック、シリンジ。パージェタ、ハーセプチン、最後に生理食塩水の順番である。

 本日の2冊目は坂口安吾さんの「不良少年とキリスト」(新潮文庫)。
 暖房も効いているし、外からの陽射しは春のように暖かく燦燦。途中で看護助手のMさんがブラインドを占めてくださるが、暑くていつもはお腹までかけるタオルケットも足先だけ。そしてひたすら眠くなってしまい、珍しく長いこと眠ってしまった。
 最後の生理食塩水になったところで、Mさんが血圧測定にみえる。終了時の血圧は106-63、脈拍は69。抜針もMさん。やはり衝撃があったが、痛みはそれほどではなかった。化学療法室に滞在した時間は3時間半弱。さて、これからまたレントゲン撮影に向かわなければならない。

 大荷物を携えて、2階のレントゲン受付へ。今日は突然の撮影になったので、それ用の下着をつけているわけではない。被りのニットを脱いで着替えなければならないのは、かつらの着脱も考えると気が重い。
 レントゲンは午後だというのに結構混んでいたが、ほどなくして呼んで頂けた。今日は申し訳ないけれど検査着をお借りする。正面と側面の2枚を撮影し、無事終了。

 再び1階に降りて、会計へ移動。それほど混雑していない。番号札を頂くのにも並ばなかった。待合い椅子の場所を確保して、処方箋を薬局に送るテーブルまで移動すると、お二人の方が並んで送っていた。この方式もだんだんメジャーになってきた模様。30分もしないで会計番号が出た。お支払いはカードで11万弱。

 病院を出ると、本当にびっくりするぐらいのポカポカ陽気。青空で長い傘は日傘に変えたい感じ。コートもストールも不要である。薬局に到着して、汗ばみながらお薬手帳を探すが、ぱっと出てこない。まさか病院に忘れてきた?と慌てて、再びダウンコートとストールをエコバッグに入れ直し荷物をまとめて、薬局で「ちょっと忘れ物をしたようなので病院に戻ります。」と薬局を出る。

 そこで改めてバッグの外側のポケットを探すとお薬手帳が見つかった。自分でわざわざ出しやすいように入れ替えていたのだった。なんて間抜けな・・・。病院まで戻らなくて良かった。それでも大汗をかいてしまった。再び戻って「病院内から処方箋を送りました。」と申告し、番号札を頂く。薬局では20分ほど待った。3週間分、飲み薬だけで3,000円に満たず現金払い。本日の病院と薬局の滞在時間は合計で6時間半弱。

 コートもストールもエコバッグに入れたまま、厚地のニット姿だけで駅に向かう。それでも全然寒くないどころか、汗ばむくらい。お腹があまり空いていないし、ここでまた食事をしてお腹を壊したくないので、途中駅まで行って軽くシフォンケーキと紅茶だけに。読書しながらお腹の様子を見て電車に乗る。
 今日も夫と殆ど変わらない時間に最寄り駅に到着して、合流。お弁当も買わずに外食にしてしまった。大荷物だったので、自転車の籠に入れてもらって助かった。

 あと2日で今月も終了。明日は息子の24歳の誕生日である。
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