hiyamizu's blog

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『なにがスゴイか?万能細胞』

2011年11月04日 | 読書2
中西貴之著『なにがスゴイか?万能細胞―その技術で医療が変わる!―』2008年7月技術評論社発行、を読んだ。

武蔵野自由大学の講座で遺伝子工学に話を聞いたので刺激されてこの本を読んでみた。
病気への最終手段に臓器移植があるが、免疫により拒絶反応の壁がある。臓器を試験管内で作り出すための研究に光が見えてきた。今年のノーベル賞を逃したので最近話題にならないが、京大山中教授によって発明されたiPS細胞がそれだ。

再生医療、受精卵から体細胞への変化、ES細胞、iPS細胞、クーロン羊ドリーなどについてかなり詳しく、分かりやすく説明している。
さらに、将来の薬への応用(あなたのためのオーダー薬)、理想的な再生医療イメージに触れている。


最初の方だけ、少しだけ抜粋。

たった一個の受精卵が細胞分裂して、やがて神経、筋肉、臓器などの体細胞に変化する(分化)。100個程度の細胞に分裂する頃までは、ほとんど全ての臓器細胞に分化する能力(万能性)を持っている。これがES細胞(胚性幹細胞)だ。

ES細胞を臓器再生に用いるには壁がある。特に人間の場合は既に受精した子宮に戻せば胎児に育つ可能性のある受精卵を用いるには倫理上の問題がある。

一方、分化してすでに何らかの組織や臓器の細胞に分化してしまった万能性を失ってしまった皮膚などの細胞を初期化し(ロックを外し)、「多能性」と「増殖」を持たせたのがiPS細胞(人工多能性幹細胞)だ。



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

記述はかなり詳しく、おそらく山中教授の論文からの引用だろう、実験の詳細や、失敗した経過など、にも触れているため、概要を知るだけを目的とするひとには適さない。もちろん、一方では専門の大学院生などには、引用文献は脚注などに丁寧に示されて入るが、多分もっと専門の本の方が良いのだろう。



中西貴之(なかにし・たかゆき)
1965年,山口県下関市彦島生まれ。山口大学大学院応用微生物学修了。現在,総合化学メーカー宇部興産株式会社有機化学研究所で鋭意創薬研究中。
著書に『最新科学おもしろ雑学帖』『人を助ける へんな細菌すごい細菌』(技術評論社)。




以下、私のメモ
 
クローン細胞技術(ドリー):
体細胞クローンのドリーは羊の卵子から核を除去し、そこに別の羊の皮膚細胞から取り出した細胞核を移植して作り出された。
  
EPiS細胞:
着床後胚のエピブラストと名付けられた多能性細胞の集団から「EPiS」細胞と呼ばれる多能性細胞株が樹立できることがマウスやラットで確認された。 このEPiS細胞はES細胞よりも細胞が成長した段階にある多能性幹細胞だ。
 
「胎児を形成することができる能力を「万能性」、胚盤胞が持つあらゆる組織になれる能力を「多能性」」

「ある種の薬品をドナーに投与し続けると造血幹細胞が循環血中に出てくることが発見され、現在では全身麻酔の必要のない抹消血から造血幹細胞採取を行う手法が確立され、・・・」







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