hiyamizu's blog

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藤崎彩織『ざくろちゃん、はじめまして』を読む

2023年08月25日 | 読書2

 

藤崎彩織著『ざくろちゃん、はじめまして』(2023年4月25日水鈴社発行、発売所文藝春秋)を読んだ。

 

水鈴社の作品紹介

結婚を決めたとき、すぐにSEKAI NO OWARIのバンドメンバーとスタッフに言わなくては、と思ったことがある。
「結婚するということは、妊娠したら出産するということだからっ」
啖呵を切ってみた私にも、実際よくわかってはいなかった。
それは、未開の地を開拓するようなものだった――。
(本文より)

妊娠後、コントロールできなくなった体と心。膨らむ被害妄想。
愛しい息子の誕生後、夫婦に襲いかかった産後うつ――。

こんなに幸せなのに、幸せだと気づくのは
なんて大変なのだろう。


スタジオから直行した出産、ステージ上での失禁、そしてメンバーからのメールに涙した日……。

アーティストとして、一人の女性として、妊娠・出産、育児の全てを包み隠さず綴り、切実な願いを込めた、笑って泣ける傑作書き下ろしエッセイ!
子どもを生んだ人、生まなかった人、生むかもしれない人、そして男性にこそ読んで頂きたい1冊です。

 

2022年末に日本レコード大賞を初受賞した4人組バンド・SEKAI NO OWARIのSaoriこと藤崎彩織さん、2017年発売の初小説『ふたご』が直木賞候補になった文筆家でもある。

 

妊娠出産篇 妊娠しながら、メンバーの男性3名との曲創り・アジアツアー、小説『ふたご』執筆

出産宣言、妊娠発覚、妊娠6週(ざくろの種位の大きさ)、妊娠7週、妊娠10~11週、

妊娠13週(手足、頭があり人間の形になっている大きめのプラム、夫と二人で初めて我が子が可愛いと思ったこのシーンは、人生最後に見る走馬灯に加えて欲しいな、と思った。)

以下、妊娠35~39週(小さめのスイカ)まで6刻みの妊娠とツアー生活など、出産(妊娠40週)

 

育児編  夫は精一杯育児しているのに、夫婦の気持ちがすれ違う、バンドメンバーに子育に協力してもらう

生後3日(餅つき)、生後1週~2週(作り立てのモッツァレラチーズ)~くたくたのキムチ鍋(生後3年)まで8刻みの育児記録

 

あとがき(生後5年・土付きネギ3本セット)

 

 

藤崎彩織(ふじさき・さおり)
1986年大阪府生まれ。2010年、突如音楽シーンに現れ、圧倒的なポップセンスとキャッチーな存在感で「セカオワ現象」と呼ばれるほどの認知を得た4人組バンド「SEKAI NO OWARI」では“Saori”としてピアノ演奏とライブ演出、作詞、作曲などを担当。2017年に発売された初小説『ふたご』は直木賞の候補となった。
他の著書は『読書間奏文』『ねじねじ録』。

夫は俳優の池田大だが、SEKAI NO OWARIのミュージックビデオの監督となり、6作目の監督作『Habit』でMTVの「Video of the Year」を受賞した。

 

 

私の評価としては、★★★★★(五つ星:読むべき、 最大は五つ星)

 

妊娠、出産、子育てと時系列に、細かく区切って書かれていて、文章も巧みで、スラスラ読める。

 

ステージやツアーをこなしながら、妊娠、出産という大きな身体の変化、心のアップ、ダウンの経験が凄まじいが、大阪人らしいユーモアを持って語られる。
夫婦ともに罹った産後うつでの厳しい相互のやりとりも、ギクシャクしながら、「まてよ」と相手の立場も思いやることで治める。なかなかの知恵者だと思う。

 

あーでもあり、こーでもあるという複雑な心理の話を、分かりやすく言葉にしていて、これから子供を持つような若い人たちは共感でき、参考になる点が多いのではないかと思う。

 

それにしても、出産の凄まじさには読むだけでビビる。

川上未映子さんは『きみは赤ちゃん』で言っていた。

案ずるより生むが易し、という言葉がある。
・・・男発信だったとしたらまじむかつくな、・・・。生むの、ぜんぜん易しくねえよ! 案じさせろや!っていうのもこれ、じつにたしかな実感である。

 

メモ

 

妻も夫も極限状態にある時に、「傷つけあわないことは難しいので、せめてその後に癒しあい、労(いたわ)りあえるところを目指したい」。

 

5歳になった今、親のどちらかがワンオペ育児をし、どちらかが一人の時間を作る「意図的ワンオペシステム」を導入している。

 

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2 コメント

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tsuboneさま (冷水俊頼)
2023-08-26 08:25:26
おっしゃるように「互いの立場を理解する」ことがポイントですね。
ただ、ブログで拝見していると、、お孫さんたちも個性的ですが、きちんとしていて、理想的じゃないですか。
また、年寄りから見ると、それぞれのご夫婦もたくましいなと思えます。

昔、相方に出産について、「動物的じゃないから俺にはとうてい無理だ」と口を滑らせて、睨まれ、
産後は数時間ごとに泣いて授乳が必要だからと、別室で寝ていて呆れられた私に言う資格はないのですが。
いや、いや、お怒りはもっともですが、昭和の時代ですのでご勘弁を。今となっては、夢のような時代でした。
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Unknown (tsubone)
2023-08-25 11:43:33
この本、もうすぐ第二子が生まれるムスメと
二人のヤンチャ盛りの男の子のいるムスコと
それぞれの配偶者にぜひ読ませたいです。
お互いの立場をわかってほしい。
はたで見てるとまだまだ危なっかしい30代の子育て中の夫婦なんです。
Amazonでポチします。
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