hiyamizu's blog

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柚月裕子『最後の証人』を読む

2018年07月29日 | 読書2

 

柚月裕子著『最後の証人』(角川文庫ゆ14-2、2018年6月25日KADOKAWA発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

検事を辞して弁護士に転身した佐方貞人のもとに殺人事件の弁護依頼が舞い込む。ホテルの密室で男女の痴情のもつれが引き起こした刺殺事件。現場の状況証拠などから被告人は有罪が濃厚とされていた。それにもかかわらず、佐方は弁護を引き受けた。「面白くなりそう」だから。佐方は法廷で若手敏腕検事・真生と対峙しながら事件の裏に隠された真相を手繰り寄せていく。やがて7年前に起きたある交通事故との関連が明らかになり……。

 

プロローグ

女の手にはディナーナイフが握られている。…ナイフの切っ先は男に向けられている…「馬鹿な真似はやめろ」男が叫ぶ。…女はつぶやいた。「あの子の復讐よ」

 

佐方(さかた)は、金にならなくても面白い事件の依頼だけを受けるヤメ検の弁護士。数々の証拠から被告の有罪は間違いないだろうという事件の弁護を引き受ける。小坂千尋は弁護士を目指す事務所の熱心な事務員。

今回の事件の検察官の庄司真生(まお)は30代前半のやり手で、上司の筒井は佐方の元上司でもある。

 

高瀬光司は5年前に38歳でクリニックを開業。小学5年の卓は自転車に乗っているときに車に跳ねられて死んだ。一緒だった親友の直樹は車が赤信号を無視し、酒酔いだったと訴えたが、信用されなかった。

卓の交通事故の加害者は島津邦明、51歳、建設会社社長、県公安委員長。不起訴処分となる。

高瀬の妻の美津子は胸腺癌になっていた。

 

今回の事件の裁判長は寺本。

高瀬の隣に住む主婦・田端啓子は美津子が浮気していたと証言。

美津子と島津の経営する陶芸教室で一緒だった宮本良子は、美津子と島津が親密だったと証言。

 

途中、強姦した検事が左遷されたが、裁かれないことに抗議して佐方は筒井に辞表を出した過去が思い出される。

 

 

本書は2011年6月宝島文庫より刊行。

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

身だしなみにかまわず、こだわりの、執念の弁護士佐方像が魅力的だ。優れた事務所員なのだが、佐方には煩わしいほど真面目すぎる小坂や、いかにも経験が少ないが優秀な検察官の真生も佐方を盛り上げる。

 

子供の仇を討つために、どうするか考え抜いた計画で、その点は面白いのだが、前半、被告人とだけで誰なのか明示されないので、私には大筋がわかってしまったので、減点。

 

 

柚月裕子 経歴&既読本リスト

 

気になった言葉

佐方は言った。「誰でも過ちは犯す。しかし、一度ならば過ちだが、二度は違う。二度目に犯した過ちはその人間の生き方だ。」

コメント
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