屋台の兄ちゃんが英語名で呼ばれていてもおかしくない香港と、ほかの地域はどのくらい違うのだろう。私が香港以外に住んだことがあるのは北京だけで、つれあいが住んでいたことがある台湾については少しわかる部分もある、というくらい。だから以下に書くことは基本的に推測だけど、ちょっと考えてみる。
台湾や大陸の場合、日常生活で英語名が必要になる場面は、たぶんほとんどないだろう。英会話学校のクラスで、互いに英語名をつけて呼び合ったりするのかな? 外資系の会社に勤めたら、上司や取引先との関係で必要になるのかも。表は漢字の、裏は英語の名刺を持つかもしれない。留学経験者人は持っている確率が高そうだ。
英語が公用語であるシンガポールは? 中文名のローマ字表記で通す人もいるが、英語名を持っている人のほうが多そうだ。中華系が人口の7割を占めるが、マレー系やインド系と共存する多民族国家なので、英語名があったほうが何かと便利かもしれない。英語がかなり使われるが公用語というわけではないマレーシアでは、シンガポールほど普及していない感じだ。
移民や現地での出生によって欧米やオーストラリアの国籍を取得した人は、ほぼ全員が英語名(英語国でなければその国の一般的な名前)を持っていると考えられる。3世、4世になると、中文名を持っていても使うことがないらしい。
さて、日常生活で別に英語名を必要としない台湾や中国大陸で、芸能人がなぜ英語名をつけるのか? 台湾なら台湾だけで、大陸なら大陸だけで活動するなら、そんなに必要はないかもしれない。たぶん、使っていない芸能人は相当数いると思われる。ドラマ俳優やバラエティタレントだったら、それでいいんじゃないだろうか。番組の中で、司会者が出演者を英語名で呼ぶことも香港より少ないように思う。
だが、歌手や映画俳優になると、少し状況が変わってくる。特に歌手は、“営業先”が中国語圏だけではなくなるのだ。相手にする客は中華系なのだが、英語メディアにも売り込む必要がある。香港やシンガポールだと、母語は広東語や北京語や福建語だけど、読み書きは全部英語でする人も珍しくない。そんな人々が読む新聞や雑誌に売り込むのに、中文名のローマ字表記だけより、英語名もあったほうが便利なのは当然だろう。北米で中華系の歌手がライブを開くことが多い(つまり中華系が多く住む)バンクーバーやトロント、アトランティックシティ等ではなおさらだ。
そして、ハリウッドに進出する俳優のように、中華系以外の人々にも広く人気を持つようになりたいなら、呼びやすい愛称としての英語名は、もう芸名の一部として必須という気がする。
最近、日本にどんどん入ってきている“華流”スターたちも、しっかり英語名のカタカナ表記で浸透してきている。私は先に漢字で覚えてしまった人をカタカナで言われると誰だかわからないこともあるが、そのうち慣れる^^; 中文名では正確な発音がわかりにくいし、漢字の日本語読みではなんだかダサいし、英語名+姓のカタカナになっていくのは自然だろう。ただ、本来の名前は中文名だということを忘れずに、できるだけ漢字も併記したほうがいいと思う。
「ジェイ・チョウ」「デビッド・タオ」が留学生に通じなかった理由:
(1)日本で中華系の人は漢字の日本語読みで呼ばれることが多いので、まず中華系の名前だということがわからなかった
(2)台湾ではそんなに英語名を使ってないので、芸能人の英語名そのものを一般人があまり覚えていない
(3)「チョウ」「タオ」のカタカナ読みの発音が、「周」「陶」の北京語の発音と違ってしまうため、「周」「陶」の漢字をイメージできない
さらに、香港で台湾のスターの名前が通じない理由は:
(1)香港人は中華系の人の名前を原則として広東語読みで記憶する。周杰倫は「ちょう・ちえるん」ではなく「じゃう・きっろん」、陶は「たお・じぇー」ではなく「とう・じっ」。やはり「チョウ」「タオ」から「周」「陶」の漢字が浮かんでこない
(2)香港のスターならそれなりに英語名をみんなが知っているが、台湾スターの英語名はそれほど覚えていない
「ジェイ・チョウ」「デビッド・タオ」が一発で通じる人は、常に英語メディアで芸能情報を得ている芸能通で、HMVの各店舗に一人くらいはいるかな?
中華圏では漢字を書いて見せる・・・これが多くの人に一発で通じる必勝法。というわけで皆さん、カタカナだけじゃなく漢字の名前もいっしょに覚えておきましょう(「こはる」とか「ともなり」とかの日本語読みでもかまわないから)
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