よしなごと徒然草: まつしたヒロのブログ 

自転車XアウトドアX健康法Xなど綴る雑談メモ by 松下博宣

モノゴトへの投資 ~リアルオプションと「エイヤッ!」~

2006年09月18日 | ビジネス&社会起業
コマーシャル・オープンソースの世界には面白いモノやコトが満ち溢れている。そして、この世界でのモノやコトに対するカネの使い方にはいろいろある。なにを、いつ、どこで、だれが、どのようにして、なぜ、いくらお金をかねてヤルのか?あるいはヤラないのか?

モノやコトの決め方を体系的に究明し、モノゴトのよりよい決め方をさぐろうとするのが意思決定科学(Decision Science) だ。飯を食べながらSugarCRMのマークとお互いの専門の話となった。かれはダートマスで数学を学び、ウオートンでMBAをとっている。この生粋のアイビーリーガーは、一貫してこの意思決定科学をメジャーとしてきたということを、とび色の目をキラキラさせながら話す。

そうなると話は早い。リアルオプションという共通言語、あるいはカードをお互いが持っているので、リスクをキーワードにして話は一気に進む。砂糖男たちは、日本のある特定の市場において機会に直面し、いかにリスクをとるのかというテーマで熱く語り合うことに。

さてリアルオプションとは、これからどうなるか分からないような不確実性の高い状況のなかで、後戻りできないモノゴトの意思決定の選択権や自由度のこと。まっとうなビジネスでは、こうした選択肢の存在や自由度を経済的な価値と見る。そうして、将来の期待利益とリスクを加味して見定めることで、事業評価やリスクへッジ、取引条件の設定などに活用する。

と言いながらも、笑)人間は実はリアルオプションが前提にしているような完全に合理的な行動などとれっこないよ、という仮説も有力だ。うなずけます。ヒトが完全に合理的な行動を取れない理由にはいくつかある。

理由1: そもそもヒトは合理的な行動が分からない 
理由2: ヒトは合理的な行動は分かるが、いろんな理由により実行できない
理由3: ヒトの行動は目的合理性よりも感情に支配されやすい

リアルオプションはクールな方法論だ。でも、この戦略的意思決定のツールを活用しながらも、最終的に意思決定するときのマインドは存外「エイヤッ!」に近い。クールに考え、議論し、熱くキメゴトまでもってゆく。「エイヤッ!」か「様子を見る」か「まあ、諸般勘案しつつ機が熟すのを待って・・・」というのは、動機や気質といった世界のテーマなのだろう。

ただしリアルオプション的判断を積み重ねた上での「エイヤッ!」と、たんなる「エイヤッ!」を比べれば、断然前者の成功確率は高くなる。経営における弁証法的手法としてリアルオプションのカードは思考方法としても、実物オプションとしても必須な持ちものだ。

ともあれ「エイヤッ!」の一歩手前までは事実関係を要素に還元したり、仮説検証や分析をクールに積み上げる、どちらかというと左脳系。そして「エイヤッ!」は、綜合的であり、動機、情念、情動、気質などの要素の影響下で、直感的、機動的、ときとして審美的になされる。ゆえにどちらかと言えば右脳系。交渉ごとなど相手の存在を前提に行う意思決定には、シンクロニシティやセレンディピティといった要素も、また、大きく影響を及ぼす。

共通のアジェンダに向かい、縦横無尽に左右の脳ミソを使い、時が経つのも忘れクリエイティブな議論を尽くし、その議論に没入するのは、ハイタッチなフロー体験だ。ついでに酒もたっぷり飲んで、リスクテーカーたちは、クールに熱く、ある方向に進むことに!?

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