「俺が長く使っているものって何かな?」
「すべて! 何でも、何時までも使ってて、捨てないじゃない」
これが、買物好きな奥様の答え。
早めの(?)終活に心がけていて、使わないものはどんどん捨てている。本はほとんどすべて、趣味の収集品なども捨てたし、アルバムはすべてCD化した。
しかし、使っている物は、なかなか捨てて新しいものにしない。確かに自他ともに認めるケチだ。使い続けている理由は、物のない時代に育ち、何でももったいなくて捨てられないから。うまくリサイクルしてくれれば、喜んでさしあげるのだが。例えば、本を読んでチェックしたいところに張るポストイットも、新しいものを買ってあるのに、何回も繰り返し、付かなくなるまで使っている。
ホテルのバスタブにももったいないのでいっぱいお湯をためない。寝転がったときに体の半分から上までお湯がこない程度で止めてしまう。体に乗せたタオルに手でお湯をピチャピチャかけて寒くないようにしている。宿泊費は変わらないのにこんなことをやるのは、エコだからでケチではない証明になると自己満足している。
こんな私が、とくに今後とも長く使いたいと思う品二点がある。
一つは襟巻と言って笑われてしまうのだがマフラー。今流行しているように首にくるりと巻くにはちょっと長さが足りないが、褐色のカシミアで、冬の外出時には愛用している。もう一つは、夏の帽子。布製で折りたためるし、洗えるので、とくに旅行時にはもってこいだ。
これらを捨てられないのは、二つとも形見の品で、使うたびに一瞬だが亡くなったあの人を思い出すから。二人とも一途な人だった。