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中華系の人々の英語名<香港の場合>

2006年10月07日 02時27分13秒 | ××語

 ゾウトンさんのサイト・井土ヶ谷から香港電影ポップス(+α)のBBSに、「台湾からの留学生と話したら、ジェイ・チョウ、デビッド・タオが通じなかった。英語名がかっこいいと思ってたのに、偽名?なんで英語っぽい名前つけるんですか?」という書き込みがあった。香港に何年も住んでいた私には、ものすごく新鮮な感覚だった。香港では英語名を使うことがあまりにも普通で、疑問を持つことがなかったのだ。BBSには書き込みさせていただいたが、もっと詳しく考えてみたくなって、こちらに書くことにした。
 香港で英語名が使われるようになったのは、やはり英国の植民地だったからだろう。最初は英国人の会社で働いたり、仕事上英国人と話す機会が多い人が使い始めたと思われる。英語で教育する学校では、入学すると各自英語名をつけさせていたようだ。先生が適当に決めていたとも、辞書の付録の英語名一覧を見て自分で選んだとも聞く。AndyとかAnitaとか、なんとなくAで始まる名前の人が多いような気がするのは、一覧をAから見て選ぶから
 現代では出生時に英語名もいっしょにつける親も多い。洗礼名というわけではなく、単に小さいうちからそれで呼ぶということらしい。(もちろん、クリスチャンとして洗礼名を持つ人もたくさんいる。)移民や現地での出生によって外国籍を持つ人は、一般に英語名を持っている。
 11歳以上の香港住民は全員携帯を義務付けられるIDカード(身分証)取得時に登録すれば、英語名は公文書に使える立派な本名として通用する(うちの子にもつけてやればよかったかな^^;)。遅くとも18歳の成人用ID取得までに、英語名は決まっていくようだ。もちろん、なくても一向にかまわない。
 英語名がどのくらい日常的に使われているかを示す例として、「友達同士で英語名しか知らないこともある」という話を広東語の先生に聞いてびっくりした。確かに、中文名を名乗らないまま済んでしまう場面もけっこうある。そういえば先生の中文名も質問して初めて教えてもらったし。逆に、家族の間などでは中文名しか使ってないかもしれない。「阿俊」とか「阿敏」と孫を呼んでるお祖母ちゃんが電話に出て「Jackyいますか?」と言われたら、「Jackyって阿俊かい、阿敏かい?」なんてことになったりして
 芸能人の場合は、必ずしも自分が使い慣れた英語名を使い続けられるわけではないようだ。陳小春はJordan Chanということになっているが、元々はAndyだったらしく、Jordanと呼ばれるのを好まないようで、あまり英語名で呼ばれない。彼がデビューする頃、Andyは劉徳華許志安もいて、もうやめたほうがいいという感じだったのだろう。英語名だけだと同姓同名になってしまうケースも多く、梁朝偉が先にトニー・レオンとして日本に紹介されてしまったため、梁家輝はトニーという英語名を使えず、レオン・カーファイになったらしい。俳優のアンソニー・ウォンは黄秋生で、歌手のアンソニー・ウォンは黄耀明だ。同じアレックス・フォンでも渋い中年は方中信で、元・水泳王子の爽やか青年は方力申。誰かの強烈なイメージがある名前も使いにくそう。これからデビューする新人で、あえてLeslieとつける人はいないだろう。。。
 お仕事の都合で変えたのは黄伊[シ文]。デビュー当時Diorだったが、Diorではない化粧品のCMに出るにあたってEmmeに変えた。イメチェンをねらって改名する場合、中文名を変える時は同じ音で違う漢字にすることが多いが、英語名だけを変える人も見かける。
 似たような名前がかぶるのを避けるためか、CarloとかIvanaなど、アングロサクソンっぽくない名前にする人もけっこういる。さらに、日本語の名前を使う人がいる! 鄭希怡(ユミコ・チェン)は「学生時代からYumikoと呼ばれてた」そうだ(別に親が日本人というわけではない)。それならまだいいが、SukiとかKawaiiという名前を使う人までいる。。。なんか勘違いしてると思うんだけど
 どういうわけか、日常生活では英語名を使っているのに、芸能人としては英語名で呼ばれない人がいる。なんとなく似合わないと思われてるんだろうか。周星馳の英語名はStephenだそうだが、熱心なファンじゃないと知らないかも。
 面白いのは、英語名に“中文訳”があること。David→大維(だいわい)、John→約翰(よっはん)、Maggie→麥(まっけい)など。TwinsGillianのGilに嬌という字をあてて、それに阿をつけて阿嬌(あぎう)と呼ぶのもそんな感じ。
 中文名を英語っぽく綴ったり、中文の愛称を英訳するというつけ方もたまにある。鄭伊健は愛称“伊麺”をNoodleと訳して英語名にしていた時期があったが、今はEkin。後者→前者のパターンだ。
 社会の隅々まで英語名を使う習慣が浸透している香港、英語なんかしゃべれなくたって英語名で生きてる人は珍しくない。その香港でもジェイ・チョウ、デビッド・タオが通じないことがあるのはなぜか?という話はまた次回。


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2 コメント

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君の名は (ゾウ蔵)
2006-10-10 21:35:19
ゾウ蔵です。こんにちは。

うちへお越しいただきありがとうございます。

中国人の名前は、うちの会社では英語名使う人が増え、両方で覚えるのがたいへんです。

しかも、大陸の場合、北京語読み?日本語読み?英語名?どれで通すのかぐちゃぐちゃです。上海人に多いですね、英語名。

「Janeからメール来ている」「どこの?」「上海」「上海でジェーン?」「ジンさんよ!」

さて、蘇永康は、近年引っ越のため整理して残っていたCDの中にありました。歌より映画が好きなので、香港に行っても、他の歌手のはほとんど買っていなかったのですが。

あの二曲を歌うために、筋金入りの周星馳迷の友人に教えを乞い、ヒンシュクをかってましたが、映画祭のチケット購入に助力したので、すでに許されていると勝手に思っています。

そして、香港に行きたいモード全開です。星仔迷の友人が、達明の芝居を観に行くので、旅は道連れということにしようかと思案中です。私はちょっとハマッた香港トラベラー・レベルなので、どれもこれもかじりっぱなしで10年が過ぎてしまったようです。

こちらもゆるゆると拝見させていただきますので、どうぞよろしく。
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君の名は! (HO太)
2006-10-11 17:47:02
ゾウ蔵さん、ようこそお越しくださいました。

英語名を使う中国人の方、増えているんですね。

初めから英語名+中国名で覚えてしまうと楽なんですが、あとから英語名を出してこられても、すぐ頭の中で結びつかないですよね。



蘇永康の曲の中でも、「夜窗」「午睡」を歌いたいと思われるあたり、渋いですね~。香港のカラオケに入っているかな?

星仔迷のお友達と香港旅行、行けるといいですね。

こちらこそよろしくお願いします。
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