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気色ええ

2006年12月11日 19時25分41秒 | ××語
 NHK「スタジオパークからこんにちは」にイーデス・ハンソンが出ていた。日本語ぺらぺらが“売り”の外人タレントの先がけになった人じゃないだろうか。来日して大阪に住んで、大阪弁が自然に身について、すっかり溶け込んでしまったそうな。
 東京でタレント活動するようになって、あらためて“標準語”を勉強しなおしたとか。やはり大阪弁のほうが好きで、「どこの方言もそうやと思うけど、生活感がある」という。「気持ちいい、って言うけど、大阪の古い人やったら、気色ええなぁ、って言うね。気色ええ人や、とか」
 気色という言葉は、いいほうにも使っていいと初めて知った。「気色悪い」しか聞いたことがなかったから。なるほど、はんなりしていい感じだ。(余談だが、「キモイ」「キショイ」は「気持ち悪い」「気色悪い」の略になってしまって、いいほうの意味に略されないのはなぜだろう?)
 しかし、「標準語では生活感、感情が出し切れない」と思う地方育ちの人は多いけど、関東で生まれ育った人間にとっては、なんとなく標準語みたいな関東弁が母語で、生活感バリバリ^^; この、どこか人工的な感じ(がするらしい)言葉の中で育って生きていく人がたくさんいるということが、なかなかピンとこないんだろうか。
 似たような疑問を、以前私はシンガポールの人に抱いていた。公用語は英語だけど、それは公式の場で必要なときだけ使うもので、家庭ではそれぞれの民族言語を使っているんだと思っていた。ところが、旅行先で出会うシンガポール人家族などを見ていると、英米人とは程遠いカタカナっぽい発音の英語を常に使い続けていて、夫婦の会話も親子の会話もその英語なのだ。子供たちは明らかに、この英語で育っている。この子達の母語は、この英語だ(いわゆるシングリッシュというやつ)。
 人工的でも、まぜこぜになっても、その中で生まれ育ったら、それが自分の言葉になる。私にとってはそれが“標準語もどき”。テレビで大阪弁を聞いてたらふと口から出たりするけれど、それはなんていうか、アクセサリー。本体は案外くずせそうでくずせない。
 辛淑玉さんが自著の中で、「母語は、東京語。」と書いていた。私の母語はさしずめ、「東京周辺語」かな。
 
コメント
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