かみつけ岩坊の数寄、隙き、大好き

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 「Hoshino Parsons Project」のブログ

どうして絶望的未来しか想像できないのか?(8)

2010年12月06日 | 書店業界(薄利多売は悪くない)

6、流れ落ちる水をザルで受け止めるがごとし

 それは、まさに「流れ落ちる水をザルで受け止めるがごとく」であります。

 多くの店は、売り上げが下がる理由を、大型店などの競合が増えたから、市場人口が減ったから、売れる商品がなくなったからなどと言っていますが、
 現実は、
 とんなに衰退した商店街の寂れた店であっても、その店は絶えず見られており、少しでも看板を変えたりガラスをピカピカに磨けば、たまにはちょっと入ってみようかと思われるものです。
 破れたポスターがそのまま貼ってあったり、入り口の天井に蜘蛛の巣が張ったままのような店には、中にどんなに良い本があったとしても、お客は入ろうとは思わないものです。


 いかなる場合においても、大事なのは、そこに競争力のある商品とサービスがあるから売り上げは伸びるのです。
 これを抜きにして企画やイベントをいくらうったところで、店にお客が根付くことはないばかりか、それは、魅力のないことを宣伝するために、あるいはクレーム客を増やすために人を呼んでいるようなものです。

 市場縮小の時代には、客数は先に増やそうとしないことが大事です。

 たしかに右肩上がりの時代ならば、器の大きさを大きくする、あるいは流れ落ちる水の量を増やす(売り場面積の拡大、店舗数を増やす、在庫を増やす、来店客数を増やす)だけでそこそこの数字の伸びが期待できました。

 しかし、右肩下がりの時代では、これらのことをしてもすぐに売り上げの伸びは止まってしまいます。

 今、求められていることは、器を大きくしたり、流れ落ちる水の量を増やしたりすることではありません。受け止めるはずの器は、水のすり抜けるザルであることがわかったからです。
 求められているのは、絶えずすりぬけているザルの目を一つ目、二つ目と一個ずつ塞ぐことです。
どのようなこと(商品とサービス)をすれば、ザルの目を通り抜けずにひっかかるのかをはっきりさせることです。

 それをひとつずつ塞ぐ作業というのは、大変な作業ですが、ザルのすべての目を塞ぐ必要はありません。
 ほんの数個から数十個の目をきちんと塞ぐだけで、それまで下に落ちるだけであった水に抵抗を感じるようになります。そのわずかに受け止める水の抵抗をほんの少し感じるようになっただけで、売り上げは伸びだすものです。

 直径15~20センチ程度のザルで、その網の目は5,000から10,000くらいあります。
 (手元にあるザルの目の数は9,313でした!)
 そのなかの数十から数百までの目を塞ぐだけで、かなりの水の抵抗を感じるようになります。

 まさにこの数(5,000~10,000)こそが、自分の店の商圏の顧客数であり、またそのうちの心をつかむべき顧客の数(数十から数百)なのです。

 量を増やすことよりも、顧客満足度を高める商品とサービスの開発こそが、まず私たちがしなければならないことなのだと思います。

コメント
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