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よしなごと徒然草: まつしたヒロのブログ 

自転車XアウトドアX健康法Xなど綴る雑談メモ by 松下博宣

社会起業、ソーシャル・アントレプレナーシップ寺子屋 

2008年11月22日 | ビジネス&社会起業


今一生さんを授業に招いてトークショウ。前期の学生の強い要望もあり公開授業にしました。農工大以外からも、東京工科大学ビジネススクール、日本大学ビジネススクール、多摩大学、武蔵工業大学などからも多数ご参加いただきました。

<以下、今一生さん講演録からの貼り付け>

昨今、「社会起業家」という言葉が一部で話題になりつつあります。
今日は、日本における社会起業家の動向を中心に、いったい「社会起業家」と何者で、どんな活動をしているのかについて、ざっくりとした話をしていきます。

まず、社会起業家とは何か。現在では学説的には諸説ありますが、僕はこのように定義するのがすっきり理解できると思います。

社会起業家とは、ビジネスの手法を手段として利用することによって社会的課題の解決という目的に取り組む働きをしている個人や団体。

団体の組織形態はNPO、企業、有限中間法人、社会福祉法人、財団などさまざまですが、ビジネスが手段であり、目的ではないというところがポイントなので、「社会問題の解決と儲けを天秤にかけたら解決のほうを迷わず選ぶ」という構えが従来型の企業活動とはまるで違うのです。

実際、今日では政治や行政が解決できていない社会問題は山ほどあります。
環境問題、在国外国人の待遇問題、ニートなどの若年失業者問題、高齢者介護の問題、障害者福祉、「ワークライフ・バランス」と呼ばれる仕事と家庭生活の両立問題、キャリア教育支援、農業再生、途上国支援、地域経済の再生など、切実に問題を抱えている人々がいろんな方面にいるわけです。

しかし、それぞれは国全体から見れば少数派になってしまい、行政は「最大多数の最大幸福」を目指して運営されているため、そういう少数派の方々の問題の解決は常に後手に回ってしまい、結果的に解決が放置されてしまうわけです。

こうした社会的弱者たちは、国の制度が変わるのを待っていられないほど苦しみを抱えていますから、結局は国に頼らず、民間の自助努力として解決の方法を探る必要があるため、市民運動家たちが非営利団体などを立ち上げて、問題解決のコストをまかなうために寄付を募ってきたわけです。

<以上、今一生さんの講演録からの貼り付け>

・・・というイントロから始まり、社会起業事例多数。裏話も。ビジネススクールでビジネススキルを鍛えて、既存の営利ビジネスだけに活かすだけでは、いささかもったいない。

とかねがね思っている。IT企業F社に在籍しているKさんは、前回の視力障がい者とタイアップした企業向け出張マッサージサービスのアイディアを社内SNSで語りかけたところ、ある若手社員がビビッと反応して、秋田の盲学校と連携してプロジェクトをたちあげた。

イノベーションの他地域、他ドメインへの伝播(スケールアウト)は社会イノベーションの場合、けっこう早いが、まさにその通り。



講演が終わってからは、飲み会(忘年会にしてはちょっと早いが・・)です。毎回のように盛り上がりました。写真がヘンなのしか撮れなかったので、涙)、写真撮った人、ぜひ僕に送ってください。おってブログに掲載させていただきます。



今さんとともに。農工大MOTM2渡瀬さん提供写真。ありがとうございます。




専門職大学院で学ぶ成果のひとつは人脈づくりにある。



東京工科大学ビジネススクールの秋元さんからフォトを送っていただきました。ありがとうございます。許諾のうえ、このブログにアップさせていただきます。

今一生氏、講演会:「社会起業運動の動向と社会起業家から学ぶもの」

2008年11月04日 | ビジネス&社会起業
11/21(金)19:00からアントレプレナーシップの授業の一環として外部の有識者を招いて、寺子屋風の講演会、自由討論会を開きます。

東京農工大大学院の学生はもとより、他大学、社会人をまじえたオープンな集まりとします。今回の企画は以下のおとりです。

ふるってご参加を。毎回どおり、飲み会も盛り上がります。笑)

●スピーカー:今一生さん
●演題:社会起業運動の動向と社会起業家から学ぶもの
●内容:上記テーマによる講義と、参加者を交えての自由討論
●日時:11/21(金)19:00~
●場所:キャンパスイノベーションセンター4階(田町駅南口徒歩1分)
●参加予約:下記の2点について11月14日頃までに事務局あてメールください。
kikaku@mot3.sakura.ne.jp
(1)講演会:参加 or 不参加
(2)終了後の飲み会:参加 or 不参加

●備考:予約者が多い場合、立ち見になります。その際はご容赦を!

今一生さんのブログから以下貼り付けさせていただきます。今さんの問題意識の一端が論じられています。

<以下貼り付け>

約1年続けてきたこのブログも、今回で最終回となります。

 そこで、東大自主ゼミで僕が社会起業をテーマに取り上げる前に、なぜさまざまな「社会的弱者」(ニートやユニークフェイス、精神科通院者など)の当事者たちをゲスト講師に招いたのかについて、説明しておきます。

 その理由は、社会の仕組みが悪いために「社会的弱者」にさせられている立場の人に共感できる能力がないと、社会起業は成り立たないからです。

 たとえば、何不自由なく育てられ、受験勉強のための塾や通信添削などの費用も無理なく調達できる富裕層の親に育てられた人ほど高学歴になっている現実は、端的に貧乏な家に生まれた不幸な子は低学歴の人生を余儀なくされるということを同時に意味します。

 幼稚園や小学校の頃から私立に通い、中高一貫教育を受けている高校生が、自分と同じ年齢でも貧乏な家の子が高学歴の人生を手にできず、気がつけば、「社会的弱者」の大人になってしまうという現実に対して、ただ「かわいそうな運命ね」と片付けてしまうのを見る時、僕はやりきれない気持ちがします。

 恵まれた環境に育った以上、それによって育まれた知恵や人脈、資産を低学歴の子たちともシェア(共有)していくことはできないのでしょうか?

 僕の自主ゼミでは、常にそうした問いかけを行いました。
 すると、東大をめざしていた女子高生が社会起業家を多く輩出している慶應大学湘南・藤沢キャンパス(SFC)に志望校を変え、見事合格しました。

 成績優先で進路を決めるのではなく、本当に学びたいものを学べる大学へ進学したいから受験勉強にも身が入ると思うのです。
 
 大学は長い人生の中ではただの通過点にすぎませんし、卒業後の進路はみんな「社会人」になるわけですから、会社から雇用されるか、自分でビジネスを始めるかのどちらかを選んでいるわけです。

 会社という組織では、どの社員も「取り換えのきく存在」です。
 誰かが今日抜けても、明日から業務が止まるわけではありません。

 しかし、世の中には、誰かが手を差し伸べないと問題に苦しみ続ける人がたくさんいます。

 だからこそ、「俺がやらねば誰がやる?」と意気に感じて社会起業家になり、毎日生き生きと働いている人がいるわけです。

 その一方で、心を病んで自殺してしまう人もいます。

この両者は、どこでどう差がついてしまったのでしょうか。

それは、連帯できる仲間を見つけられたかどうか、です。

 自殺を選んでしまう者の多くは、下流資産層から中流層に成り上がった低学歴の親に育てられたため、「食えれば仕事は何でもいいんだから。夢なんか追わずにとにかく働け」「夢なんか持ってもお前なんかにできるわけがない」などと言われ続けてきました。

 簡単に言えば、自分の生きがいを親にも教師にも応援されてこなかったのです。

 しかし、それだけに「この社会には生きやすくなるための風穴が必要だ」という直感だけは冴えていました。

 まさに、それは社会起業家であるジェッド・エマソン(※渡邊奈々・著『チェンジメーカー』参照)のいう「パンクロック」の精神そのものです。

 NHKのワーキングプア層を取材したドキュメントの番組でも、若年ホームレスが行政の仕事で草むしりをしたら市民から感謝されて自尊心を取り戻し、復職への意欲につながったという実例が紹介されていました。

 このように、下流資産層は自分が必要とされる体験に飢えていますし、それは同時に社会起業家の存在意義にもピンと来ることを意味しているのです。

 言い換えれば、自殺にまで追い込まれているようなニートやフリーター、ネットカフェ難民の若者ほど、社会起業家として成功するポテンシャル(潜在的な勝算)が高いのです。

 事実、自身のホームレス経験から起業した「エム・クルー」の社長・前橋靖さんは、建設軽工事請負業を通して「社会的弱者にやさしい社会を作りたい」と考え、街をさまようホームレスの若者に声をかけては、自身が作った短期宿泊施設に泊まらせました。06年度の売り上げは約9億円に上るといいます。

 「2015年には正社員が労働者全体の半分になる」と試算される今日、2人に1人は雇用されないのですから、自営業者になるか、自分で会社を立ち上げる以外に、まともな暮らしは望めなくなります。

 その時、ホームレス生活のようなどん底を経験したことは武器になります。

 社会的弱者だった経験は、自分と同じような社会的弱者が何を切実に求めているかがわかるので当事者意識を分かち合えますし、支援対象である顧客と連帯できるからです。

 山口県で生まれた地域活性化のための社会起業家「地域維新グループ」でも、「自称ニート」の青年たちが荒れ果てた茶園にレゲエを聞かせながら再生に挑んでいるといいます。
みんなが放置してしまった場所は、彼らの愛しい楽園なのかもしれません。

 社会起業は、ともすれば死んでしまいかねない社会的弱者にも居場所を与えるのです。

 自分自身の働きが社会問題を解決することに貢献できることは喜びであり、ふつうに会社に就職してもそうした喜びや働く意味が得られない若者にとっては、目の前の社会問題を解決できる仕事こそが働く意欲をそそるものになるでしょう。

 働く意欲を得れば、人は「今」という時間を楽しく生きられます。

 自分の仕事だと胸を張れるものが見つかれば、それがすぐには人並みの暮らしを約束しないものであったにせよ、人は笑って死ねるのだと思うのです。

 読者のあなたにこう問いかけて、このブログを終わります。

「今日で人生最期でも、あなたは今の仕事をやりますか?」

<以上貼り付け>

内閣府の社会イノベーション研究会

2008年10月29日 | ビジネス&社会起業


昼すぎから、委員を仰せつかっている内閣府経済社会総合研究所の社会イノベーション研究会の社会起業研究ワーキンググループに参加。熱く濃い集まりだ。

慶応義塾大学の井上英之専任講師から、慶応でのソーシャルイノベーション研究についてのプレゼンテーションを聞いてからディスカッションに花が咲く。

写真掲載の許諾をいただきましてありがとうございます 笑)

ざっと紹介すると左から:

大川新人さん(明治学院大学経済学部)、百合本安彦さん(グローバル・ブレイン社長)、渡辺孝さん(座長・芝浦工業大学大学院工学マネジメント研究科長)、井上英之さん(慶応義塾大学総合政策学部社会起業/ソーシャルベンチャー研究室)、奥田有紀さん(慶応SFC研究所)、不肖松下、服部篤子さん(社会起業家ネットワークCAC代表)、露木真也子さん(東工大大学院国際社会企業家養成プログラム)。

MOTでもイノベーションは重要なテーマだが、その力点は市場原理の中で行動する企業ベースのイノベーションに置かれる。資本、市場、そして競争原理はイノベーションの一大源泉であり、イノベーションの主体者としての営利企業の存在は大きい。でも営利企業のみがイノベーションの推進者ではない。

ソーシャルイノベーションとは、Bottom of Pyramid的市場経済や、既存の市場主義、競争原理からともすれば疎外されやすい財やサービスを成功裏に提供することによってもたらされる。必然的にビジネスのノウハウが活かされることになる。

米国では営利企業もソーシャルイノベーションの担い手である、という見解が主流だが、欧州では事情が異なる。営利性を排除、あるいは制限した組織によって推進されるチェンジがソーシャルイノベーションであるべき、という見方が強い。

いずれにせよ、ソーシャルイノベーションを巻き起こす起爆人材が社会に投入されなければ、ソーシャルイノベーションの成功確率は高まらない。よって社会起業家をどうように育成すべきか、という議論になる。

・では社会起業家をどのように発掘・開発すべきなのか?
・ソーシャルイノベーションを支援する政策的なインプリケーションは?
・ビジネススクール、公共政策大学院、あるいはどのような形態の大学院で社会起業家を養成すべきか?
・営利セクター企業のCSRがらみでの支援取り付けは?
・ファンドレイジングは?
・ハンズオン支援の具体的な姿は?

従来型の営利ビジネスは、競争原理による理性軸が強い左脳系が中心だったが、社会起業家にはデザイン感性、アート感覚による右脳型創造・共感教育が必要とのこと。このあたりのダニエル・ピンクの議論を下敷きにしたmodelはよくわかる。

詳細については井上さんのワーキングペーパーがわかりやすい。

社会起業家の活躍の場=プラットフォームを生態的に見ることが必要。営利ビジネスサイドに居る人々の共感を得て、お金のみならず時間、専門的能力、励ましなどのソーシャルキャピタルを、社会起業家のビジネスモデル=Theory of Changeにレバレッジをかけて提供する循環的なエコシステムをプラットフォーム化しよう、という井上さんの話。なるほど。

話はつきない。あっという間の2時間。

東京工業大学ノンプロフィットマネジメントコース:社会イノベーション公開講座

2008年10月07日 | ビジネス&社会起業
東工大で社会起業家による社会イノベーションの事例をふんだんに紹介、検討する集中講座が開かれる。興味のある人はぜひ!

<以下貼り付け>

東京工業大学ノンプロフィットマネジメントコース公開講座(全5回)
「Change the World ―日本の社会起業家が語る社会イノベーション―」

東京工業大学大学院の博士後期課程ノンプロフィットマネジメントコースでは、
昨年に引き続き、第一線で活躍されている“社会起業家”の方々を外部講師とし
てお招きする公開講座を開講いたします。
第1回は、「セカンドハーベスト・ジャパン」を取り上げます。このNPOでは、毎
日、大量に廃棄される食糧のうち、十分な安全性をもつ食品を、母子家庭やワー
キングプア、高齢者、ホームレスの人々などを支援する団体に提供する「フード
バンク」という活動を展開しています。
活動を始めた経緯、これまでの取り組み、将来に向けてのビジョンなど、理事長
のチャールズ・E・マクジルトンさんと事務局長の和田裕介さんに語っていただき
ます。
どうぞ奮ってご参加ください。

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第1回「フードバンク活動から考える日本の社会起業とNPOの課題」

東京工業大学大学院の博士後期課程ノンプロフィットマネジメントコース専修講
義「社会イノベーションとノンプロフィット・セクター」公開講座の第1回は、食
の不均衡を是正するフードバンク活動を日本で展開しているセカンドハーベスト
・ジャパンから、理事長のマクジルトン E. チャールズさんと事務局長の和田裕
介さんをお迎えします。

日 時:平成20年11月6日(木) 18:30~21:40
場 所:東京工業大学大岡山キャンパス 西9号館6F 607セミナールーム
※裏面の地図をご参照ください。

講 師:マクジルトン E. チャールズさん(セカンドハーベスト・ジャパン 理事
長)
    和田 裕介さん(セカンドハーベスト・ジャパン 事務局長)

【講演概要】
 セカンドハーベスト・ジャパンは、日本で初めての「フードバンク」として、2000
年に「フードバンク/Food Bank Japan」の名で設立されました。飽食大国の日本
では、消費できるのに廃棄される食糧が、毎日、大量に発生しています。「フー
ドバンク」とは、こうした食糧のうち十分な安全性をもつ食品を、母子家庭やワ
ーキングプア、高齢者、ホームレスの人々などを支援する団体に提供する活動で
す。アメリカ人のマクジルトンさんが、日本でフードバンク活動を始めようと思
ったきっかけから、セカンドハーベスト・ジャパンのこれまでの取り組み、そし
て活動をとおして考える日本の社会起業や非営利セクターの課題と将来ビジョン
などを存分に語っていただきます。(参考URL: http://www.2hj.org)

受講料:無料
定 員:40名程度

本講座へ参加をご希望の方は、お名前、所属、連絡先(E-mailアドレス)を、

tsuyuki.m.ab@m.titech.ac.jp

までご連絡ください。

※本公開講座は、内閣府経済社会総合研究所(ESRI)「平成20年度イノベーショ
ン国際共同研究プロジェクト・社会イノベーション研究会」との共催で開催いた
します。

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第2回以降の予定は下記のとおりです。


第2回 11月20日(木) 18:30~21:40 西9号館 6階607セミナールーム
    「地域でふつうに暮らせる“国際標準の福祉”」
    戸枝 陽基(社会福祉法人むそう/特定非営利活動法人ふわり 理事長)
    むそうホームページ: http://www.musou03.org/

第3回 12月4日(木) 18:30~21:40 西9号館 6階607セミナールーム
    「大地を守る無農薬野菜と市民運動」
    藤田 和芳(NGO大地を守る会 会長/株式会社大地を守る会 代表取締役

    大地を守る会ホームページ: http://www.daichi.or.jp/

第4回 12月18日(木) 18:30~21:40 西9号館 6階607セミナールーム
    「北海道のエコ住宅を全国に―日本の住宅を革新するNPO活動」
    鎌田 紀彦
    (室蘭工業大学 工学部建設システム工学科 教授
     /特定非営利活動法人新木造住宅技術研究協議会 代表理事)
    新住協ホームページ: http://www.shinjukyo.gr.jp/

第5回 1月15日(木) 18:30~21:40 西9号館 2階ディジタル多目的ホ
ール
    「誰でもできる海外送金―MFIの仕組み」
    枋迫 篤昌(President, CEO Microfinance International Corporation

    MFIホームページ: http://www.mfi-corp.com/
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※講師と講演タイトルは、都合により変更になる場合があります。予めご承知お
きください。

<以上貼り付け>




ソーシャル・エンタープライズ国際カンファレンス2008

2008年09月04日 | ビジネス&社会起業
ご縁を頂き、アントレプレナーシップやサービスイノベーション研究の一環として、内閣府経済社会総合研究所「イノベーション政策及び政策分析手法に関する国際共同研究、社会イノベーション研究」嘱託委員としても、社会起業の方向性をリサーチしている。

このところ、社会起業をめぐるイベントが急に増えてきている。ソーシャル・エンタープライズ国際カンファレンス2008が明治大学で開催される。

<以下、案内サイトから貼り付け>

□■ソーシャル・エンタープライズ国際カンファレンス2008■□
 ~企業化する非営利セクターと
  台頭するソーシャル・エンタープライズ(社会的企業)~(通訳つき)

 明治大学経営管理大学院・公共経営研究所では、非営利組織の経済学・経営学分野で世界的に著名なデニス・ヤング教授をはじめ、米国と英国からソーシャル・エンタープライズの研究と、実践の第一線で活躍する3名の方々を招聘し、9月16日(火)17:00より、明治大学リバティタワーにおきまして、「ソーシャル・エンタープライズ国際カンファレンス2008」を開催します。

 カンファレンスでは、英米におけるソーシャル・エンタープライズの現状、その社会的インパクトや非営利セクターへの影響、持続的発展のための戦略について講演をお願いし、英米の実践経験から何が学べるかを考えます。英米のソーシャル・エンタープライズの最新の動向について知ることができると思います。ご関心がありましたらぜひご参加ください。

◆日時:2008年9月16日(火)17:00~20:30(16:30開場)
◆会場:明治大学駿河台キャンパス リバティタワー1階 1012教室
    東京都千代田区神田駿河台1-1(JR御茶ノ水駅より徒歩3分)
   http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/access.html
◆テーマ「ソーシャル・エンタープライズ国際カンファレンス2008~企業
    化する非営利セクターと台頭するソーシャル・エンタープライズ」
◆講 師
  ・デ二ス・ヤング氏(米国 ジョージア州立大学教授)
  ・アリソン・オグデン-ニュートン氏
    (ソーシャル・エンタープライズ・ロンドン 代表)
  ・アシシュ・ドウィヴェディ氏(元 SELDOC 代表)

【スケジュール】
17:00-17:10  開会あいさつ
17:10-18:10 基調講演 デニス・ヤング氏
      「競争・協働とソーシャル・エンタープライズ?
           非営利セクターに対する競合的・相補的な影響」
18:10-19:00 講演 アリソン・オグデン-ニュートン 氏
      「英国におけるソーシャル・エンタープライズの現状と課題」
19:00-19:50 講演 アシシュ・ドウィヴェディ氏
      「ソーシャル・エンタープライズ:エンパワーリング・ピープル」
20:00-20:30 ディスカッション

◆主催:明治大学非営利・公共経営研究所(明治大学 塚本研究室)
◆参加申込:不要 (ただし当日、定員200名に達し次第、入場をお断り
する場合もあります)
◆参加費:無料
  【問合せ先】
  明治大学非営利・公共経営研究所 inpms@kisc.meiji.ac.jp
  FAX:03(3296)2065

詳細はこちら

<以上、案内サイトから貼り付け>

学期末、最後の授業→打ち上げ

2008年08月05日 | ビジネス&社会起業


今日は、社会起業家の田辺大さんを招いて田辺さんがリードしている社会的事業、考え方、今後の抱負などをケースとしてお話いただいた。非常に濃い内容、かつ意味が充満したメッセージをいただいたと思う。

それから東京工科大学ビジネススクール、アントレプレナー専攻の専攻長の尾崎弘之先生と学生さんもジョインいただき、にぎやかな講演となった。



その前に、大村と安力川のビジネスプランの発表会。ふたりともよかった。
安力川は、めずらしく?マジメモード。



あとは田辺さんを囲んで東京工科大学BS+農工大MOTのアントレプレナーで飲み会。



なんとお父さんが東京工科大学の大学院で学び、息子さんが農工大2年という親子も会場に。すごいです。



アントレプレナーシップでは株式会社起業とともにソーシャル・イノベーションの担い手の社会的起業にも力を入れている。もちろん、MOT専門職大学院の授業である以上、イノベーション創発、リスクマネジメントの旋律を織り込みながらのコース。



田辺さん、本日はありがとうございました!エネルギーをたくさんいただきました。



MOT、MBAやアントレプレナー系の大学院は現場でもっと絡んでいこう。今後もこのようなかかわりあいはつづけてゆきたい。よろしくお願いします。



さて教室内のインストラクショナル・デザインは、アクション・ラーニング手法を中心としてきた。当事者としてビジネスプランを2ヶ月半かけて作成するというもの。



やりたいこと、やれること、やるべきことをそれぞれの「場」で、拡散的、収束的に発想してアイディアを練り上げビジネスプランにしてゆくという手法。この流れのなかで、起業家発想をみにつけてゆく。



経営事象を事後的に分析するのではなく、創ろうとする経営事象の根拠を積み上げて仮説しストーリー化してゆく。伝統的な経営学のアプローチは経営事象の事後的な説明が中心なので、このコースは「逆張り」だ。



知識を使って人は思考を高め思索を深める。なので知識のインプットは大事だ。しかし、知識は使うことによって身体に粘着してくるし、他者のそれと研磨することによって熱の場力を生じさせる。

このアツさがイノベーション発生に繋がってゆけばしめたもの。



ビジネススクールや専門職大学院での大きな獲得価値は人と人との絆づくり、人脈づくりにもある。



上海出身でM1の才媛、呉さんと。後ろにはなぜか大村が・・・笑)

社会起業は2008年7月30日をもって社会現象となった!

2008年08月01日 | ビジネス&社会起業


社会での出来事は社会を構成する個人の集合によって認知されることによって社会現象となる。社会起業は欧米の知識コミュニティーでは注目度が高いが、日本では相対的に低いといわれている。

ところが、社会起業支援サミット2008に出かけていって変化の兆しを感じた。新自由主義ドクトリンで操作される市場原理、市場競争、株主利益主義だけでは解決できないような問題、そしてそれらが作った問題に対して「問題解決」を図りつつある老若男女が早稲田の大隈講堂に集結し、300人もの聴衆が熱く集まっているいる様は、社会起業がたんなる出来事から社会現象へ静かに転移しつつあることを示している。

そしてその示唆が早稲田大学という大衆志向の場から発せられたことは今後、この運動のエッポックとして意味深いものとなるだろう。当時はそのような言葉はなかったのだが、大隈重信は稀有の社会起業家だったことを参照すればなおのことだろう。

なるほど近年ハーバード、コーネル、MIT、スタンフォードなどで盛んに社会起業のイベントが開催されている。そして社会起業というテーマが、日本の大学でも平日300人の市民を動員して盛大に開かれたという一事をもって、社会現象となる端緒に果敢な第一歩を踏み出したわけだ。かくして2008年7月30日は永劫に記憶されるだろう。

社会に対する問題解決を、自分への問題解決と同一視するコヘレント感覚の社会事象化こそが今、必要なのだ。そしてその必要性がどこからやってくるのかという再吟味も。

出来事を現象化する技術、その技術を共有化するコツ、ちょっとしたアイディアやヒントを共有して分かち合ったり、助け合ってゆく場としてのコミュニティ・オブ・プラクティス(Community of Practice)を拡げ深めてゆくことが課題だろう。

社会起業スキル、社会企業経営スキルをオープンソース化してゆくことがこの国の「場」力を高めてゆくことにいささかながらも寄与できるだろう。もちろん、当事者としてその動きを進めてゆきたい。


社会起業サミット2008 早稲田大学

2008年07月24日 | ビジネス&社会起業


早稲田大学で7/30に社会起業についての集まりがある。
もちろん参加費は無料なので、どんどん行こう。
ざっとこんな感じ。

<以下貼り付け>

社会起業家とは、政治や行政だけでは解決できない社会問題を、
事業を興すことでコストを賄い、解決のために働く人たちのことです。

世の中には、地域経済の疲弊、環境破壊、子育てと仕事の両立など、
さまざまな社会問題が放置されていますが、そのような問題の解決には多くのコストがかかります。 解決に従事するスタッフには、彼ら自身が生活するための人件費も必要です。

そうした市民運動家は増えていますが、彼らに寄付する団体が増えるわけではありません。

つまり、活動原資を寄付金に頼ってばかりもいられないのです。 そこで、自ら収益事業を興してなんとか解決活動が持続可能なものとなるように努めているのが、社会起業家なのです。

http://gogo-socialventure.blogspot.com/

しかし、現在、「社会起業」について、日本人の84%がまだ知りません。

http://www.meti.go.jp/press/20080403005/03_SB_kenkyukai.pdf

こうした現状に対して、10代の学生が中心になって一般市民と一緒に社会起業家を支援していこうというのが「CCC」であり、その最初のアクションがこの「社会起業支援サミット」なのです。

初となる今回(第1回)の開催趣旨は、次の通りです。

社会起業家の求める支援の一つである広報術の無料レクチャーを実施する一般市民に直接、社会起業を知らしめ、社会起業家との人材マッチングを行う報道関係者に社会起業を学ぶ機会を提供し、広報支援をとりつける

<以上貼り付け>

若者のみならず団塊の世代のNPOも登場する。このへんがいかにも早稲田らしい。詳細のサイト


(団塊のノブレス・オブレージ→団塊世代の知恵の還元)


(ノンカフェ→既存の出版のビジネスモデルをスロー化するソーシャルイノベーション)

いろんな世代のパワーに期待。支援を得るのみならず、画期的な社会起業アイディアがスパークするような場になれば面白い。

Muhammad Yunus氏、MIT卒業式で社会起業を語る

2008年07月07日 | ビジネス&社会起業
先日のMIT卒業式でのスピーチは、ノーベル平和賞受賞者のMuhammad Yunus氏。米国知識人階層やアカデミアでの社会起業への注目度の高さを象徴している。

MITのシステムでYunus氏のスピーチと全文が掲載されている。理路整然と論を組み立て、聴衆のハートに届く明確なメッセージ。

Yunus氏は、バングラディッシュで貧民向けの銀行、グラミン銀行を設立し、マイクロクレジットのビジネスモデルを作り上げた。それまでは銀行は金持ちを相手にしていて貧困者にはまったくお金をかさなかった。そこで小額のローンを貧困者向けに開発して貧困からの脱却を支援するというソーシアル・イノベーションを起こした。

金融サービスのイノベーションなので、サービス・イノベーションとして位置づけられることも多い。いずれにせよ、経済力のみならず、生きる自信と意味を与え続けている偉大な社会起業家だ。

要点はこんな感じ。

従来のビジネスは資本主義経済のなかで動いてきた。その目的は利益を最大化することにある。しかし私のビジネスは私に「幸せ」を最大化することを狙っている。いままでの「ビジネス」は利益志向という、余りに狭く一面的な領域に押し込められてしまっている。

しかし人間には多面的な視点がある。我々が世界で直面している問題は、「利益最大化のレンズ」だけでは見えてこないことに気がつくべきだ。もうひとつの重要なレンズは、社会ビジネスだ。ビジネスから得られる幸せは、「利益の最大化」だけでなく、「広く認められる社会的意味の達成」にある。だからビジネスにも、利益追求事業と社会事業とがあるべきだ。これらの2枚のレンズを通して世の中を眺めて行動しよう。

大きな問題であっても、あきらめてはいけない。どんなに大きな問題でも小さな問題の積み重なりから出来上がっている。だから身のまわりの小さなことから問題を解決するようにしよう。あなた方の世代は世界を変化させることができ、一人一人は世界を変える力がある。

そしてこれからの長い一生のうち何か一つは、あなたが最も心を痛める問題を解決するための、社会事業に関わって生きてほしい。

                       ***

資本主義のダイナミズムをフル活用してイノベーション研究、創発に非常に熱心なMITではあるが、こうして従来の利益獲得のためのビジネスのあり方の大前提を疑い、新しい可能性を切り拓く起業家を卒業式でスピーチさせるというのは、さすがに目のつけどころがいい。

変革者は変化のために社会の制度を活用するし、制度のありかたは起業家に影響を与える。だからEntrepreneurshipは、生態的にCo-evolutionary Dynamism between Innovation and Institutional Systemsととらえる必要がある。その熱い波を感じる。


MOTアントレプレナーシップ論→飲み会

2008年06月11日 | ビジネス&社会起業
今日の授業は京都大学産官学連携センターイノベーション・マネジメント・サイエンス研究部門から畏友、麻生川静男先生を呼んで社内起業、社内ベンチャーのケーススタディ。こういうナマのケーススタディは、きっと新鮮な視点をもたらしたに違いないと期待。




ここまでは極めてマジメモード。いい質問もたくさん出ました。
さて、その後は例によって飲み会。麻生川先生との懇親会もかねて。



農工大MOTが誇る美女才媛3人衆に囲まれてニヤけている麻生川先生。
みんな笑顔が素敵です。



このクラスのいいところは20代から60代までの世代が気持ちよく繋がっているところ。
それにしても楽しそう。

途中から、企業倫理学(CSR経営学)の藤田先生とそのクラスの学生も合流。



授業では知的刺激を共有し、その後はアルコールを共有しよう。
講義ではロジックを重んじるが、起業家には情も必要ですね。
適度なアルコールは情と情を結びつけてくれます。



熱い二人が結びつく。イノベーションは新結合から生まれる!?



若いっていいですね。健全な二人に幸いあれ。



というわけで、わいわいがやがやの楽しいひと時。
あっという間の3時間でした。

MOTが日本を元気にする。
そのためにはMOTを学ぶ者同士が元気でなくちゃいけない。

ケーススタディーとして起業家の人生=文脈に埋め込まれている物語を体感することは本当に大事だと思う。起業家の経験を疑似体験しておいてから、起業経験をするほうが成功確率は高まるだろう。

麻生川先生、ありがとうございました。
幹事の加藤さん、ありがとうございました。