辻村深月『朝が来る』(2015年6月15日文藝春秋社発行)を読んだ。
「本の話WEB」の特設サイトにはこうある。
不妊治療との長くつらい闘いの末に栗原夫妻が選んだ道は、特別養子縁組だった。五年後、朝斗と名付けた男の子と家族三人の穏やかな日常のしあわせを噛みしめるように暮らす栗原家。朝斗が幼稚園に行っているある日中、栗原家を「片倉ひかり」と名乗る若い痩せぎすの女性が訪ねてくる、片倉ひかりは朝斗の産みの母親の名前だ。・・・
上の話の後には、マンションの下層階のママ友とのトラブルなどが続き、第二章は栗原夫妻の長く辛い不妊治療の経緯、特別養子縁組支援団体説明会への参加となる。
赤ん坊を抱いた清和が思わず「かわいいなぁ」と言ったとき、佐都子は思った。朝が来た、と。そして、この子は朝斗と名付けられた。
第三章は、生みの母である中学1年の片岡ひかりが麻生巧と付き合いはじめ、妊娠し、支援団体へたどり着き、・・・。
そして、第四章「朝が来る」で大団円となる。
初出:「別冊文藝春秋」2014年1月号~2015年3月号
私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)
養父母があまりにも良い人で、一方、生みの母は典型的過ぎる転落人生を歩み進める。話にヒダがない。
第三章のひかりの一路落ちて行く、よくある話が170ページも続く一方で、最後の結末への道筋、第四章は21ページで駆け足。
特別養子縁組というと、養父母は幼子(最大6歳まで)を戸籍上の実子として育てるのだから、子供には養子であることを隠している場合が多いと思っていたが、子供に事実を明らかにして、さらに実母と定期的に会わせている場合も多いという。
主な登場人物
栗原佐都子:41歳の時に朝斗の養母となる。武蔵小杉の高層マンションの34階に住む。
栗原清和:佐都子と同い年の夫、建設会社勤務
栗原朝斗:5歳の息子
片倉ひかり:朝斗の実母。