帯広に到着し、帯広美術館に直行。展覧会は「旅のイメージ」というのをやっていた。といっても、栗谷川健一、藤倉英幸の作品を中心にした展示で、北海道文学館でやっていたものに近い。まあ、展示作品数は圧倒的に多いし、会場も広かった(客も少なかった)ので、良しとしよう。
まずは栗谷川健一のポスターから。彼の作品が北海道のイメージ(平原、雪山、開拓、野生動物など)を作ったのは間違いないが、時に西部劇&アメリカのような、やや誤解を招きかねない作品もある。ちょっと珍しいのは1969年の「昇る太陽(国際観光都市さっぽろ)」である。これだけまぶしい朝日に照らされる札幌の都市部が描かれ、「北の都、さっぽろ」という都会的なセンスなのである。
続いて国鉄~JR時代にかけてのポスター。これが鉄道ファンにはたまらないものであろう。
作者不詳「国立公園 阿寒」:浮世絵の香りがするクラシックな作品。
中村善策「男鹿半島」:彼には珍しい秋田風景。岩のアーチを観光舟がくぐっているシーン。
ポスター「ディスカバージャパン飛騨高山」:名古屋から岐阜までは実際、非常に近いのだが、その先の高山までの距離が非常に近く見えるインチキ概略図が載っているのが楽しい。ポスターが数枚あるのに、全部その距離感なのだ。
以下の2点は、北海道立文学館でも出品されていたものだ。今回はゆっくり見よう。
ポスター「1688両のJRオールスターズ」:いろいろな電車があって楽しい。「お座敷列車くつろぎ」とか「わくわく」「うきうき」号なんていうのもある。
ポスター「613駅のホームドラマ」:北海道の駅名は私にしても珍しいものが多い。平仮名二文字で「うつ」とか(落ち込みそうだ)、「さるる」とか「もんぽない」といった妙な駅名もある。また、おくしらたき-かみしらたき-しらたき-きゅうしらたき-しもしらたき、という「しらたき」5連発などが面白かった。
その後、藤倉英幸作品(珍しいアクリル絵具の作品もあった)、機関紙「The JR Hokkaido」の記事・原画紹介などの展示を見る。かなり時間がかかった。
常設展は「ポスター劇場」。帯美の得意分野であろう。
V・ギイエ「ポーランドのユダヤ人」:告発された殺人者と、殺された亡霊が同一画面にでている印象的なポスター。
アルフォンス・マリア・ミュシャ「メディア」:夫の浮気から、浮気相手とその父、自分の二人の息子を殺してしまったという女性の図。見慣れてしまった現代では、ミュシャの通俗性が言われてしまうのかもしれないが、虚心坦懐に見ると、天才的な作品である。ところで、この女性、自分の夫は見逃したのか…
以上で帯広駅方面に戻る。
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