英宰相ウィンストン・チャーチルからのメッセージ   

チャーチルの政治哲学や人生観を土台にし、幅広い分野の話を取り上げる。そして自説を述べる。

ヘイトスピーチではなく観察眼を      好き嫌いの感情でなく反証を

2013年10月08日 15時15分38秒 | 日韓関係
  中国情報サイト「サーチナ」によれば、中国の中国新聞社はこのほど、周辺国家に対する韓国人の態度は、サッカーの試合に顕著に表れるとする、韓国国内の学者による調査結果を紹介する記事を掲載した。調査は今年2月と4月に実施された。
  学者は記事の中で「サッカーを含む現代スポーツは非常に政治化しており、試合において国家間の争いが大きく反映される」と話している。
  4月の調査では、米国の試合を応援する韓国人が57%に達した。また北朝鮮の試合を応援する割合が減少傾向にあり、中国やロシアの試合については対戦相手によって支持率が大きく変化するという。
  日本への態度をめぐって、中国紙は「予想どおり」としたうえで、日米が試合をすれば91%の韓国人が米国を応援し、日中戦では74.4%が中国を、日ロ戦では66.3%がロシアを応援することを明らかにした。
  「スポーツに政治を持ち込むな」という叫びは、大多数の韓国人には通じないのかもしれない。
  サーチナの編集担当者は「韓国でこのような調査が行われたということに対して『いかにも』という気持ちを抱かざるを得ない。政治的な感情なしに、純粋に国際スポーツを楽しむというのはそもそも(韓国人には)不可能なのだろうか」と話しを結んでいる。
  日本でも、朝鮮学校の周辺でヘイトスピーチ(憎悪表現)を繰り返して授業を妨害したとして、学校法人京都朝鮮学園が「在日特権を許さない市民の会」(在特会)などを訴えた訴訟の判決で、京都地裁は7日、学校の半径200メートルでの街宣禁止と約1200万円の賠償を命じた。
  京都地裁は、ヘイトスピーチを在日コリアンへの侮蔑(ぶべつ)や排除をあおる人種差別だと判断した。
 東京新聞社の社説によれば、在特会は「殺せ」「たたき出せ」と大音量で連呼する街宣活動を続けているという。特定の人種や民族を差別し、憎しみをあおる「ヘイトスピーチ」は在日コリアンが大勢住む東京や大阪などで深刻だ。 
  日韓をめぐるこの二つの事例から両民族の国民性の一端が垣間見える。どんな民族も日韓両民族のような他民族に対する感情的な排他性を持っている。特に、紛争時や「いわれない中傷」と感じる問題、民族の琴線に触れる問題が起こるとその傾向が強まる。
 観察眼を持ち、過去を振り返り、過誤を反省してそれを未来に生かそうと考える人々が多数を占めているときは、二つの事例のような不合理で感傷的な出来事は適切に阻止される。そのような人々が多数を占めていなくても、感情的な侮蔑は行きすぎだと感じる人々が多数を占めている時、国が進路を誤ることは少ない。
  だが、スペインの作家オルテガが言うように、大衆は「愚か」である。途方もない理不尽な政治目的を掲げたモンスター政治家が、感情的、非合理的な大衆を扇動し、感傷的な大衆を引き付け、動員して独裁政治を始めた時、民主政治は終わりをつげ、 われわれの自由は奪われる。ナチス・ドイツのヒトラーはその好例だろう。
  オルテガがいうような大衆になってはならない。絶えず冷徹な観察眼で周囲の環境を観察し、過去を見つめ、これからどう対処すべきかを考察する。北朝鮮や中国の意図は何か。国民性がどの程度まで政策に影響しているのか。歴史が彼らにどんな影響力を与えているのか。
  その分析に際して、われわれは相手を色眼鏡で見るのではなく、相手に肩入れして観察するのでもなく、相手を憎しみや好き嫌いで観察もせず、そのような感情から離れて虚心坦懐な気持ちを持って、科学者のような態度で証明し反証して相手の考えや姿勢、行動を分析する。ヘイトスピーチを繰り返すよりも相手への観察を繰り返すほうが100倍も大切であろう。