いか@ 筑豊境 寓 『看猫録』

Across a Death Valley with my own Distilled Resentment

凋落の現実の前で

2010年03月07日 21時22分44秒 | 日本事情


■日本の半導体産業が没落して久しい。さらには一般製品を製造している電機業界の没落も著しいらしい。いわゆる日本の電機大手8社(日立、パナソニックなど)の合計の営業利益は韓国のサムソン1社の営業利益3260億円より半分以下。

注意して欲しいのは、営業利益というパラメタで見た場合のこと。必ずしも売上総額とか事業規模ではない。しかし、だからこそ、日本の企業群は図体だけでかく、あるいは従業員数だけ、あるいは売上総額だけ(?)大きく、全然儲けていないことを示している。

儲からないと、賃金は上がらないし、設備投資、研究開発投資もできない。もっとも、賃金の点は「正社員」の賃金は下げずに、非正規雇用労働者の使役で賃金コストを抑えている。

これは、技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか―画期的な新製品が惨敗する理由という問題の典型のようにも見える。

ただし、本当に技術で勝っているのか?、画期的な新製品を出しているのか?というつっこみはすべきだ。

■さらには日本国内での日本人が日本の産業が没落し、韓国に負けていることを知らないことが問題である。


「そんなことを言うから負けるんだよ」!!!!

15年前、サムソンが世界で急成長を始めた頃、似た話はよく聞こえてきました。技術、ブランド力、資金、イメージ・・・どれをとっても韓国企業は話にならないと考える日本人は多かったのです。「サムソン如きのメーカー・・・」との声も多く耳にしました。
  宋 文洲のメルマガ;「韓国如きの国なんか」と聞いた時

いまだにこういう気分の人たちが多い。

■別に、韓国礼賛、日本罵倒をしたいわけではなく、サムソンだって興隆には理由があり、盛者必衰であるのだからそのうち凋落するでしょう。そもそもサムソン⇒韓国、(例えば)ソニー⇒日本とか一企業とその出身国の関係を特別視するのも変な話です。なぜなら、現在企業が成功するも失敗するもグローバリゼーシェンへの対応いかんにかかっているからです。

サムソン興隆の理由は;
・後進企業のキャッチアップがうまくいった。例、いまではサムソンで多くの元ソニーだの何だのの日本人が働いています。日本人重役もいる。
・情け容赦ない実力主義。1997年の韓国経済破綻でサムソンの雇用条件は純粋ネオリベ主義。毎年何割か(2-3割)の従業員入れ替えとなるそうだ。「ダメ」なひとはクビ、いい人材を集める。
・米国、日本市場ではない市場を開拓。(世界でサムソンが売れないのは日本だけらしい、だから日本人はサムソンの世界的達成を知らない)
など、など。

これに対し、日本はバブル経済崩壊以降、失われた10-20年で破綻しなかったばっかりにずるずると年功序列・正社員保持、科学技術予算の道楽家(学界ばかりか企業内でさえも)による蕩尽などにより、現在の瀕死状態に至っている。

■日本の上記電機メーカーなど産業界の悲惨さは、1980年代の集中豪雨的輸出、世界の市場占有率ダントツだった時期に、実は利益をそんなに上げておらず、富の蓄積が実現されなかったこと。没落だの凋落だのということは歴史上珍しいことではないので、別に絶望すべきでないことではないだろうが、貯金がないというのは哀れである。

現在、政府の借金と国民の貯金がトントンらしいので、今がプラマイゼロ、日本人の貯金なし!という状態だ。貯金ゼロで凋落プロセスへ!

●参考;
・Blog ’bout Creditcard,E-Money & WebMarketing、日本の電機産業はサムスンに勝てるか
・プレジデントロイター > 新・会社論 > 記事 伊丹敬之=文、なぜ日本の製造業はサムスンに勝てないのか
・週刊ダイヤモンド、ソニー、パナソニックはなぜ勝てない? 韓国の巨人「サムスン」グループの凄み



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