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どうして絶望的未来しか想像できないのか?(2)

2010年11月07日 | 書店業界(薄利多売は悪くない)
1、価格決定権のない書店でも「単価を上げる」意義と意味

あらゆる小売業の売上を伸ばす条件は、以下の3つと言われています。

① 客数を増やす
② 単価を上げる
③ 来店頻度を上げる

先ほどの右肩上がりの時代には、この三つの条件の②や③は、あまり意識しなくても、
ひたすら①の客数を増やすこと、さらには在庫を増やすこと、売り場面積を増やすこと、店舗数を増やすことだけしていれば、そこそこに売上げもついてきていました。
広告を出したり、企画・イベントをうつのも③の目的もありますが、ひたすら客数を増やすためにしていることでした。

ところが、右肩上がりの時代が終わると、①のことだけをやっていたのでは、売上げは伸びなくなりました。
 ②や③のことをきちんとやらないと、売上げは伸びないのです。

②の単価を上げるということには、ふたつの方法があります。
 ひとつは、文字通り単品の定価を上げる方法ですが、これは再販制下での書店には価格の決定権が無いので、簡単には動かせません。
 しかしもうひとつの方法である、ひとりあたりの購買点数を増やすことでそれは可能になります。

これが、本屋で必要な、無料の情報が隣りで飛び交っている時代に、単価を下げてでも、
より多くの満足できる情報を得られる環境を整えることであり、店の商品構成比の文庫、新書の比率を劇的に上げるということです。

つまり、「商品単価」を下げて購買点数を増やすことで「客単価」を上げるということです。

そして③の来店頻度を上げるということは、①の客数を増やすということと似たことのように見えますが、ここで大事なポイントは、顧客満足度が上がらないと来店頻度は増えない、ということで数(客数、来店回数)を増やせば、自動的に売上げも伸びるものとは、あまり考えていません。
 それは「必要な時に来る」、という発想ではなく、「いつ行っても面白い」、「また来たい」といった動機を与えるものでなければなりません。

本題からずれそうなので、詳しくは触れませんが、これらのことをみると、
①は「量」に関する対策のことで
②、③は「質」を問う対策であることが見えてきます。

「質」が伴わないと「量」を増やしても結果は出ない時代になったということです。

こう言うとまたそれは面倒なことをしないといけない時代で楽が出来ない社会のように思われがちですが、そうではありません。

出したもん勝ち、売ったもん勝ちの時代から、読者(消費者)に評価されるものが生き残れる「良い時代」にやっと入れたのです。

確かに、それは今までの慣れた方法論とは違うものである限り、違和感や抵抗を感じるものかもしれませんが、人類の長い歴史を見れば、なにごとも「量」に換算してあらゆるものを駆逐していったのは、ほんのこの1世紀ほどの一時の特殊な方法論にしかすぎません。
ここも、私が「やっとわれわれの時代がやってくる」という根拠のひとつです。

このように見れば見るほど、異常な1000坪クラス大型店の地方都市にも及ぶ出店は、「量」の拡大だけに依存した過去のビジネスモデルであり、それを版元、取次が他にもう打つ手が亡くなった業界の最後のモルヒネ注射としておだて上げて支援しているように思えてなりません。


ただ、「質」や「顧客満足度」を上げるビジネスというのは、確かに楽な方法ではないかもしれません。
でも、自分が商売で生きていく、なんらかのビジネスで利益を得るということはどのような意味を持っているのか、もう一度振り返ってみてください。


ビジネスで「単価を上げる」ということの意味をよく誤解している人がいます。

ビジネスで言う「単価を上げる」ということは、単に「定価」を上げて自分の取り分を増やすということではありません。
その考えでお客さんがついてくることはありません。

ビジネスで言うところの意味は、
「単価」が上がっても、顧客が満足できるより高次なサービスや商品を提供するということです。

このような覚悟を決めてこそ、「単価」を上げるという戦略は成功するのです。


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