本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

「力」ということ

2018-11-05 21:11:03 | 漢字

最近はよく「力」ということを

本の題とかで見かけます。

「悩む力」とか「断る力」とか

この場合は「ちから」と読み

「仕事力」とか「質問力」などは

「りょく」と読んでいるようです。

はたまた、

「老人力」という本もあるようです。

 

ふと感じたのは

お経の中にも「力」という字が

たくさん出てきます。

今読んでいる『十地経』でも、

「善く大本願力を起す」とか

「善く如来力の加をもって加する」

「自の善根力によって力を得る」

というように出てきます。

また、

いつも読んでいる『観音経』では

「念彼観音力」という句が

繰り返し出てきます。

それから、

「観音妙智力」「具足神通力」

という「力」も出てきます。

 

根本仏教では

お釈迦さんが説かれた修行の方法

「三十七道品」(三十七菩提分法)

の中にも

「五力」ということがあります。

悪を破るのに力がある、

ということで、

第一番目に「信力」 信仰の力

第二番目に「勤力」 努力の力

第三番目に「念力」 憶念の力

  憶念不忘という忘れない力

第四番目に「定力」 禅定の力

第五番目に「慧力」 智慧の力

修行すべき五つの徳目が出ています

 

また、十波羅蜜の中では

第九番目に力波羅蜜ということが

出てきます。

まあ正しく修行する力という

ことでしょうか。

 

それから、

よく使う言葉には「自力」「他力」

ということがあります。

よく誤解される言葉に

「他力本願」ということもあります

 

しかし、

仏教で使う「力」ということは

辞書を見てみると

インドの言葉のbalaバラの訳で

機能、能力ということです。

そこには

思擇力(しちゃくりき)

 思惟判断する知的能力

修習力(しゅうしゅうりき)

 修道上の実行力

というような力もあるようです。

 

力は他から持ってくる

ものではなく

自分の中に存在している力

能力ということがあるようです

他に頼りたくなるのですが

力は他から持ってくるものではなく

自分の中にあるものです。

 

ちなみに英語では??

なかなかその力がないので

分からないのですが

strengthとかenergyとかpower

などがあるようで、

潜在的能力ということになると

やはりpowerということが

当てはまるのではないでしょうか

capacityキャパシティーということも

能力ということのようで、

英語の中にはもっとたくさん

力ということがあるようです。

 

安田先生はドイツ語の

Machtが能力ということに

当るのではないかと言われています

 

しかし面白いことに

力ということは皆欲しがるのですが

以外と自分の中ということは

気が付かないようです。

お経の中に「力」ということが

たくさん出て来るということは

意外な発見でした。

このことももっと調べていくと

とても重要な意味があるのでしょう

面白い課題だと思います。

 

 

 

コメント
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