大野更紗著『困ってるひと』2011年6月ポプラ社発行、を読んだ。
ビルマ難民問題を研究していた24歳の大学院生女子が、タイ・チュラロンコン大学での研究留学中に自己免疫疾患系の難病を発症し、緊急帰国。1年間の医療機関の放浪の末、ようやく「筋膜炎脂肪織炎症候群」という自己免疫の難病だとの診断が下り、自らが「医療難民」となった。
麻酔なしの手術に、途切れなしの熱と倦怠感。読むだけで恐ろしい悲惨な闘病生活をユーモアをもって語る。
彼女には、支援してくれる友人、遠方の親がいたが、長期に渡ったので支える側は疲弊した。そこで彼女は、自立への道を模索し始める。しかし、日本の社会福祉制度の構造や仕組みは複雑でまったく理解できない「モンスター」だった。同じような膨大な書類を書き提出する必要があるなど硬直的な社会福祉制度に果敢にチャレンジする。
現在は通院しながら治療を続けている。痛み止めの薬が効かず、自宅では「昏睡の合間に執筆し、常に痛みを感じている」状態だという。
初出:ウェブマガジン「ポプラビーチ」2010年8月~2011年4月に連載されたものに加筆訂正
装・挿画(能町みね子)が可愛い。
大野更紗(おおの・さらさ)
1984年、福島県生まれ。上智大学外国語学部フランス語学科卒。博士前期課程休学中。学部在学中にビルマ(ミャンマー)難民に出会い、民主化活動や人権問題に関心を抱き研究、NGOでの活動に没頭。大学院に進学した2008年、自己免疫疾患系(筋膜炎脂肪織炎症候群、皮膚筋炎)の難病を発病する。1年間の検査期間、9か月間の入院治療を経て、現在も都内某所で絶賛生存中。
「大野更紗のブログ」
入院中にラジオで高野秀行氏(『異国トーキョー漂流記』の著者)の話を聞いて自分も何か書きたいとメールしたのがきっかけでこの本が誕生した。
私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)
超ど田舎の優等生から花の上智フランス語科に、そしてビルマ難民に入れ込み、一転して難病でイモムシ化。考えただけで気味悪くなるような悲惨な状況を軽く調子の良い話し言葉で語る。著者の負けてない気持ちもあって、なんだか楽しく読めてしまうから不思議だ。
後半の社会福祉制度へ挑戦する話は、ちょっとスピード感が無くなる。さらに、好きな人ができる話は人様に聞かせる話になっていない。
「BLOGOS」の対談で著者が語っていた。
はじめに 絶望は、しない、 わたし、難病女子
第一章 わたし、何の難病? 難民研究女子、医療難民となる
第二章 わたし、ビルマ女子 ムーミン少女、激戦地のムーミン谷へ
第三章 わたし、入院する 医療難民、オアシスへ辿り着く
第四章 わたし、壊れる 難病女子、生き検査地獄へ落ちる
第五章 わたし、絶叫する 難病女子、この世の、最果てへ
第六章 わたし、瀕死です うら若き女子、ご危篤となる
第七章 わたし、シバかれる 難病ビギナー、大難病リーグ養成ギプス学校入学
第八章 わたし、死にたい 「難」の「当事者」となる
第九章 わたし、流出する おしり大虐事件
第十章 わたし、溺れる 「制度」のマリアナ海溝へ
第十一章 わたし、マジ難民 難民研究女子、援助の「ワナ」にはまる
第十二章 わたし、生きたい(かも) 難病のソナタ
第十三章 わたし、引っ越す
第十四章 わたし、書類です 難病難民女子、ペーパー移住する
第十五章 わたし、家出する 難民、シャバに出る
最終章 わたし、はじまる 難病女子の、バースデイ
あとがき 難病史上最大の作戦
ビルマ難民問題を研究していた24歳の大学院生女子が、タイ・チュラロンコン大学での研究留学中に自己免疫疾患系の難病を発症し、緊急帰国。1年間の医療機関の放浪の末、ようやく「筋膜炎脂肪織炎症候群」という自己免疫の難病だとの診断が下り、自らが「医療難民」となった。
麻酔なしの手術に、途切れなしの熱と倦怠感。読むだけで恐ろしい悲惨な闘病生活をユーモアをもって語る。
彼女には、支援してくれる友人、遠方の親がいたが、長期に渡ったので支える側は疲弊した。そこで彼女は、自立への道を模索し始める。しかし、日本の社会福祉制度の構造や仕組みは複雑でまったく理解できない「モンスター」だった。同じような膨大な書類を書き提出する必要があるなど硬直的な社会福祉制度に果敢にチャレンジする。
現在は通院しながら治療を続けている。痛み止めの薬が効かず、自宅では「昏睡の合間に執筆し、常に痛みを感じている」状態だという。
初出:ウェブマガジン「ポプラビーチ」2010年8月~2011年4月に連載されたものに加筆訂正
装・挿画(能町みね子)が可愛い。
大野更紗(おおの・さらさ)
1984年、福島県生まれ。上智大学外国語学部フランス語学科卒。博士前期課程休学中。学部在学中にビルマ(ミャンマー)難民に出会い、民主化活動や人権問題に関心を抱き研究、NGOでの活動に没頭。大学院に進学した2008年、自己免疫疾患系(筋膜炎脂肪織炎症候群、皮膚筋炎)の難病を発病する。1年間の検査期間、9か月間の入院治療を経て、現在も都内某所で絶賛生存中。
「大野更紗のブログ」
入院中にラジオで高野秀行氏(『異国トーキョー漂流記』の著者)の話を聞いて自分も何か書きたいとメールしたのがきっかけでこの本が誕生した。
私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)
超ど田舎の優等生から花の上智フランス語科に、そしてビルマ難民に入れ込み、一転して難病でイモムシ化。考えただけで気味悪くなるような悲惨な状況を軽く調子の良い話し言葉で語る。著者の負けてない気持ちもあって、なんだか楽しく読めてしまうから不思議だ。
後半の社会福祉制度へ挑戦する話は、ちょっとスピード感が無くなる。さらに、好きな人ができる話は人様に聞かせる話になっていない。
「BLOGOS」の対談で著者が語っていた。
今の日本社会は、セーフティーネットがスカスカなんです。いわゆる「普通」の状態から一歩踏み外すと、一気にスコーンと貧困に落ちてしまう。
普通の人もいつ貧困に落ち込んでも不思議でない状況なのだ。
普通の人もいつ貧困に落ち込んでも不思議でない状況なのだ。
はじめに 絶望は、しない、 わたし、難病女子
第一章 わたし、何の難病? 難民研究女子、医療難民となる
第二章 わたし、ビルマ女子 ムーミン少女、激戦地のムーミン谷へ
第三章 わたし、入院する 医療難民、オアシスへ辿り着く
第四章 わたし、壊れる 難病女子、生き検査地獄へ落ちる
第五章 わたし、絶叫する 難病女子、この世の、最果てへ
第六章 わたし、瀕死です うら若き女子、ご危篤となる
第七章 わたし、シバかれる 難病ビギナー、大難病リーグ養成ギプス学校入学
第八章 わたし、死にたい 「難」の「当事者」となる
第九章 わたし、流出する おしり大虐事件
第十章 わたし、溺れる 「制度」のマリアナ海溝へ
第十一章 わたし、マジ難民 難民研究女子、援助の「ワナ」にはまる
第十二章 わたし、生きたい(かも) 難病のソナタ
第十三章 わたし、引っ越す
第十四章 わたし、書類です 難病難民女子、ペーパー移住する
第十五章 わたし、家出する 難民、シャバに出る
最終章 わたし、はじまる 難病女子の、バースデイ
あとがき 難病史上最大の作戦