hiyamizu's blog

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堂場瞬一『誤ちの絆』を読む

2022年10月19日 | 読書2

 

堂場瞬一著『誤(あやま)ちの絆』(講談社文庫と55-21、2022年8月10日講談社発行)を読んだ。

 

講談社BOOK倶楽部の内容紹介(本書裏表紙)にはこうある。

加害者家族に、支援は必要か?
支援課の新たな挑戦が始まる――。

累計85万部突破の大人気シリーズ、新ヒロイン・柿谷晶による新章開幕!

被害者とその家族だけでなく、加害者家族も支援対象に。
新たな任務に取り組むべく、名を改め発足した「総合支援課」。
新生支援課に捜査一課から異動してきた柿谷晶には、秘密があった。
それは、彼女自身が加害者家族であるということ――。
警察小説の最前線、新ヒロインによるシーズン2開幕!
〈文庫書下ろし〉

 

調布の河川敷で乱闘があり、都立でベストスリーに入る進学校・多摩中央高校の3年生・日下健が刺殺され、血まみれで歩いていた同学年の高梨英人が確保された。所轄は東多摩署。

 

被害者や加害者の家族を支援する「総合支援課」に捜査一課から異動したばかりの柿谷晶が、少年事件課から来た秦香奈枝と共に現場に様子見に行かされた。

 

加害者の父親・コンビニオーナーの高梨拓実が脳梗塞で入院し、自宅兼コンビニに「人殺し」と落書きされ、ネットでも不穏な情報が書き込まれるようになった。英人と同じ高校で1歳下の弟・高梨陽平が一人になってしまったので晶などが駆け付けるが、陽平は何故か心を開かない。

進学校の生徒同士が乱闘などするのか、英人は犯人か? 陽平が親友・安田律にケガをおわせたリ、逆に襲われ入院するなど混迷は拡大する。

 

柿谷晶は、直情的で、上司を上司とも思わず、言葉もきつく、熱意のあまり、加害者支援という仕事の範囲が確定していない新しい分野の中で、捜査そのものに加わろうとして、刑事部門の反発を買う。

 

 

「警視庁・総合支援課」

柿谷晶:捜査一課から異動したばかり。空手有段者の兄・道郎は殴りかかってきた相手を倒し死亡させた。

三浦亮子:課長、若本:係長。45歳、村野:主力メンバーだったが熱心過ぎて消耗し、総務係に異動。

「東多摩署」

宮間:刑事課・課長、大河原:生活安全課・少年係長、長身女性の小野真佳

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)

 

柿谷晶という猪突猛進型、直情型でで、誰に対しても遠慮がなく、口が悪い女性警察官が爽快ではある。加害者支援という仕事の枠取りが決まっていない新しい分野での真っ直ぐに突っ走る姿に、それは無理だろうと思いながら、つい応援したくなる。

 

警察内部組織の軋轢は、警察小説のメインテーマだが、被害者・加害者家族支援という警察庁らしくない分野の仕事で、どこまでやるのか、捜査陣との関係はどうするのか、など確かに難しい問題だなと思った。

なお、実際の警視庁には「犯罪被害者ホットライン」という窓口はあるが、加害者を憎む警察に「加害者家族支援」の体制があるとは思えない。

また、警視庁の3年後の目標が女性12%という状態で、登場する警察官があの人もこの人も女性というのは現実離れしているのでは? 支援業務だから女性というのも、小説とはいえ、どうなの?

 

 

堂場瞬一の略歴と既読本リスト

 

コメント
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