NHKBS1「ほっと@アジア」で「消えゆく上海語」の話題とTVガイドにあったので、見てみた。前半のVTRは見逃したが、上海出身の孔怡さんのわかりやすい説明に納得
上海では、元々北京語(標準中国語、普通話)とはかなり違う上海語が話されていた。しかし近年は標準中国語が生活の中心になり、日常的に上海語を話す人が減っているのだという。
上海は、HO生(つれあい)が1980年代後半に留学していた都市で、当時私も一度だけ訪れたことがある。その頃は上海語がかなり使われているようで、タクシーの運転手が知り合いに「ノンホー(儂好)」と挨拶していた。「ニィハオ」じゃないんだ~、とびっくりした覚えがある。生粋の上海人は、上海語が話せないよそ者に冷たいので、上海で商売するには上海語の習得が欠かせないという話もあった。
孔怡さんによると、理由その1は「学校教育で標準語の使用が義務づけられた」こと。義務づけられる前の学校では、語文(国語)で普通話を教える以外、たとえば数学や社会や理科の説明に先生が上海語を使っても許されていたということか。全教科を普通話で教えるようになったら、思考するための言語が普通話になり、話せても使う場面が少なくなっていくんだろう。
理由その2は「他地方からの移住者が増えた」こと。現在の上海市の人口は2400万人だが、そのうち上海で生まれ育って戸籍を持っているのが1400万人。“よそ者”が一大勢力になってしまった^^; これは普通話を使うほうが面倒がない
孔怡さん自身、上海に帰ると「両親や兄弟とは上海語で会話するが、甥や姪たちとは標準語になってしまう。彼らは標準語のほうが得意」なのだそうだ。それはそうだろうなぁ・・・
それでも、上海万博をきっかけに、「上海の文化を見直そう」という気運が高まり、上海語にも関心が向いているとか。一部の飛行機や電車のアナウンスに上海語も加える等の動きが出てきている。それはいい手だ。
台湾では國語(標準中国語)→台湾語(閩南語)→客家語→英語の順でアナウンスされるし、香港でも広東語と英語の間に普通話が入るようになった。日常的に聞く機会があるということが大事
上海語というと、、、映画にはちょっと出てきたりする。台湾映画「非情城市」には、台湾で勢力を持つ上海系マフィアと地元系マフィアが会合を持ち、それぞれ上海語と台湾語で話し、通訳がなぜか広東人という場面があった。「不夜城」で上海系マフィアのボスを演じたのが、なぜか思いっきり香港人の曾志偉(エリック・ツァン)だったり 「アラ、サンヘニン~」(我々上海人は~)なんて台詞もあった。
歌だと、陳奕迅(イーソン・チャン)「謝謝儂」が有名。歌詞全体は國語(北京語)なんだけど、「謝謝儂」(シャジャノン、ありがとうの意味)のひとことだけが上海語なのだった。
つれあいはなぜか黙っていると中国人・中国系に見えるので、若い頃は“ふり”をしてみたりしたらしい。台湾の飲み屋で「日本育ちの上海系華僑」というふれこみで「儂好」「謝呀儂」なんて言ってみせると、ホステスのお姉さんたちがすっかり信じ込んでしまうのだそうで(おいおい)
いつかまた上海に行くことがあるかな