ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2017.7.26 採血後腫瘍内科診察、ハーセプチン183回目(3.3倍量3回目)、ジェムザール(5割減)11クール1回目)口腔外科経過観察

2017-07-26 22:30:44 | 治療日記
 明け方、お手洗いに起きてからもう一寝入り。2時間後に鳴る筈の目覚ましがなぜか鳴らなくて、夫からのグッドモーニングLINEにも気づかず。レスがないのを不審に思った夫からの電話で起こされたのは、起床予定時間の30分以上後。

 慌てて起きて恒例の浴槽足湯を手短に。外は小雨。日差しもなくて外の明るさに気づかずだったのだ。一晩中ドライ運転をしたが湿度がかなり高い。空気清浄機を見ると70%超えだ。レストランに降りる時間がいつもより30分遅れたせいか、かなり混雑していた。今晩からはまた食べられなくなるから、とビュッフェで焼きたてのデニッシュなどを少しずつ色々頂き、チェックアウトして病院へ向かった。

 IDカードを通して採血受付機へ。ピンクの番号札を見るとすぐに採血室へどうぞ、だった。5分も待たずに席へ案内される。今日は以前お世話になったFさん。昨日の職場健診での採血跡が青く内出血していたので「?」と驚かれたが、事情を話して同じ血管から取って頂く。その後バリウムを飲んで(下剤が効きすぎて)大変だったこともお話。フル検査なので4本。刺す時も抜く時もちょっぴりチクリとしただけで無事クリア。

 止血しながら腫瘍内科受付に移動。まだ早いので定位置を確保して読書開始。今日の御伴は角田光代さんの「笹の舟で海をわたる」(新潮文庫)。
 帯には「悪意は過去においてきた、はずだった。」と意味深な文字。裏表紙には「平凡を望んだある主婦の半生に、壮大な戦後日本を映す感動の長篇」とある。角田さんの作品で面白くないわけがなく、あっという間に引き込まれて頁を繰る。別記事にするとまた後回しにしそうなので、少しだけレビューを。

 主人公の左織は小学校5年生の時に学童疎開をしているので、私の母と同い年。そして、その娘は私より1つ下、弟である息子は私より4つ下。世代的にも家族構成も我が家と通じる設定だ。
 昭和から平成に至るまでの時代が実にリアルに描かれている。色々なことを思い出しつつ、母や自分の来し方に重ね合わせながら読むことになった。息子が都内の大学に進学すると思いきや、いきなり京都の大学に進学するという件にもびっくり。

 あちこちで気になるフレーズ、心に響くフレーズがあったけれど、ここでは2つだけ紹介したい。
 左織の夫、大学教員の温彦の「(高度成長期の寵児になった義妹の)風美子さんのような人がそばにいると、何かしたいと思ったら、名を成したいでも、何かやり遂げたいでも、なんでも、いともたやすく出来てしまうような気になってしまう。そして、何にもしない自分が、どうしようもない、つまらない人間に思えてくる。何かしなくてはいけないと思う。なんだってできるのだから何かしなくてはと。・・・いや、そんなことはないとようやく気付いた。何ものにもなれない人間のほうが圧倒的に多い。何ものにもなれないことは、別に悪いことじゃない。力もないのに何ものかになろうとあがくほうがみっともない」。
 左織が最後に呟く「私は幸せかしら?不幸かしら?ああやっぱり、悪いことをしたら不幸になるのでも、いいことをしたから幸せになるのでもない。そのどちらもが、人生に影響など及ぼさず、ただ在るのだ。ただ在る、でも私たちはそれから逃れられない」。
 現実世界は理不尽の連続。それでも生きていくというメッセージを受け取った気がする。

 本を読みながら1時間経過。面白くて本を閉じるのが憚れるが、忘れないうちに血圧測定。104-57、脈は83。ほどなくして中待合へどうぞ、と番号が出たが、さらに小一時間ほど中待合で本が読めた。

 先生が診察室からお顔を出され、ご挨拶しながら診察室へ入る。「さていかがお過ごしでしたか」と問われ、「今回は気持ち悪さが早く抜けて、土曜日午後からは寝込むこともなく動き始められました。」とお答えする。ロキソニンも日に2度以上飲んだ日はなかった。

 診察室での検温は6度8分。採血の結果、白血球は4,300、好中球は1,600ほどで問題はなし。気になる腫瘍マーカーは「うーん、上がっていますが、まあ上がったり、下がったりでこんなものかなあ、という感じですね。上がり続けたり下がり続けたりすることはないので、ひとまずこのまま続けましょう。」とのこと。数値としては前月比1割増。

 ということで、予定通りの治療。「今回は口内炎も出来なかったので、喉元過ぎれば熱さを忘れる、を地で行っています。今日は口腔外科の予約は入っていますが」と言うと「いずれにせよランマーク注射は、口腔外科の先生からの見立てがハッキリしてからにしましょう。」と方針は変わらず。次回はレントゲン撮影の予約も入った。

 席を立つ前に「今年の夏休みのご予定は」と訊かれ、少し夏休み談義。母と息子もともに3泊で旅行を予定しているお話をすると「いいですね」とお墨付きを頂いた。夏はやはりしっかりリフレッシュして、治療へのモチベーションをキープしなくては。次々回は先生の夏休みの関係で木曜日の予約となった。4週間分の各種内服薬を処方して頂き、化学療法室へ向かった。

 今日は1週目の治療として予定通りハーセプチンとジェムザール。
 化学療法室へ移動する。待ち時間にはいつものように夫やお友達に報告LINEやメールを打つ。10分ほどでヘルプの看護師さんから声がかかって、内側のリクライニング椅子に案内された。20分ほどすると、Mさんが針刺しに見える。なるべく平常心でいようとするが、なぜにこんなに痛むのか、と顔がしかめっ面になる。Mさん自体も私の前に来ると苦手な感じを纏っているようだ。針をテープで固定させてからも、なんとなく落ち着かない感じでチリチリと痛む。逆血確認は問題なかったようで、薬が届くのに15分ほど待つ。

 今日は、3.3倍量のハーセプチン、デキサート(ステロイド)とアロキシ(吐き気止めのセロトニン拮抗薬)の混合、5割減量のジェムザール、生理食塩水の4本だ。Okさんが薬を持ってこられ点滴を始めるが、薬液が入る度にやけにチリチリピリピリする。「今日は長いから我慢しないで刺し直しますか」と問われ、「うーん、Okさんが刺してくださるなら」と応じるが、ポート部分を確認して針の角度を真っ直ぐにすると痛みが落ち着いたようなので、そのまま続行。出来ることなら抜針も刺針も1回セットで済ませたい。

 「ポートはいつ入れましたっけ」ということでポート留置の小さな証明書をお見せする。1つ目は2008年11月17日、タキソテール開始とともに入れた。一生もののつもりが2年経たずして破損、ナベルビン漏出の疑いがあり、ということで2010年9月22日に急遽外来から一泊入院で2つ目に入れ替えている。その2つ目は既に7年近く経過している。「もう金属疲労(また入れ直し)ですかね」と問うと、そんなことはないとのこと。抜去・設置の1泊入院手術、出来ることなら3度目はご勘弁被りたいのが本音なのでほっとする。

 まずはハーセプチンを1時間ちょっと、吐き気止めは20分。ジェムザールの30分と最後の生理食塩水の15分。生理食塩水に替えたところで、Krさんが血圧を測ってくださる。109-64、脈拍は63。
 抜針もKrさん。やはり衝撃はそれなりにある。既に口腔外科予約時間から1時間過ぎている。連絡をしておいて頂くようお願いしてご挨拶。化学療法室を後にする。

 エスカレーターで2階に上がって口腔外科へ。受付で書類を出すと「今から診察ですか」と問われ、「腫瘍内科に時間がかかり1時間以上遅れてしまいました」と事情を話す。ほどなくして「K先生は2週間前に退職されたので、今日は別の先生が診ますが、その先生が病棟を回っているので、もう暫くお待ち頂くことになります」とクラークの方からご説明。
「えー、そんな・・」6週間前に予約を取って4週間後に退職とは、随分突然のことである。とはいえ、致し方ない。読む本もあるし、ということでひたすら待つ。

 結局1時間ほど待ってようやく呼んで頂けた。今度は男性のW先生。「喉元過ぎれば熱さを忘れる状態で、今は落ち着いています。」と診て頂く。「確かに全く問題ありませんね」とカルテに記入される。「先月末の投与後、口内炎が酷く食事が摂れなくなったことがあり、酷い口内炎にはレーザー治療が良いと聞いたのですが、近くのクリニックで治療をしても問題ないでしょうか」と問うと、全く問題ないとのこと。

 「口内炎は皆さん本当に苦労されていて、○○さんだけではありません。あなた一人ではないですからね。」と励ましてくださる。現在3か月に1度近くのクリニックで検診は続けているが、切開等はクリニックでは出来ず、こちらでお願いすることになるので、今後も経過観察を続けて頂きたいと言うと、「次回は3か月後にしましょう」と10月に予約を入れてくださった。「今は全く問題ありませんが、何かあればいつでも」と言って頂けただけでほっとする。念のためにケナログ軟膏も1本出して頂き、診察室を後にした。

 会計をお願いしてから、1階に降りる。今日は2科受診、採血・点滴で5万円弱、カード支払い。
 外は相変わらず小雨。昨日までの暑さほどではなく、湿度は高くとも気温が下がっているので少し楽だ。昨日の日傘は今日の雨傘。薬局へ移動。午後も大分時間が経っているので待合椅子はそれほどの混雑ではなかった。6種類の薬をビニール袋一杯。

 前回発熱した時に抗生剤1回分を飲んでしまったので、それを補充しなければならなかったが忘れたことに気づく。「主治医に電話で確認すれば追加してもらえます。それほど待ちませんがどうしますか。」と薬剤師さんが気を利かせてくださったが、既に朝から7時間が経過。空腹を通り越して胃が痛む。昨日のバリウム後遺症もありぐったりしているので、もう帰りたいと本音を言って次回廻しにする。3,000円弱を現金払い。

 病院と薬局の滞在時間は7時間以上。駅ビルのランチタイムには間に合わなかった。気持ち悪さはそれほど酷くないが、さすがにぐったり疲れている。こんな時間に食べるとまた夜は食べられないけれど、薬も飲みたいので、時間をかけてさっぱりしたパスタとサラダを頂いた。

 食事が済んだら既に夕方。電車では途中駅まで座ることも出来ず、荷物は多いしで顎が出る。乗換駅でお弁当を調達し、最寄り駅からは迷わずタクシーで帰宅。

 帰宅時間はフルタイムで仕事をして帰ってくる普段と変わらず。前泊してこれなのだから、自宅から通院したらさらに+1時間半、本当に疲れるな、と思う。とにかく治療を続けるには体力を維持することが一番だと改めて思う。最低限の片づけをしてリビングで横になる。早くも気持ち悪くなり、食欲はない。夫が帰宅したが、まだ昼の食事を終えてから3時間も経っていない。2時間ほどしてなんとかお寿司を3つつまんで薬を飲んで終了。怠くて気持ち悪い。

 明日は、月末なのだが、定例会議とは別の会議が午前中にあり、午後からはキャンパスを移動して臨時の打ち合わせ。とにかく明日を乗り切れば、明後日は少し一段落出来るのだから、乗り切らなくては。
 
 記録のために。昨日届いた今月2回目のお花は、ピンクのカーネーションが5本と、枝ぶりが良く沢山の花と蕾を付けた淡い紫色のエゾアスターが3本、カスミソウが2本。花言葉はそれぞれ「女の愛」、「甘い夢」、「清い心」だという。ガラスの花瓶に夫が投げ入れて玄関に飾ってくれた写真が昨夜LINEで送られてきた。昨日はちょうど義父の31回目の祥月命日だったから、エゾアスターを仏壇に供えてもらった。お花があって良かった。来月は切り花はお休み。恒例の蘭の鉢植えが届くことになっている。
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