英宰相ウィンストン・チャーチルからのメッセージ   

チャーチルの政治哲学や人生観を土台にし、幅広い分野の話を取り上げる。そして自説を述べる。

英宰相チャーチルから学ぼう   彼の言葉を引用し、生き方について考える

2019年04月22日 09時31分46秒 | 書籍紹介と書評
   
  2017年12月4日付ブログで、拙書「人間チャーチルからのメッセージ  不安な豊かさの時代に生きる私たちへ」を紹介した。その日から約1年半がたった。チャーチルの生き方や人生観、政治観が何らかの形で、皆様のこれからの人生の道しるべとなることを心から願いたい。もう一度、この本を書いた趣旨を私のブログに書き、チャーチル自身の話を記す。
 拙書の表題からの印象はたぶん、教訓めいた堅いイメージがあると思う。確かに教訓めいたイメージはいなめないが、それをチャーチルの裏話、エピソードを通して考えてほしかった。人物の裏話やエピソードはその人の性格やものの見方が現れやすい。私はウィンストン・チャーチルの警護を長年勤めたウォルター・トンプソン警部の著書から裏話を引用し、チャーチル自身の著書からエピソードを引用した。またチャーチルを研究する英国人の専門家にも取材した。トンプソン警部の本は第2次世界大戦から6年後に出版され、日本語に翻訳されていない。かなり昔に絶版になり、私は偶然、英国の古本屋で7年前に手に入れた。
 ノーベル文学賞を受賞したチャーチルは新聞記者として活躍した時代があり、雑誌や新聞に寄稿しただけでなく、沢山の本を執筆した。このため、政治家活動の裏話を書いている。このことも私の執筆の助けになった。
 私は学者ではないが、チャーチルの人間味あふれる姿を書きたかった。チャーチルはわれわれと同じごく普通の人間だ。多分に躁鬱(そううつ)的な傾向が強いため、喜怒哀楽が激しい。しかし、われわれのような普通の人にはまねができない、リスクを恐れない勇気や信念を持っていた。また自分を批判する人々や政敵にも寛大な心を持っていたことも特筆すべきことだ。
 新書を紹介する「出版ニュース」(2018年1月下旬号)に拙書が紹介され、「エピソードのなかでも名優チャプリンとの交流など、人間チャーチルの意外な素顔も見えて興味深い」と書評をくださったのはうれしかった。また信濃新聞(2018年3月4日)が書籍紹介で取り上げてくださり、「各章の冒頭を飾るチャーチルの言葉は力強く、含蓄に富み、今読んでも新鮮だ」と記してくださったことにも感謝している。というのは、名言集や格言はその言葉だけを取り上げ、その言葉が「いつ」「どこで」「どのような背景で」「どんな理由で」発言されたかを書いていない場合が多いからだ。
 著作権の問題があり、その内容のほんの一部を下記にコピーする。このブログを読み、もっと知りたいと思う読者の皆様は「https://www.atpress.ne.jp/news/146342」をご覧ください。

   《チャーチルはせっかちで、瞬間湯沸かし器だった。大嫌いなことには、素直に自分の気持ちを相手にぶつけた。決して遠慮しなかった。
これは第2次世界大戦中のこと、首相官邸近くの通りを歩いていたとき、向こうから15歳ぐらいの少年が両手をポケットに入れ、口笛を吹きながらやって来た。通りいっぱいに響き渡る大きな音で、何かうれしいことでもあったのか、機嫌のよい表情を浮かべている。チャーチルはかん高い音がする口笛が大嫌いだった。側を通りすぎる少年に「口笛を吹くのをやめなさい」と大きな声で怒鳴った。
   警護のトンプソン警部は驚いたような表情を見せたが、少年はまるで意に介さず「どうして、おじいさん」とけげんな顔で尋ねた。「口笛が大嫌いだ。本当に不愉快な音だからやめなさい」と声高に言い返す。少年は足を止めずにさらに数歩歩いた直後、振り向きざま「そんなに嫌なら、どうして耳をふさがないのさ」と言い、力いっぱい口笛を吹きながら歩いていった。意表をつかれたチャーチルの顔は怒りに青ざめていた。
   トンプソン警部と外務省の敷地に入ると、先ほどまで怒り心頭だったチャーチルが笑みを浮かべはじめ、少年の言葉を口にした。「そんなに嫌なら、どうして耳をふさがないのさ」。その言葉を繰り返すうちにクスクスと笑い始めた。警部も首相の顔を見ながら笑みを返した。
 このエピソードはチャーチルの気質をみごとに映し出している。トンプソン警部は「カッとなるが、悪意はない。冷静になるとユーモアのセンスがあるため、すぐにユーモアできりかえしてくる」と語っている。》

  《チャーチルにとっての勇気とは何か。彼はスペインのアルフォンソ13世を「政治上の困難に直面して命の危険にさらされたとき、勇気を奮い立たせて行動し、肉体的、精神的な両面において勇気を立証したのである」と称え「上は国王から下は大衆まで、すべての人間は自分が試される重大な時局に立ち至ったとき、どう行動するかで評価が決まる。そんな時、勇気を振り絞るのだ。勇気こそ人間の資質の中で最初に挙げられる素晴らしい価値だ。なぜ? それは、いままで言われてきたことだが、ほかのすべての資質を担保するからだ」と明確に語っている。
  また「創造主」は邪(よこしま)で残忍な目的を抱いている人々に対して「地獄の苦痛」を与えるが、誰もが理解できる崇高な目的に向かってリスクを恐れぬ勇気をもち、一心不乱に邁進している人間には「慈悲深い」と述べ、「創造主は人間がどうすることもできないことをあえて試すことはありません。だからリスクを恐れずに生きなさい! 何が起こっても逃げないで立ち向かいなさい! そうすればすべてがうまくいくのです」と訴えている。》

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