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よしなごと徒然草: まつしたヒロのブログ 

自転車XアウトドアX健康法Xなど綴る雑談メモ by 松下博宣

大失業時代の副業・資格

2009年05月20日 | ビジネス&社会起業


このところ、経済雑誌には副業ネタが増えてきた。雇用崩壊、給与崩壊で危機をつのらせるプロモーションが一段落。副業がたぶん次のネタか。

減る給料、増える自由時間。では、どうする?その対応方法の一つが副業、資格取得ということ。

自己責任で成果を追及すれば行き先は2つ。

(1)雇用されている企業での職務の中で成果を追及する。→雇用型成果

(2)自分で職務を創って成果を生み出す。→起業型成果

(1)が不安定になり、給与も目減りし、それに費やされる時間が減ってこれば(2)のオプションを考慮するのはしごく合理的。

しかし、いきなり(1)を放棄して起業するのは高いコストを負担しリスクを引き受けることになるので、よほど高い収益性が見込める事業計画を持っていなければ進みにくい。そこで(1)の雇用を得ながら、同時並行的に(2)もやってしまうという選択が副業となる。

長期的に低迷する新規開業率、新卒者の長期雇用志向などを考慮すると、日本社会が短期的に新規開業型に変質するとは考えられない。案外、セコセコと副業をする人の人口と階層が増えることが、(2)の予備軍を増やすことになる。

MOTやMBAで学ぶというのは、それ自体資格の取得という側面もあるが、社会人学生は(1)をやりながら(2)を実行してしまう絶好の立場にいるわけだ。もっと柔軟にやったほうがいい。

タラタラ受動的にマジメに学ぶんじゃなく、(2)もやるべきだよね。起業や副業のネタ探しっていう意味では、MOTやMBAスクールはいい環境だ。このあたり、チョイワル感覚を発揮してクリエイティブになることが大事だ。

したがってマクロ的なイノベーション政策として副業や資格取得を支援する意味はある。

副業も資格取得も広くは、シュンペンター過程の創造的破壊のひとつの現象ということなのだろう。副業からイノベーションが生まれた事例は多い。なにもやらないよりは、遥かに良い選択枝だろう。

ヤドカリ型副業起業のすすめ

2009年05月16日 | ビジネス&社会起業


成果主義は人事部や会社のためにあるのではなく、本来、個人のためにあるものだ。成果主義を自分でリスクを取り、リターンを自分で獲得する生き方、ととらえれば、成果主義的な生き方とは、ズバリ起業家的な生き方である。それは市場の中で自己責任を自覚してリバタリアンとして生きてゆくことでもある。

雇用調整、ワークシェアリング、首切り、成果主義の強化の嵐の中、雇用される立場に甘んじて迷路の中を右往左往するのはやめよう。迷路を飛び越えて生きてゆくのが起業家的行き方だ。

さて、いきなり起業をするよりも勤務先からの給与収入を確保しつつ副業から始めるのが起業リスクを軽減することになる。大手電機メーカーなどは、副業を推奨し始めている。また、不況・恐慌の折、操業短縮や休日は多くなっているので、副業起業は現実的だ。

副業を意識すると今いる会社は宝の山ということが実感できるはずだ。情報、ナレッジ、手法、ビジネスモデル、人脈、商脈はおろか、パソコン、プリンタ、回線、サーバ、コピーマシン、会社が保有する雑誌、書籍、文房具などなど。

さて、ソフトウェアはOS、ミドルウェア、言語、アプリケーションのレイヤーごとにオープンソースや無償のものでコトが足りる。ハードウェアだってデュアルコアの最新パソコンも5万円台で入手できる。

ADSLやスカイプを活用すれば、通信コストが劇的に下がっているのため、副業としての費用の持ち出しは限りなく低めることができる。

副業開始当初の目標はバックログ(受注残)をため込み、勤務先からの給与収入を上回る収入を副業からジェネレイトとすることとなる。それからは副業で自分の人件費を稼ぐこととなる。

つまり、顧客を確保して受注残を積み上げ自分の人件費が確保できれば、副業の失敗リスクは極小化することができる。このプロセスをすべて会社に雇用されている身分でやってしまうのだ。これをヤドカリ型副業起業という。

ゼニ儲け型起業でも社会起業でも、このヤドカリ型副業起業はスタートアップの助走期間として極めて有効である。

ヤドカリ型副業起業では、サイト制作やソフトウェア一品制作などの受注型ビジネスから入ってゆく。資金繰りが安定してきたら、新しいビジネスモデルを用いてマス(B,C,Pなど)に対してサービスを提供する。もちろん、こじんまりやるのだったら、受注型に留まるのもよいだろう。

個人レベルでクラスター化、分散化、P2P化が進んでいる今、成果主義の主語を会社や人事部から、自分に引き戻りして逆張り発想をすることが大事じゃないかとつくづく思う。

逆張り起業家(アントレプレナー)のすすめ

2009年05月11日 | ビジネス&社会起業


不況・恐慌のときは、だれしもが不安を感じて大胆な一歩を踏み出せない。こういうご時世だからこそ、逆張り発想と時代への逆噴射が大切だ。

大学院の授業、講演、身の上(起業)相談などでよく語る起業に対する4つの新しいアプローチをちょっと紹介する。

(1)能力開発型起業(能力開発のため起業する)

そりゃ、起業してお金儲けできればいい。でも創業からイグジットまで一通りやった経験を振り返ると、お金よりも能力のほうがたまった気がする。もとがトロかったのでそう感じているのかもしれないが、身銭を切ってビジネスをすると、身の周りで起きることがすべて勉強の機会となる。

財務、ファイナンス、マーケティング、顧客開拓、人事・労務管理、PR、IR、統計学などの形式知系のスキルはもちろん、修羅場のくぐり方、葛藤処理、ケンカ、ナダメ、スカシ、シノギなど状況処理能力、人間関係スキル、コミュニケーション能力など暗黙知系、実践力系も知らず知らずのうちに伸びる。

起業というのは成長の場であり、その場を自分で創るというのは究極の成果主義の実行である。

(2)リスク軽減型起業(リスクを軽減するために起業する)

今の時代、規模の大小を問わず組織に雇用されているリクスは、独立して働くリスクより大きい。NHK「35歳を救え」という特集でも紹介していたが、35歳の平均的なサラリーマンは「転職経験がある」が66%、「会社が倒産するかもしれない」が42%、「解雇されるかもしれない」が30%。

内心大きな不安を感じながらビクビクしながら雇用されているのだ。ならば発想を変えよう。他人にコントロールされるリスクと自分でコントロールできるリスクを比べたら、どちらがいいか?明々白々、後者にきまっている。

自分でリスクを取ってコントロールするほうがすがすがしいし、精神衛生のためにもよいのだ。

(3)セルフヘルプ型起業(自分で自分を雇用するために起業する)

英語では起業、起業家的行動様式のことを"Entrepreneurship"っていうが、Self-employmentともいう。いずれもSelf-help(自助努力)の延長にある。自分の能力をテコにして、他者に雇用されるというフックをかければサラリーパースン(Salaried person)。逆張りで、自分が自分を雇用するようにすれば起業となる。

そのためには自分以外のモノ資産ではなく、自分の人的資源(スキル、技術、ノウハウ、人脈、商脈など)でジカに仕事ができるナレッジ・ワークを確立しよう。自分を盛り上げるために、自分に知的シャワーを浴びせることがセルフ・ヘルプに直結する。

自己責任で自分の人生は自分で切り開く。それは自分を雇用することから始まる。

(4)ビークルフリー型起業(ネタ優先、制度はあとで)

なにをレバレッジにして起業するのか?このレバレッジとなるものがビジネスモデルとビジネスプランだ。世の中にないなにかで、絶対的なニーズがあるものを金の草鞋を履いてでも探して見つけよう。市場のなかのムリ、ムダ、ムラ、ネジレ、スキマ、ウラガワなどは機会の宝庫だ。

そのあとで、ビジネスの出口イメージ、社会性、ボトムラインなどをじっくり考え、ビジネスのビークル(制度的乗り物)を選ぶ。個人事業、任意団体、NPO,株式会社などなど、ほんとうにいろいろあるので、ナカミ(コア技術、コアサービス、ビジネスモデルとビジネスプラン)をじっくり練ってから構想する。逆だと発想が狭くなりダメ。

絶対的に世の中に必要とされることだったら、社会起業でもゼニ儲け起業でもどちらでも成功するだろう。つまりビークル(制度的乗り物)を選ぶことができるナカミが大事。

                  ***

サービスの差別化に役立つコア技術をキチンと身につける。ただし、いい技術が市場で売れるわけではない。市場で売れる技術がいい技術なのだ。とくに、エンジニアバックグラウンドを持つ人は、この発想のギアチェンジが大事だ。

すくなくとも他人に雇われているより創造的だ。他人任せの人生(社畜)がいいのか、自分で切り開く人生(創造的人間)がいいのか。断然後者だ。不況・恐慌期に起業するヤツはホンモノだと思う。

サービス化する社会

2009年04月25日 | ビジネス&社会起業


過去40年間、ほぼ一貫して先進国ではサービス経済の占有比率が増しつつある。モノを製造しても、その価値はサービスを通してユーザに届けられることが増えている。

2007年の世界労働機構(ILO)によると、人類史上初めて世界レベルでサービスの雇用(42%)が、農業雇用(36.1%)や工業雇用(21.9%)を逆転したと伝えている。



日本でも、所有から利用へ、そして所有価値から経験価値へのシフト現象は明らか。

たとえば、ソフトウェアそのものを欲するのではなく、ソフトウェアがもたらす機能をだけを使いたいユーザは、ソフトウェアの所有権を買うのではなく、利用権のみを活用する。SaaSやクラウド・コンピューティングの方向に向かう。

衰退産業とされている農業でも、田舎⇔都市の人的資源交流サービス、経験価値交換サービスと眺め直せば、新しい行き方も生まれる。農工大の学生がとりくんでいる黒森もりもり倶楽部はその一例。

千葉県がんセンターでも、医師、看護師、検査技師、医療機器メーカー、薬品メーカーが、坩堝のごとく熱くなってがん治療というサービスのイノベーションづくりにまい進している。行政セクターやNPOセクターが提供するソリューションも基本的にはサービス。

サービスと社会に関係をどうとらえるのかによって、視点はまったく異なってくるが、ホリスティックに眺めれば、やはり社会というのはサービス・システム化しつつある。

さて、サービスの特徴をまとめてみる。

その1:経験共有性→ユーザとベンダーが経験を共有してサービスを創る。
その2:瞬時性→モノとして後に残らない。
その3:共進性→ユーザとベンダーがともにかかわってサービスは高度化する。
その4:自己組織性→サービスは自己組織的である。
その5:オートポイエーシス性→サービスは自己創造的である。
その6:偏満性→あらゆる場でサービスは生まれ、伝搬する。

6つの特徴が示唆することは、知識、情念、志が濃く集積、集約される場にイノベーションは創発されるいうこと。こないだの週刊ダイアモンドの社会起業家特集で紹介された社会起業事例も、ほとんどこれら6つの特徴が浮き彫りになっている。

そしてサービス・イノベーションの場は、中央研究所、企業、お役所、家庭、学校、町のそのへん、田舎のそのへん、ネットの中などなど、「場」はどこでもいい。秩序とカオスの堺目あたりが「場」となる。よく眺めれば、そんな境界領域の場はそんじょそこらにたくさんある。

今回の不況(恐慌)下では地下茎(リボゾーム)のように裏舞台ではサービス化現象はあまり目立つことなく着々と脈を張り巡らせている。経済が回復してきたら、一気に地下から芽を伸ばし、幹となりたくさんの花を咲かせることになるんだろう。


週刊ダイヤモンド、社会起業特集

2009年04月07日 | ビジネス&社会起業


満開の桜の季節に「社会起業家」全仕事 あなたにもできる世直しビジネスが出た。知り合い、知人も多数載っていて、パラパラめくるだけでも楽しい。高校の後輩、手がたりの田辺大も載せるべきだね。ダイヤモンド、ちゃんと取材しろ。

そしてアメリカでもBusiness WeekがAmerica's Most Promising Social Entrepreneursと銘打った特集を組んでいる。こないだ大岡山でいっしょに飲んだ橡迫さんも登場している。

既存の市場経済、既存のビジネスで飽和して疲弊しきっているこの時代に、確かに社会起業家は明るい材料だ。新しい公共性、新しい社会性、そして新しい起業スタイル。がんばろう。

ダイヤモンドとBusiness Weekの記者がしめしあわせたわけもなく、日米の社会起業に対する温度差がしだいになくなってきている予兆だろう。日米マスコミ、社会起業シンクロニシティか。いやはや。でも、これはいいことだ。

それやこれやで、出版不況のなか、さすがにビジネスマン向け雑誌が社会起業家に目を向けて特集を組むようになったのは、なんというか時代の変化を感じる。ただし、大学発ベンチャーが華やかりし時も、マスコミ、経済産業省などが乗り出してきてばら撒き予算を組んだにもかかわらず、おおかた一過性のブームで終わってしまった。なので、過去の教訓をなぞらえて深読みするにこしたことがない。

モノゴトがディフーズ(普及)するためには、その効用を認めるリードユーザの存在と、ある種のユーフォリア(酔狂)が必要だ。ユーフォリア現象に乗って、ホンモノが登場してこればいい。

桜の花のように、ぱっと咲いて、ぱっと散るというのではシャレにもならない。したがって、堅実にユーフォリア現象に接して、手堅く支援してゆくのに越したことはない。

さてダイヤモンドの特集は、よく読んでみると、今一生さんの「社会起業家に学べ!」を下本にしている気配が濃厚。せめても、リファレンスをつけるとか、クレジットをつけるべきだろう。


     ***

政治の世界でも経済の世界でも今、既存の価値観が大きく揺らいでいる。そのなかで、事業として利益を上げつつ、自ら社会の問題を解決する「社会起業家」という生き方が、特に若い世代を中心に注目を浴びている。「社会を変える」ことに挑戦する人びとの仕事の中身と、この動きの背景にあるものを探る。

     ***

But, 社会起業界隈を俯瞰して見渡すためにはいい特集だと思う。全体的によくまとまっているし、新しい流れにも目配せして包括的な特集になっている。

NPO国際社会起業サポートセンター 設立総会!! 

2009年04月03日 | ビジネス&社会起業
昨年末から申請しておりましたNPO「国際社会起業サポートセンター」が4月上旬に認可され、10日ごろに設立登記する運びとなりました。僕はこのNPOの理事として関与しています

つきましては、理事長の渡辺孝(芝浦工業大学 工学マネジメント研究科長・東工大特任教授)からのメッセージを貼り付けます。

時間のある方、ぜひ当日、ご参加を!!! 飲み会もあるので、みんなでワイワイやりましょう

<以下貼り付け>

昨年末から申請しておりましたNPO「国際社会起業サポートセンター」の認可が4
月上旬に認可され、10日ごろに設立登記する運びとなりました。

つきましては、設立総会を予定したいと思っております。
勝手ながら、4月23日木曜日の夜とさせていただきます。
この日は18:00から、下記ミニイベントがあり、お時間があればそちらにもご参
加頂ければと思っています。

東工大社会工学専攻のプログラムで留学生社会起業ビジネスプランと同時に、社
会工学専攻の学生が日本と海外のNPOでのインターン経験をし、レポートにまと
めるというもので、2008年度はインドネシアのフェアトレード、サンフランシス
コのアート都市のテーマで二人を派遣しました。

スケジュール:
4月23日(木)
・18:00-19:00インターン経験レポート
・19:00-20:00 NPO設立総会

場所:
東工大大岡山キャンパス西9号館6階607号室

総会では、今後の活動計画の議論や皆さんからの提案を受けたいと思っています。
お時間をやりくりの上、是非、ご参加いただけることを願っています。
出欠の可否をお知らせください。ご返事をお待ちしております。

(追)尚、2008年度のビジネスプランでお一人はこの夏休みに現地調査(バング
ラディッシュ---家畜糞のメタン燃料化)、もうお一人は4月9日にワークショッ
プを開催して実現に向けたフィージビリティ検討(インドネシア---通信インフ
ラのない地域での簡易緊急通信網)と、進み始めています。

渡辺 孝
watanabe takashi <watataka@sic.shibaura-it.ac.jp>
芝浦工業大学 工学マネジメント研究科
〒135-8548 江東区豊洲3-7-5 研究棟7階N32
大学院事務課(03-5859-8550) 

<以上貼り付け>

生命のメッセージ展 2月12 日(木)

2009年01月26日 | ビジネス&社会起業
Bridge over troubled water


鈴木共子さんは、早稲田大学入学直後のひとり息子を飲酒運転の車による交通事故で亡くしました。2000年の春、彼女のひとり息子は早稲田大学に入学1週間後、自宅付近でパトカーに追われる無車検・無保険の車にはねられ友人もろとも即死しました。加害者の男は免許失効中の身にありながら、泥酔状態、3度目の事故であったのにもかかわらず 「業務上過失致死傷罪」と処理され、刑期は当時で最高の5年でした。

なんという不条理でしょうか。その後、鈴木さんは、その失意の中から立ち上がリ、息子さんの後を追うようにして、早稲田大学を2年前に見事卒業されました。

「息子の人生を代わりに生きよう」が鈴木さんの決意です。

前後して、飲酒運転・危険運転の厳罰化を訴えるために他の遺族と共に37 万人の署名を集めて、2001年に国会で「危険運転致死傷罪」を成立させる原動力となりました。

鈴木共子さんは、社会のためになるコトを起こした、起こしつつあるという意味で、社会起業家だと思います。

また、ひとつひとつの命の重要さを訴えるために、交通事故や犯罪、医療事故などで家族を亡くした遺族の方々と協力して「生命のメッセージ展」を、いま全国で開催しています。特に、2003 年と2006年の2 回にわたる国会での開催は、交通事故対策や交通事故・犯罪等の被害者・遺族の保護対策を大きく前進させる契機となっています。

鈴木さんをモデルとした映画「0(ゼロ)からの風」が2007 年に製作され、現在も日本各地で映写されています。もうご覧になった方いらっしゃいますか。

多くの生命が犯罪や社会の不条理のもとに失われています。ひとつとして忘れることのできる命はありません。いっしょに「生命のメッセージ」に耳を傾けませんか?

日 時: 平成21 年2 月12 日(木) 18:00~20:30
場 所: キャンパスイノベーションセンター東京 多目的室2
港区芝浦3-3-6 JR田町駅芝浦口下りエスカレーターから徒歩1分
講 師: 鈴木共子さん (『生命のメッセージ展』 代表)

申し込みは:tsuyuki.m.ab@m.titech.ac.jp

詳細は:
生命のメッセージ展

0(ゼロ)からの風

社会起業家を育てる大学教育と社会起業家研究

2009年01月24日 | ビジネス&社会起業
The Story of BRAC


今日は昼から内閣府の社会イノベーション・ワーキンググループがらみの集まりで丸の内へ。Johanna MairさんとFazle Hasan Abed氏を招いてのトークセッション。


プレゼンするAbed氏。黒い髪の毛は、Mairさん。(美人なのに頭だけの写真となって残念)

Johanna Mairさんは、欧米では、社会科学系の研究者にちょっとしたSocial Entrepreneurship酔狂的なブームがあることを皮肉る。社会学、制度経済学、マネジメント系、社会福祉系、よってたかって理論の傘を作りたがっている状況に苦言あり。Social Entrepreneurshipは、Sense Making Toolという結論。

なるほど、こういうまとめかたは無難か。

Abed氏の話は含蓄に富む。一つは、NGO,NPOがスケールアウトするためには、まず効果が問われ、次は、効率が問われる。そしてオペレーション段階ではモニタリングと相互牽制がカギとなる。

なるほど、さすがにビジネス感覚満載だ。BRACの参加にはNPO,NGOもあるが営利企業もある。グラミン銀行との競争もある。

援助に関するニューウェーブ。BRAC UKやBRAC USAを設置して、北の国とも協業しているが、バングラデッシュを基点にしてBRACは南南援助も行っている。具体的には、タンザニア、シエラレオネ、ミャンマー、南スーダンなどにプロジェクトを持っているとのこと。

南北・南南という方向にスケールアウトしているのである。日本は友好的だが、日本政府からの援助が少ないことにユーモア感覚溢れる苦言も。政府間援助はモラルハザードの温床になっている、との発言はさすがになかったが。どうせ賄賂でぶんどられるなら、効果と効率の内部管理ができているNGOを支援するほうが、援助のアウトプットは高いだろう。



1/24国際シンポジウム「社会起業家を育てる大学教育と社会起業家研究」

2008年12月16日 | ビジネス&社会起業
僕が委員を仰せつかっている内閣府経済社会総合研究所と東工大の国際的社会起業家養成プログラムが国際シンポを開きます。

研究と実践の交差する「社会起業家研究」をテーマに、来る1月24日(土)、東京・丸の内で国際シンポジウムを開催します。

ジョアンナ・メイヤー教授はヨーロッパでの社会起業家研究の第一人者であり、2007年に“Ashoka Award for Social Entrepreneurship Education”を受賞している。ファズレ・ハサン・アベッド氏は世界最大のNGOのひとつバングラデシュのBRACの創立者であり総裁。

研究と実践を代表するという豪華な顔ぶれの基調講演者。非常に濃い内容となるでしょう。しかもタダ。こういうシンポは参加しなければモッタイですね。会場でお会いしましょう。

<以下張り付け>

日 時:平成21年1月24日(土) 13:00~17:00
場 所:コンファレンススクエアM+ 「サクセス」
(東京都千代田区丸の内2-5-2 三菱ビル1F JR東京駅 丸の内南口徒歩2分)
http://www.marunouchi-hc.jp/emplus/pdf/map01.pdf

プログラムの詳細につきましては、東京工業大学大学院・国際的社会起業家養成プログラムのウェブサイトをご参照ください。
http://www.soc.titech.ac.jp/~soc-entre/event/info.htm


基調講演者プロフィール

ジョアンナ・メイヤー(Johanna Mair)
ナヴァラ大学ビジネススクールIESE 教授(戦略的マネジメント)
企業戦略と社会にインパクトを与える起業に関する研究と教育を専門とし、このテーマで多くの学術論文と著書がある。
2007年にAspen Instituteの"Faculty Pioneer"に認定され、同年"Ashoka Award for Social Entrepreneurship Education”を受賞。
IFC-Financial Times Essay Competition で2008年度金賞、Strategic Management Societyから"Best Paper for Practice Implications Award"など、受賞歴多数。
多くの企業、財団、社会的投資信託などの諮問委員を務め、世界銀行をはじめとする国際機関や多国籍企業へのコンサルティングも行っている。

ファズレ・ハサン・アベッド(Fazle Hasan Abed)
BRAC 総裁
1936年バングラデシュに生まれ、ダッカ大学および英国グラスゴー大学に学ぶ。
チッタゴンのシェル石油で上級管理職の地位にあった30代半ば、戦乱により職を辞して、ロンドンにてバングラデシュ独立戦争に尽力。
戦後、独立を果たしたバングラデシュに戻り、BRACを創設してバングラデシュ北東部のへき地で戦争による難民の社会復帰を支援する。
BRAC創立の第一の目的は、貧困の軽減と貧しい人々に力を与えることであった。
現在BRACはアフガニスタン、スリランカ、パキスタン、タンザニア、ウガンダ、南スーダン、リベリア、シエラレオネなどの国々にも開発介入活動の範囲を広げている。
BRACを率いてのこうした功績が認められ、ロックフェラー財団“Bridging Leadership Award”(2008年)やクリントン財団“Global Citizen Award”(2007)など、国内外から数多の賞を受けている。
また、BRACは2008年、人道的な活動に贈られる世界最大の賞“Conrad N. Hilton Humanitarian Prize”を受賞している。


受講料:無料

定 員:先着120名程度
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参加をご希望の方は、お名前、ご所属、ご連絡先(E-mailアドレス)を、

tsuyuki.m.ab@m.titech.ac.jp

までご連絡ください。

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※本シンポジウムは、内閣府経済社会総合研究所(ESRI)「平成20年度イノベーション国際共同研究プロジェクト・社会イノベーション研究会」との共催で開催いたします。

<以上張り付け>


マイクロファイナンス・インターナショナル・コーポレーション(MFIC)

2008年12月13日 | ビジネス&社会起業
来年の話をすると、オニが笑うかもしれませんが、年明け早々の社会起業に関する講演情報です。

金融における社会イノベーションを果敢に実行した枋迫篤昌さんの事例です。強烈なイノベーションだと思います。

ぜひ会場でご一緒しましょう。

<以下貼り付け>

枋迫篤昌さん講演
「金融が目指すべきもの ~MFICが提唱する新しい金融サービスインフラの仕組み~」
http://www.soc.titech.ac.jp/major/index.html
http://www.titech.ac.jp/

社会起業家を支援する世界的組織アショカ(Ashoka: Innovators for the Public)から日本人で初めてグローバル・フェローに選ばれた枋迫篤昌(とちさこ・あつまさ)さん。

その活躍は世界の社会起業家を紹介した書籍『社会起業家という仕事―チェンジメーカーII』(日経BP)でも大きく取り上げられ、また今年11月には日経BP社「第7回日本イノベーター大賞」で大賞を、12月には『Fortune』誌とMIT(マサチューセッツ工科大学)により創設された「第1回レガタム・フォーチュン・テクノロジー・プライズ」を受賞されました。


日 時:平成21年1月15日(木) 18:30~21:40
場 所:東京工業大学大岡山キャンパス 西9号館2F ディジタル多目的ホール

講 師:枋迫篤昌さん
マイクロファイナンス・インターナショナル・コーポレーション(MFIC)
社長 兼 CEO(最高経営責任者)

【講演概要】
米国に暮らす5000万人のラテンアメリカ系移民のうち、銀行口座を持たず、通常の金融サービスへのアクセスを閉ざされた人たちは3000万人いると言われています。

こうした人たちが母国に住む家族とやり取りする「海外送金」をはじめとして、巨大なニーズがあるにもかかわらず利用できるサービスが供給されていない金融の世界の現状を目の当たりにした枋迫さんは、2003年、自ら「マイクロファイナンス・インターナショナル・コーポレーション(MFIC)」を立ち上げ、画期的な金融サービスを打ち出したのです。

MFICは、世界中の底辺層から富裕層にいたるまで、全ての層の人々に適用可能な金融サービスを提供しているという意味で、従来の銀行が提供している「中間層から富裕層」へのサービスとは一線を画するものです。

金融の世界にイノベーションを起こした新しいインフラ「MFIC」について、たっぷりとお話をうかがいます。

参考URL
Microfinance International Corporation http://www.mfi-corp.com/

第7回日本イノベーター大賞
http://corporate.nikkeibp.co.jp/information/newsrelease/newsrelease20081029_2.html
Legatum FORTUNE Technology Prize
http://www.timeinc.net/fortune/conferences/brainstormtech/legatumtechprize/techprize_home.html

受講料:無料
定 員:200名程度
------------------------------------------------------------
参加をご希望の方は、お名前、所属、連絡先(E-mailアドレス)を、

tsuyuki.m.ab@m.titech.ac.jp

までご連絡ください。

<以上貼り付け>