hiyamizu's blog

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下山晴彦『面白いほどよくわかる 臨床心理学』を読む

2019年04月10日 | 読書2

 

下山晴彦監修『面白いほどよくわかる 臨床心理学』(2012年9月10日西東(せいとう)社発行)を読む

 

表紙にはこうある。

さまざまな心の問題について、心理学の観点から解決に導く、臨床心理学の扉をひらいてみましょう。すべてのテーマにわかりやすいイラスト・図・表付き。

 

臨床心理学を素人向けに、各項目が見開きで1ページにまとめ、左ページにイラストのイメージ図がある。

なんでも載っていて、ポイントのみの解説が書いてある辞書的本。

 

臨床心理学とは、心理学の一分野であり、人の異常心理や、生活していくうえで問題となる行動の原因を科学的に探究し、その成果をふまえて問題の改善を目指すための学問。

臨床心理学の専門家を臨床心理士Clinical psychologist という。

カウンセリングは教育学に属し、人に対する広い領域のサポートを目的とします。学問としての専門性よりも人間性が重視される。

 

初期の臨床心理学はさまざまな学派の心理療法の寄せ集めでした。心理療法の効果についての疑問に応えるために発展してきたのが、エビデンスベイスト・アプローチで、一つの専門的な学問としてまとまる方向に向かった。

 

自殺に対する一般的な誤解

自殺を考える人はごくわすか一般人の40~80%は自殺を考えたことがある

自殺は本人が力尽きた状態のときに行われる自殺は心身のエネルギーが回復しはじめたことに多い

「自殺する」といっている人は自殺しない自殺者の4分の3は生前に自殺の意思を周辺に話している

自殺する人は自殺の兆候といえるような行動はしない自殺を考えている人は、大切にしていたものを突然他者に贈るなど特異な行動をすることがよくある

自殺する人は死にたくて仕方ない人である自殺者の多くは死ぬか死なないか決めかねていたと推測されている

致命的と思われない方法で試み、未遂で終わった人は本気で自殺を考えていない本当に死にたいと思っていた人が、知識不足のために未遂で終わった可能性もある

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

INDEXも詳しいので、辞書、事典的に使用するのがお勧め。

 

専門として勉強する人以外の人が頭から最後まで読む本ではない。ということで、私は、約300頁のこの本のp121以下の各論は読み飛ばした。(それで評価などして、どうなのさ!)

 

 

下山/晴彦(しもやま・はるひこ)
1957年生まれ。東京大学大学院教育学研究科教授。博士(教育学)。臨床心理士。現在の日本の臨床心理学の教授及び研究者の中で最も精力的に研究、臨床、教育を行っている一人

 

いじめの構造

ギャング・グループ(小学生):同じ遊びを一緒にするのが仲間と考える。親から自立しようとすることで生じる不安を乗り越えるために仲間を必要とし始める時期に現れる。男子に特徴的。

チャム・グループ(中学生):共通の趣味、関心を通じてつながっている仲良しグループ。互いの共通点や類似点を言葉で確かめ合う。女子に特徴的。

ピア・グループ(高校生):互いの価値観や理想・将来の生き方について似ている点、違っている点を認め合い、自立した個人として互いを尊重し合う。

通常は、ギャング・グループやチャム・グループで短期間に順繰りに仲間からはずされていく(仲間はずし)を経験し、仲間はずしとはどういうものか、どんな気持ちになるかを体験的に学び、精神的に成長してピア・グループに至る。

しかし、現代は、ギャング・グループが消滅、チャム・グループが希薄化。「いじめ」の対象が集団を維持するための「スケープゴート」(いけにえ)になり、いじめることで互いの共通点を見出し、かろうじて集団を維持しようとする。。

 

ナラティブ(Narrative)・アプローチ

客観的事実よりも、クライエントの語る物語を重視するアプローチ法。作り事が混じっていたとしても、クライエント本人が納得できる物語がクライエントにとっての真実であると考える。エビデンス・アプローチでは社会的に抑圧された者や少数派に意見は見過ごされがちになることから補完的に用いられる。

「自分のせいで両親は不仲になった」などのドミナント・ストーリーを語らせ、支援し、「あのとき私は無力な子どもだった。私のせいではない」とのオルタナティブ・ストーリーに導く。

 

目次

はじめに
PART1 臨床心理学とは何か
 臨床心理学の基礎知識/臨床心理学の成り立ち/臨床心理学の活動/臨床心理学の基礎理念
PART2 アセスメント
 アセスメントの基礎/アセスメントの技法/データの分析技法
PART3 人の発達と心の問題 発達臨床心理学について
 発達臨床心理学の基礎/各発達段階の特徴/発達過程で生じる問題
PART4 精神障害と臨床心理学 異常心理学について
 異常心理学の基礎/精神障害の分類
PART5 問題への介入
 介入のための理論/個人への介入技法/集団・社会への介入技法
PART6 コミュニティへの介入
 教育領域でのコミュニティ活動/地域でのコミュニティ活動/医療領域でのコミュニティ活動
PART7 臨床心理学の研究活動
 臨床心理学研究の基礎/臨床心理学研究の技法
PART8 社会と臨床心理学
 社会と臨床心理学/臨床心理士の資格と仕事
INDEX
主な参考図書

 

 

 

 

 

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