いか@ 筑豊境 寓 『看猫録』

Across a Death Valley with my own Distilled Resentment

新しい街でもぶどう記録;第384週

2022年03月19日 18時00分00秒 | 草花野菜

▲ 今週のみけちゃん

▼ 新しい街でもぶどう記録;第384

■ 今週の草木花実

■ 今週のひとつの情報:破線の領域はユダヤ人住民が半数近くの地域。第一次世界大戦前。


鈴木輝二、『ユダヤ・エリート』(中公新書)より

現在のウクライナ西部は、第一次世界大戦前において、住民の半数近くがユダヤ人だったのだ。この後、ポグロム、ドイツのユダヤ人迫害で駆逐される。

■ 今週の争点

https://twitter.com/hori_shigeki/status/1504338212525080576

現在の日本を二分する争点に、ウクライナに侵攻したロシアの評価。特に、ロシア「擁護」派について。

ロシアは米国の国務次官ヴィクトリア・ヌーラント(wiki)に代表される「ネオコン派」[1](アングロサクソン)に追い込まれて、戦争を始めたという説。

上記の堀茂樹のtweetは、何ら直接ウクライナに侵攻したロシアについて言及しているわけではないが、現在「暴力を振るった!」と批難されているのがロシア。

[1]  リベラルホーク: Liberal hawk)は、アメリカ合衆国における自由主義の政治イデオロギーの1つで、米国において主に民主党政権時のタカ派外交政策介入主義姿勢に非常に大きな影響を与えている。政策的には共和党中心のネオコンと共通点を持ち、人脈的にもつながりが深く超党派として活動することも多く人道的介入主義が特徴であるがネオコンとの区別はつきにくい。 wikipedia

■ 今週の米国世論での争点

ウクライナ戦争に介支持で、米国の共和党、民主党の支持者で意見が分かれる。

■ 今週の「踏み込む」大使

元ウクライナ大使といえば、みんな大好き(???!!!)、馬渕睦夫大使。"「ディープステート」陰謀論"を公然と語る元外交官だ。数年前からじっくり見ているのだが、この人は一体どこの筋の人なんだろう?とずーっと疑問に思っていた。今もわからないが、現在では公然とロシア侵略を肯定している。とまれ、謎の人物だ。

一方、元ウクライナ大使の角茂樹大使の講演YouTubeを見た。なんとあの「アゾフ大隊」構成員と会っているのだ。

https://www.youtube.com/watch?v=e-rcYZPFM1c

アゾフ大隊のひとつの解説はwikipediaにある。上記の馬渕大使にいわせれば「ロシア系住民を虐殺するネオナチ」であり、今回のプーチンの「特別軍事作戦」はこのネオナチであるアゾフ大隊の成敗ということだ。

一方、元ウクライナ大使の角茂樹大使はアゾフ大隊と会っている。国家が頼りにならないウクライナでの民兵組織的なものであるとの説明。

そして、角茂樹大使はウクライナ国民はEU入りとNATO加盟を希望している。これを容認しないプーチン・ロシアの対応がロシアの軍事侵攻であるとの認識。ウクライナ国民の対露交戦を絶賛支援する旨を上記YouTubeで表明。

■ 今週の率直な生贄提供論

ロシアのウクライナ侵略戦争の終戦のあり方は、ウクライナの中立化であるとの説がある。多い。外交官では孫崎享、田中均などだ。この場合、上記の元ウクライナ大使の角茂樹が云うウクライナ人のEUとNATOの加盟という民意は無視されることとなる。そもそも、ウクライナは緩衝地帯であるので、NATO加盟を希望することが戦争を招いたのだという意見もある(一水会)。

さて、ラジオで宮崎哲也が藤原帰一の朝日新聞での説を紹介、自分もほぼ同意見であると言っていた。朝日新聞のネットで文章は会員限定だが、藤原の所属先のweb siteに全文があった;

藤原帰一教授 朝日新聞(時事小言) この戦争の出口は 「負け組」も包む国際秩序を

核戦争は絶対に避けなければいけない以上、ウクライナ国民を侵略の犠牲とする可能性を持つとしても、私はこの方針を支持する。

藤原は、率直に語っている。

そして、憲法と現状、将来について;

日本国憲法前文は第2次世界大戦後の日本の原則であるとともに、大戦後の世界をつくる原理の宣言でもあった。そして、プーチン政権は、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会とは対極にある存在だ。

と認識して、

今度こそ、冷戦終結時につくるべきであった「負け組」も参加する秩序、日本国憲法前文が示すような世界各国の国民もロシア国民も受け入れることのできるような力の支配ではない国際秩序をつくらなければならない。

という発想だ。

でも、こういうことでは、また将来も「今度こそ」といわなくてはならなくなるだけではないだろうか。

この誤認識の根底にあるのは、ある種の世界観だ。それは、「だが、プーチン政権とロシア国民は同じではない。戦争の終結は国際秩序を形成する機会だ。」という認識に端的に現れている。

プーチンは偶然現れた独裁者ではない。広くロシア民衆に支持されているとも報告されている。そして、プーチンは「物語」に憑かれている。想像の大帝国ロシアだ。その物語はプーチンがひとりで勝手に作り上げたものではない。ロシア文明の一大観念産物だ。この一大観念産物は広くロシアの民と共有するものに違いない[b]。人間は観念に憑かれる。これは「文学現象」である。冷戦後のソ連崩壊後にルサンチマンを抱き、想像の大帝国ロシアの再建を試みた。こういう現象を学問原理としての「国際政治学」は理解しない。その理由は、そもそも対象外であるからだ。「国際政治学」の最大の特徴は、歴史の詳細を蔑ろにすることである。ポンチ絵のような概念で国際世界を描いている。

[b]  ロシア市民大喝采!プーチン大統領 ウクライナ侵攻を正当化

[c] ロシア正教会のキリル総主教が、ロシアによるウクライナ侵攻に高らかな祝福を与えた


ロシア正教会のキリル総主教が、ロシアによるウクライナ侵攻に高らかな祝福を与えたことで、世界中の正教会は分裂の危機に陥り、専門家から見ても前代未聞の反乱が正教会内部で生じている。写真はプーチン大統領(左)とキリル総主教。2020年2月、モスクワで撮影。提供写真(2022年 ロイター/Sputnik/Alexei Druzhinin/Kremlin)

日本国憲法は軍国主義の日本を世界との協力の中に再統合する貴重なステップだった。」藤原はという。でも、米国は「軍国主義」でもない国を非民主的だとあげつらい、民主化せよと外交政策、「浸透工作」を仕掛けてくる。カラー革命。

そもそも、藤原は、自由と民主主義を世界的に強引に進める米国を「デモクラシーの帝国」と認識しているはずだ。ロシアに限らず非西洋諸国は、アメリカ流の自由と民主主義を受け入れる必然性があるのか?アメリカ流の自由と民主主義を受け入れると起こることが、伝統社会の破壊である。この伝統社会の破壊から生じた人々が、ルサンチマンを抱き、戦争を選ぶことになっているのが、これまでの経験だ。

ところで、「日本国憲法は軍国主義の日本を世界との協力の中に再統合する貴重なステップだった。」はイラク戦争を正当化するネオコンの、イラク占領は日本モデルで!という発想に通じてはいないか?

■ 今週の瞬間風速

月曜日、順位が急上昇した。

■ 今週の追記;スピノザ モニュメント

愚記事:アムステルダム再訪; スピノザ像参拝での、このスピノザ像のアムステルダムでの位置を確認した。結構、中心部だった。

■ 今週の「悪質」な人物

本人に反省の色は見えず、その行為は極めて悪質である。
(1)不正行為に関与したと認定した研究者
・A (名古屋大学元大学院生)研究者番号:なし  名古屋大学、研究活動上の不正行為に関する調査結果について


https://sci-news.co.jp/topics/2414/  (科学新聞;「グラフェンナノリボン 1段階で精密合成成功」名大グループ)より

名古屋大は16日、トランスフォーマティブ生命分子研究所の伊丹健一郎教授の研究チームが発表した3本の論文に、多数の改ざんや捏造があったと明らかにした。元大学院生が、実験データを加工して使い回すなど不正に関与したとしている。共同通信

この不正研究は、大学院生の丸ごと捏造という事例。Nature論文の図が「全て」捏造であると名古屋大学の調査報告書にある。

さて、関心がるのは、なぜこういう事件が起きるかということ。要因のひとつに研究室の主宰教授のアピールだ。こういう「宣伝」を見て、ちょっと「サイコパス」的人間が来るのかもしれない。Be unique! Go crazy! には苦笑せざるを得ない。

 

YouTube: 伊丹 健一郎教授(名大・理)「美しく、そしてすんごい分子を作りたい!」

それにしても、最大の問題は調査報告書でも指摘されている;

今回の研究不正については、GNR 合成の部分に責任をもつ伊藤准教授と伊丹教授が、再現実験の実行やデータに対する十分な吟味を行っていれば、その研究不正を見抜くことは十分に可能であったと考えられる。伊藤准教授は、A 元大学院生により近い立場で、実験結果の再現性の確認や、生データの検証をする注意義務を怠った。伊丹教授は、再現性の確認と生データの検証を伊藤准教授やA 元大学院生に日常的に指示し、これらが実行されていることを確認する注意義務を怠った。



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