20世紀を代表する英国の宰相ウィンストン・チャーチルは、たぶん第2次世界大戦がなければ、並の政治家で終わったでしょう。まさに国難に際してのみ、政治家の能力を発揮できる人物だったと思います。それはリスクを恐れない勇気と決断力、実行力に富んでいたからです。平和な時代の政治家にとって、これらの政治能力は時として過激な行動や発言をしたと見なされ、政界の隅に追いやられることがあります。まさに時代の落とし子ではなかったでしょうか。
チャーチルを通算20年間警護したウォルター・トンプソンの書籍やこの異能の政治家の著書などから判断すれば、彼はせっかちで、瞬間湯沸かし器でした。一言で言えば短気でした。
また大嫌いなことには、素直に自分の気持ちを相手にぶつけた。決して遠慮しなかった。この点では異質の英国人です。平均的な英国人は日本人と同様、本心を明かしませんし、遠慮深いです。悪く言えば、何を考えているかわからないつかみどころのない人々です。英国人(イングランド人)の国民性だと言うことができます。
拙書「人間チャーチルからのメッセージ」(2017年12月刊行)にも書きましたが、チャーチルの明けっ広げの性格を表すエピソードがあります。
これは第2次世界大戦中のこと、首相官邸近くの通りを歩いていたとき、向こうから15歳ぐらいの少年が両手をポケットに入れ、口笛を吹きながらやって来ました。通りいっぱいに響き渡る大きな音で、何かうれしいことでもあったのか、機嫌のよい表情を浮かべています。チャーチルはかん高い音がする口笛が大嫌いでした。側を通りすぎる少年に「口笛を吹くのをやめなさい」と大きな声で怒鳴りました。
警護のトンプソン警部は驚いたような表情を見せましたが、少年はまるで意に介さず「どうして、おじいさん」とけげんな顔で尋ねました。「口笛が大嫌いだ。本当に不愉快な音だからやめなさい」と声高に言い返す。少年は足を止めずにさらに数歩歩いた直後、振り向きざま「そんなに嫌なら、どうして耳をふさがないのさ」と言い、力いっぱい口笛を吹きながら歩いていきました。意表をつかれたチャーチルの顔は怒りに青ざめていました。
トンプソン警部と外務省の敷地に入ると、先ほどまで怒り心頭だったチャーチルが笑みを浮かべはじめ、少年の言葉を口にしました。「そんなに嫌なら、どうして耳をふさがないのさ」。その言葉を繰り返すうちにクスクスと笑い始めた。警部も首相の顔を見ながら笑みを返しました。
トンプソン警部は「カッとなるが、悪意はない。冷静になるとユーモアのセンスがあるため、すぐにユーモアできりかえしてくる」と語っています。
このエピソードから、チャーチルがわれわれと同じ長所と短所を兼ね備えた平凡な人物だと理解できます。だからこそ魅力的なエピソードが数多く生まれ、それが英国民を魅了しているのでしょう。拙書にもそれをいくつか書きましたが、私も魅了された一人です。
PR:チャーチルの人生観や生き方をエピソードを交えながら記した「人間チャーチルからのメッセージ」をご一読ください。アマゾンなどで販売しています。また左端に内容を記した案内があります。
チャーチルを通算20年間警護したウォルター・トンプソンの書籍やこの異能の政治家の著書などから判断すれば、彼はせっかちで、瞬間湯沸かし器でした。一言で言えば短気でした。
また大嫌いなことには、素直に自分の気持ちを相手にぶつけた。決して遠慮しなかった。この点では異質の英国人です。平均的な英国人は日本人と同様、本心を明かしませんし、遠慮深いです。悪く言えば、何を考えているかわからないつかみどころのない人々です。英国人(イングランド人)の国民性だと言うことができます。
拙書「人間チャーチルからのメッセージ」(2017年12月刊行)にも書きましたが、チャーチルの明けっ広げの性格を表すエピソードがあります。
これは第2次世界大戦中のこと、首相官邸近くの通りを歩いていたとき、向こうから15歳ぐらいの少年が両手をポケットに入れ、口笛を吹きながらやって来ました。通りいっぱいに響き渡る大きな音で、何かうれしいことでもあったのか、機嫌のよい表情を浮かべています。チャーチルはかん高い音がする口笛が大嫌いでした。側を通りすぎる少年に「口笛を吹くのをやめなさい」と大きな声で怒鳴りました。
警護のトンプソン警部は驚いたような表情を見せましたが、少年はまるで意に介さず「どうして、おじいさん」とけげんな顔で尋ねました。「口笛が大嫌いだ。本当に不愉快な音だからやめなさい」と声高に言い返す。少年は足を止めずにさらに数歩歩いた直後、振り向きざま「そんなに嫌なら、どうして耳をふさがないのさ」と言い、力いっぱい口笛を吹きながら歩いていきました。意表をつかれたチャーチルの顔は怒りに青ざめていました。
トンプソン警部と外務省の敷地に入ると、先ほどまで怒り心頭だったチャーチルが笑みを浮かべはじめ、少年の言葉を口にしました。「そんなに嫌なら、どうして耳をふさがないのさ」。その言葉を繰り返すうちにクスクスと笑い始めた。警部も首相の顔を見ながら笑みを返しました。
トンプソン警部は「カッとなるが、悪意はない。冷静になるとユーモアのセンスがあるため、すぐにユーモアできりかえしてくる」と語っています。
このエピソードから、チャーチルがわれわれと同じ長所と短所を兼ね備えた平凡な人物だと理解できます。だからこそ魅力的なエピソードが数多く生まれ、それが英国民を魅了しているのでしょう。拙書にもそれをいくつか書きましたが、私も魅了された一人です。
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