英宰相ウィンストン・チャーチルからのメッセージ   

チャーチルの政治哲学や人生観を土台にし、幅広い分野の話を取り上げる。そして自説を述べる。

新刊書「人間チャーチルからのメッセージ」を紹介 

2017年12月04日 09時57分35秒 | 書籍紹介と書評
 きょう小学館スクウェア(本社:東京都千代田区)から発売される拙書「人間チャーチルからのメッセージ  不安な豊かさの時代に生きる私たちへ」を紹介します。拙書の各章の初めに、チャーチルの名言を載せ、その発言の背景を記述した。またその背景を記述する中で、彼のほかの名言をも書き、その背景から映し出される時代の潮流を記しました。堅苦しい学問的な考証を避け、20世紀の傑出した宰相のエピソードをふんだんに取り入れて彼の人生観や生き方を読者に伝える工夫をしました。
  12月上旬の発売以来、出版総合誌「出版ニュース」、信濃毎日新聞社、教育学術新聞社などが紹介、映画「チャーチル ヒトラーから世界を救った男」の配給元「東宝ステラ」の編集部から評価され、映画のパンフレットのコラムに「雄弁家チャーチル」を寄稿しました。

  【内容について】
  英国の大宰相ウィンストン・チャーチル自身の生き方について書きました。将来に漠然とした不安を覚えるわれわれに、彼の生き方が何らかのヒントを与えてくれるのではないかと思い、出版しました。私はそう望んでいます。本書は名言録や解説書ではありません。ましてや評伝でもありません。私はチャーチルその人を読者に伝えようと思いました。
 日本社会は現在、物質的には豊かに見えますが、将来に何の希望もなく、不安だらけの社会のように思います。若者の貧富の格差が拡大し、彼らは夢を語れず、自殺願望者が年々多くなっています。最近、神奈川県で起こった自殺願望者の若者9人の殺害事件はそんな世の中を投影しています。
また30~40歳代の働き盛りの人々は、老後の暮らしに不安を抱いています。また独居老人が増えています。私を含む団塊の世代が今から6~7年もすれば「後期高齢者」になり、その傾向はますます顕著になるでしょう。
 本書で、チャーチルは人生を生き抜くことの大切さや、長続きする趣味を見つけることの必要性、良心を持たずに人生を歩いて行く軽率さを説き、人生での羅針盤は何かを話します。また民主主義とは何か、リーダーシップとは何か、政治家の心構えや政治信念を読者に語ります。
 また、20世紀の大宰相がニューヨークで交通事故に遭ったとき、加害者に対しどう行動したかなどの小話やエピソードを交え、チャーチルの生活信条や人柄をもえぐり出しました。
 英国の「帝国戦争博物館」やドイツの「連邦公文書館」などが所蔵する写真48枚を掲載しました。この写真の中には、若き日のチャーチルの貴重な写真も含まれています。


【映画「チャーチル ヒトラーから世界を救った男」のパンフレットに寄稿】
 ウィンストン・チャーチルの映画「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男(原題Darkest Hour)」が、3月末より日本でも公開されています。
 拙書を閲読した映画配給会社が拙書を評価してくださり、当映画の公式パンフレット内コラム「雄弁家チャーチル」への執筆を依頼し、この度実現に至りました。

 【書評】
  出版総合誌「出版ニュース」、信濃毎日新聞の新刊紹介(3月4日)や教育学術新聞の書評欄(3月7日)などに取り上げられました。

【編集者からの言葉】
 この本はチャーチルの単なる評伝ではなく、“その言動に学ぶこと多し”という視点から書かれた、たいへん親しみやすくて面白い内容で、また現在の世界情勢にも鑑みてとても参考になります。

 【拙書の一部紹介】
 拙文書の一部を紹介します。チャーチルの評伝には書かれてない彼の人間性を知るエピソードを本文とは別立てで記しました。それと同時に、学者の方々が記した評伝には劣りますが、彼の政治経歴の中で最も苦しかった1930年代の政治活動も書きました。

 (1)チャーチルは「安全第一」で行動しようが「リスク」を恐れず行動しようが、死ぬときには死ぬのだと達観していた。彼の勇気はその死生観に深く結びついている。(なぜこの死生観に至ったかは、第1章のエピソード「政治家として挫折、40歳にして再び戦場へ」を読者がお読みになれば理解できます)  
 第2次世界大戦中の1940年7月から始まった「英国の戦い(バトル・オブ・ブリテン)」(一口メモ)の最中、ドイツ・ルフトワフェ(空軍)の戦闘機と爆撃機計数百機が毎日、英国に飛来し、軍需工場や飛行場、港湾施設などを猛爆した。9月に入ると、ロンドンやコベントリーなど英国諸都市に爆撃の重点を移し、その激しさが増していた。チャーチルはロンドン空襲が激しくなればなるほど、頻繁に首相官邸の屋上に上り、戦況を見つめ状況の把握に余念がなかった。上下つなぎの作業服の上に空軍の厚手の制服を着て葉巻をくわえ、屋根に立ってじっとドイツ空軍機の猛爆を眺めていた。
  ある夜、チャーチルは首相官邸の裏庭に出て空を見上げていた。数百のドイツ爆撃機がロンドンの空を覆い、英軍の激しい対空砲火が夜空を焦がしていた。そのうちの1機から爆弾がシュルシュルという音をたてて官邸内に落下、チャーチルからそう遠くない所で炸裂した。
首相警護のウォールター・トンプソン警部は瞬間青ざめ、首相に駆け寄った。チャーチルは爆発に動ずることもなく警部を振り返り、「すまんなぁ、危険な目にあわせて。それにしてもお前も動じない男だなぁ」と感心したようす。一瞬戸惑った警部が「謝ることはありません。ただ、首相閣下の身を心配しています。こんなことで閣下の身を危険にさらす必要はありません」と語気を強め、防空壕に入るよう懇請した。だが生死を決めるのは神だと達観しているチャーチルは、トンプソン警部の願いをきっぱりと拒絶してこう答えた。
 「死ぬときがくれば死ぬのだよ、トンプソン」

(2)音楽も生涯にわたるチャーチルの趣味だ。しかし好きな音楽はクラッシクやオペラではなく、ミリタリー行進曲や流行歌。誰からも見られていないとき、行進曲のリズムに合わせて大広間を往復して行進した。チャーチルは行進することで精神をリラックスさせると同時に、仕事のことなどについて何やら考えていたという。
ある夜、トンプソン警部が偶然、大広間を行進中のチャーチルを見た。チャックつきの上下つなぎの服姿で、蓄音機から流れる勇ましいメロディーに合わせ行進中だった。広間の端まで来ると、足踏みしてくるりと方向を変え、また行進を始めた。
チャーチルはいつも何かするときには集中するくせがあり、この時もそこにトンプソン警部がいるのに気づかないほど集中していたが、突然人の気配を感じた。警部を見上げ、ばつが悪そうな表情を浮かべて、ニコリとチャーミングな笑みを浮かべた。「それはいつも皆が見ている、少年のような笑みだった」と警部は述懐している。

【目次】
まえがき
序章  たとえ劣等生でも、優等生に生まれ変われます
第1章  リスクを恐れぬ勇気を抱いて人生を歩いていきなさい
    エピソード(1) 政治家として挫折、40歳にして再び戦場へ
    エピソード(2) 40代でパイロットに挑戦、あの世へ行きかけた話
第2章  自らの羅針盤を信じ行動を起こしなさい
    エピソード(3) 最高責任者のやっていいこと、悪いこと――シドニー街の銃撃戦
第3章  良心の盾を持たずに人生を歩むことほど、軽率なことはない
    エピソード(4) 激しく対立したが、互いに認め合った チャーチルとチェンバレン
    エピソード(5) 「悪いのは私だ、運転手ではない」――ニューヨークの自動車事故
第4章  批判や逆境・失敗を恐れてはなりません
第5章  理想を抱く現実主義者たれ!
第6章  自由を尊重する民主主義者であれ
    エピソード(6) 民主主義を護る「芸術的演説原稿」の完成まで
第7章  高い理想と細心の配慮をもってリーダーシップを発揮せよ
第8章  長続きする趣味を見つけなさい
    エピソード(7) 名優チャプリンとの交流
チャーチル年表
◎史料・参考文献
あとがき
◎主要人名索引

【主な販売書店】
・アマゾンや楽天などのネット通販
・札幌;三省堂札幌店など
・仙台;紀伊國屋書店仙台店
・東京;八重洲ブックセンター本店、丸善丸の内、丸善本店、紀伊國屋新宿本店など
・横浜;有隣堂横浜西口店など
・大阪;紀伊國屋梅田本店、ジュンク堂大阪本店など
・名古屋;丸善名古屋本店など
・京都;ジュンク堂書店京都店など
・広島;ジュンク堂支店 広島駅前店
・鹿児島;紀伊國屋支店鹿児島店
・沖縄;ジュンク堂書店那覇店
・栃木;八重洲ブックセンター宇都宮パセオ店、うさぎや作新学院前店
その他全国主要書店で

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