今更だけど^^;
(2017年)第86回全日本フィギュアスケート選手権、男子フリー(ジャッジスコア)。現地観戦
<G1>
中野耀司(17) 東4 SP:56.56(22) FS:102.78(22) 合計:159.34(22)
「Santana」♪ 黒の胸から肩にかけて赤で炎。エレキの曲にのって、いい感じに踊るステップが、佐々木彰生を彷彿とさせる。1本目のアクセルで転倒したが2本目頑張った。ルッツやループのパンク、後半サルコウの転倒がもったいない。
梶田健登 東7 SP:58.65(19) FS:113.92(20) 合計:172.57(20)
「Ancient Lands」♪ 跪いて氷を手で撫でる所作からスタート。ジャンプ助走はスピードがある。ストーリー性を感じる曲で、ステップやコレオシークェンスとよく合っていた。
佐藤駿 J6 SP:57.77(20) FS:127.75(16) 合計:185.52(16)
グリーグ「ピアノ協奏曲」♪ 黒系。まだあどけなさが残る中学生だが、トリプルアクセル2本の着氷に会場が沸く。走ってジャンプ的なプログラムになってしまうが、後半のルッツ・トウ3-3などよく跳んだ。間の取り方は悪くない。
渡邊純也(26) 西8 SP:54.01(21) FS:99.90(23) 合計:153.91(24)
「ロミオとジュリエット」♪ 白に金糸のジャケット。冒頭にルッツ・ループ・サルコウ3-1-2を下りたがトリプルアクセル転倒。2回転になったジャンプがいくつか
アイスダンス経験者だけに、ターンの正確さが素人目にもなんとなくわかった。所作にもどことなくダンスの雰囲気が
木科雄登(16) J5 SP:56.16(23) FS:117.97(18) 合計:174.13(19)
「The Legend Of 1990」♪ 紫のシャツ、シルバーのベスト。狙っていただろう冒頭のアクセルが1回転になり アップテンポで細かい動きのステップはジャズらしさが出せた。曲との一体感がある。
唐川常人 東9 SP:56.64(21) FS:113.22(21) 合計:169.86(21)
「ロクサーヌのタンゴ」♪ 紫。前半はルッツ・トウ3-3を間にオーバーターン入っても下りるなど頑張っていたが、後半疲れが見えた。スケーティングはわりときれい。コレオシークェンスが少し物足りない
<G2>
本田太一(12) 西4 SP:59.75(18) FS:133.12(12) 合計:192.87(15)
「ラ・マンチャの男」♪ ワインカラー、白襟。トリプルアクセル2本を立て続けに決めて波に乗り、ルッツ、フリップ・トウ・ループ3-2-2などジャンプにミスなし。終わって大きなガッツポーズが出た。
全体にスピードが遅く、ステップの一歩があまり伸びない。もう少し大きく動けると見栄えがするんだけど フリーで同じくらいの得点が出た他の選手と比較すると演技構成点が弱いので、今後の課題かな。
壷井達也(10) J3 SP:63.35(14) FS:135.36(11) 合計:198.71(13)
「暁闇の戦い」♪ 赤系。スピードに乗って滑り出し、フリップ・トウ3-3を決める。トリプルアクセルは転倒したが、他はほぼノーミス。きれいなスケーティングでステップもよく動き、後半もスピードが落ちないのがいい。大きなイーグル、ダブルアクセルからもイーグルにつなげていた。
中村優(6) 西3 SP:65.75(13) FS:132.41(13) 合計:198.16(14)
「ムーラン・ルージュ」♪ 黒。トリプルアクセル2本は2本ともステップアウトしたが、なんとか転倒はせず。パンクしたルッツをもう一度跳んで成功させた。全体にスピードはあり、コレオシークェンスは全速力でリンクを突っ切っていった
佐上凌(18) 東8 SP:63.05(15) FS:91.11(24) 合計:154.16(23)
「マラゲーニャ」♪ 赤シャツに黒ベスト。最初のアクセルでパンク、ループでもパンクしてしまった。わりとドン!という着氷のジャンプ。この曲の雰囲気は出せている。
櫛田一樹 J4 SP:60.06(17) FS:121.23(17) 合計:181.29(17)
「GOEMON」♪ 黄色と茶色。アクセルのパンクはあったが、後半ルッツ・トウ3-3など頑張る。決まるときれいなジャンプ。ステップの体の動きに、上下に動くところがあるとよさそう。
山田耕新(25) 西9 SP:61.01(16) FS:116.39(19) 合計:177.40(18)
「Fix You」コールドプレイ♪ 黒。社会人スケーターとして知られているので、拍手が一際大きい。トリプルアクセルをなんとかこらえて着氷、ルッツ・トウ、サルコウ・トウと3-3を続ける。後半少し疲れが見えてきたが、スケーティングが以前より明らかにきれいになっている。キャシー・リードの指導の成果!
<G3>
鈴木潤(14) 東3 SP:66.83(12) FS:140.56(8) 合計:207.39(10)
「ニュー・シネマ・パラダイス」♪ グレーのシャツ、黒ベスト。トリプルアクセル+2回転トウループ(両手上げ)、単独トリプルアクセルときれいに決まって盛り上がる。「北大生のスケーター」としてメディアに取り上げられた頃に比べて、スケーティングがうんときれいになった。
スピンのポジションもクリア、大きなイーグルとイナバウアーのコレオシークェンスも良かった。大学院に進学予定らしいが、スケートも続けてほしい
日野龍樹(4) 西1 SP:68.22(10) FS:155.39(4) 合計:223.61(7)
「キダム」♪ 紫。SPで出遅れたのでこの滑走順になったが、見事なフリー。ルッツ・トウ3-1-3、ルッツ・トウ3-3、トリプルアクセル+2回転トウループと立て続けに決め、「シルク・ド・ソレイユ」らしいムードをうまく醸し出していく。曲調の変化もきちんと表現できていた。
川原星(11) 西6 SP:67.74(11) FS:131.63(14) 合計:199.37(12)
「The Mission」♪ 深緑。トリプルアクセル頑張るが、ジャンプによってかなり前傾して跳ぶので、ちょっと気になった。ステップはなかなかいい感じ。後半は2回転が続いてしまい
三宅星南(9) J2 SP:68.77(9) FS:131.18(15) 合計:199.95(11)
「レ・ミゼラブル」♪ ブルーのジャケット。冒頭のアクセルが1回転になったが、2本目は2回転トウループをつけて成功。後半少し疲れが出てジャンプが詰まり気味になったが、一歩ごとに大きく伸ばすようにしてステップを頑張った。スピン中の足を換えないジャンプがスムーズ。サルコウ、ダブルアクセルとジャンプ連続でフィニッシュ、盛り上がる。
須本光希(13) J1 SP:72.93(7) FS:152.83(6) 合計:225.76(6)
「レ・ミゼラブル」♪ 同じミュージカルが続くことに トリプルアクセル2本、後半ルッツ・トウ3-3などほぼノーミス。ジュニアチャンピオン、ジュニアグランプリファイナル銅メダルの貫禄を見せ、きれいなイーグルで締めくくる。
端正なスケートだが、プログラムの中のメリハリはもう一つなので、今後の課題かも。ジャンプ前に少しスピードを落としてコントロールするが、スピードを生かせるとさらに評価が上がりそう。
山本草太 西5 SP:72.88(8) FS:135.39(10) 合計:208.27(9)
「ジキル&ハイド」♪ グレーのシャツ、黒ベスト。復活を喜ぶ観客の拍手の中、ループ・トウ3-2、トウ・トウ3-2などを決めていく。ジャンプはループ、トウループ、サルコウ、ダブルアクセルだけの組み合わせなので、終盤の2回転ループ等はパンクではなく予定の構成。
ジャンプの練習ができない間、スケーティングはみっちり練習したんだろう。スピードと丁寧さを兼ね備えた美しさ 手拍子も何も要らない、観客はただ彼と共にいた。
お帰り、草太
<G4>
友野一希(5) 西2 SP:78.16(5) FS:153.05(5) 合計:231.21(4)
「ウェストサイド・ストーリー」♪ 赤シャツ。映画を見た世代には、ジョージ・チャキリスの姿を思い起こさせる。サルコウ・トウ4-2決まった! 2本目は2回転になってしまったが、トリプルアクセル2本をコンビネーションで着氷。ジャンプは全部クリーンというわけでもなかったが、多少詰まっても絶対に下りる意識がある。
曲が変わるたびに変化をつけてストーリーを表現、全身で“歌ってる”。四方の観客にアピールできるのも強み。「代表候補としての自覚を持って滑りたい」その覚悟をこれからも
村上大介 東1 SP:80.99(4) FS:149.96(7) 合計:230.95(5)
レオンカヴァッロ「道化師」♪ 黒にシルバーのライン。全日本で「道化師」といえば、高橋大輔の名演技を思い出す。4回転サルコウ、きれい しかし2本目はパンク。トリプルアクセル2本は頑張る。
指先をきゅっと動かすだけでも、音を捉えることができる。フランク・キャロル仕込みのきれいなスケーティングも素晴らしい。最後はしっかり盛り上げた。
佐藤洸彬(8) 東2 SP:77.98(6) FS:136.87(9) 合計:214.85(8)
ロッシーニ「セビリアの理髪師」♪ 茶のビロード風ジャケット。踊りでは誰も真似できないが、ジャンプの出来は? トリプルアクセル+2回転トウループを下り、4回転トウループでステップアウト、2本目の4回転トウループ転倒。ステップは彼の真骨頂、音と共にポジションを変えていくスピンだけでもわくわく
会場が一体となって、軽妙なコレオシークェンスを楽しんだ。
無良崇人(3) シード SP:85.53(3) FS:172.88(3) 合計:258.41(3)
「オペラ座の怪人」♪ 黒と赤のビーズジャケット。会場の空気が一気に緊張する。渾身の4回転トウループ、決まった。ルッツ・トウ3-3、ループと順調に跳んでいく。ターンがクリアで大人の色気を感じさせるステップ、気持ちが伝わってくる。
後半のトリプルアクセル2本、さすがの美しさ。フリップ・ループ・サルコウは予定通り3-1-2(サルコウを3回転にすると、2本跳ぶ予定のルッツが無効になってしまう)。最後のルッツで少し乱れた以外、ミスがなかった。今季最高の演技に、涙が出そう・・・
納得の高得点、田中刑事の演技を待つ。どうなる
田中刑事(2) シード SP:91.34(2) FS:175.81(2) 合計:267.15(2)
フェリーニ・メドレー♪ ブルーと黒のジャケット。場内の緊張をほぐすように、ゆったりと滑り出す。4回転サルコウ決まった 2本目はステップアウト、これは+REPで基礎点が70%になるが転倒はしなかった。トリプルアクセルも高い。
体を大きく使って表現しながら洒脱にステップ。昨季から持ち越しなので、観客も盛り上がるところがわかっていて、一緒に楽しめる。
後半に4回転トウループ、これも見事。トリプルアクセルはまた+REPになってしまう。フリップに3回転トウループをつけて、なんとかコンビネーションを入れた。
ミスがあっても、衒いなく表現に徹したはっちゃけぶり、生き生きしていた。無良を上回ってトップに立つ。
宇野昌磨(1) シード SP:96.83(1) FS:186.47(1) 合計:283.30(1)
プッチーニ「トゥーランドット」♪ ブルーに金。マラソンでいえば、後続を大きく離して独走しているような状態…ダブルアクセル+4回転トウループに挑戦するとかで、6分間練習でも跳ぼうとしていたが、本当にやるのか?
いきなり4回転ループ、鮮やか そしてトリプルアクセル ジャッジスコアはGOE+3、満点だ。緩急、ためと加速、ぞくぞくするステップ。
後半4回転フリップ転倒、次の4回転トウループは下りた。ダブルアクセルから、、、2回転トウループになってしまった。続くトリプルアクセルから、、、何か跳んだ? ジャッジスコアによると、トリプルアクセル+1回転ループ(ダウングレード)+1回転フリップ。1回転のダウングレードって、ほぼ真上に跳んだだけなのでは それでも2本目のトリプルアクセルが+REPではないので、基礎点を損しないで済んだ。
最後のサルコウに3回転トウループをつけたが、これくらいはしないと後で樋口コーチに怒られそう(笑) とはいえ、滑りそのものは別格。バッククロスでコーナーを回るだけでも色気がある。
結果、優勝は誰もが予想した通り、宇野昌磨。2位田中、3位無良とSPの順位そのままとなった。4位友野、5位村上、6位にジュニアの須本が入った。日野7位、佐藤洸彬8位、復帰の山本草太9位、鈴木潤10位も大健闘。ジュニア1年目の佐藤駿が16位で新人賞。
ミスが連鎖することなく、それぞれが力を出せた大会だった