英宰相ウィンストン・チャーチルからのメッセージ   

チャーチルの政治哲学や人生観を土台にし、幅広い分野の話を取り上げる。そして自説を述べる。

少子高齢化で子どもに「冷淡」な日本社会を斬る

2014年08月08日 10時15分59秒 | 老人社会と年金、福祉
 きょうはもうひとつ書き記したい。8月8日付朝日新聞に「人口減 にっぽん」の特集記事が掲載されていた。この中で、「子に冷淡」に目が向かった。『「よいこは、しずかにあそべます。おおごえでさけばないで!!」。川崎市の東急田園都市線・宮崎台駅にほど近い公園。敷地内の柵に、にっこり笑うアンパンマンの絵入りのはり紙が掲示されている。あたかも、子どもはおとなしくしているべきだ言わんばかりに』『東京都杉並区のある公立小せは2年ほど前、登校時の校門前でのあいさつが自粛された。保護者らによると、近所の住民から苦情があり、子どもたちは数カ月間、校門前に立つ先生に黙礼したという。今も、公邸で放課後遊ぶ声に苦情が寄せられる』
 嘆かわしい時代だ。苦情を言っている大人にも子供時代があっただろう。なかったとは言わせない。大きな声で遊んだだろうに?それとも今日の病理社会を象徴している「自宅パソコン熱中派」だったのだろうか?
 誰でも例外なく子どもから大人になる。子どもの仕事は外で遊ぶことだ。人間形成にとり一番重要なことである。外で遊び、友だちとの付き合いから我慢を覚えるのだ。苦情をいう大人には「我慢」の訓練がされていないと判断せざるを得ない。このごろ「ストーカー事件」「同級生を殺す」「車内での喧嘩」「医者を刺す」。このような「21世紀病」に特質的な病理の背後にあるのは「我慢できない」日本人の精神の欠陥が露呈されている。このことは半世紀前の日本人との大きな違いだ。
 確かに子どもの泣き声や騒がしい声はうるさい。私もそう思う。母が住んでいた遠州地方の自宅の前は公園だ。わたしも毎月そこで1週間過ごしているが、ほぼ毎日うるさい。元気な声とはいえ、確かにうるさい。夕方ともなれば子供らの元気な声が聞こえる。
 また電車に乗っていると赤ちゃんの泣き声が聞こえる。ある時、新幹線で乗客が「うるさい!」と怒鳴り、母親が「すみません」と誤ってデッキに出た。わたしは母親に「気にするな」と申し上げて、その男を横目で見たら、60歳前後の人間だった。歳には関係ないらしい。
 子どもは「遊び」「泣きわめいて」仕事をしているのだ。そして将来の常識人になる訓練をしている。「仕事をしている」ことを大人は肝に銘じていほしい。大人が会社で仕事をするように、赤ちゃんは泣くのが仕事だ。幼児は大声で友達と遊ぶ。これも仕事だ。一生懸命仕事をしている。「苦情言う大人」に言いたい。子どもの職を奪うな!諸君も会社をクビにされたら困るだろう。
 近隣住民が「騒音」を理由に保育園の新設に反対するケースもあるという。かつて根付いていた日本社会の寛容さが失われているのは事実だ。これも教育のつけだろう。家庭教育(しつけ)や学校教育が1980年代から大きく変わり始めた。「体罰」かといえば、「皆が平等。体罰は駄目」というブーメランのように左右に大きくぶれるのが日本人の国民性。もっと自分で考え、「我慢」して温かい気持ちで子どもの成長を見守りたい。子どもの声がうるさいという御仁の猛省を期待する。
 

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