京都観光で高台寺の駐車場にタクシーで着いたときのこと。
知人たちとタクシーを降りると、待っていた客がすぐに乗り込んだ。車はそのまま走り出したので、私が知人の荷物がトランクに入ったままなのにすぐに気づき、窓を叩いて運転手に知らせた。
車は止まり、荷物は戻ったのだが、今度は知人が日傘がないと騒いでいる。私が、後部座席の客に聞くと、傘を差しだしてくれた。さらに、知人は脱いだ背広がないという。これも訊ねると、しばらく探してくれて、尻の下から取り出して渡してくれた。高齢者にはよくあることではあるが、世話が焼ける。
高台寺見て回ったあと、昼飯を予約してある店までタクシーで行った。2階に上がり、一息つくと、知人がまたまた傘がない、高額な品なのだと騒ぐ。私が「京都のタクシーで忘れもの」で検索して「タクシー会社が特定できない場合の忘れ物」から、「タクシー業務センタ」に電話した。運転手さんのお名前が「知念さん」であることを伝えると、調べて「一人いるから連絡してみます」という。話しているうちに店の人が「タクシーの運転手さんが届けてくれました」と傘を持ってきてくれた。
「知念さん、ありがとうございました」 この場を借りてお礼申し上げます。
2回連続タクシーの中に忘れものとは世話のやけることだ。
しかし、タフでなければ生きていけないが信条の私も、既に時々は忘れ物すること(『「奥様」と呼ばれて』)があるので、度重なる失敗を笑ったりはせず、心優しく接したのでした。