東野圭吾著『放課後』(講談社文庫 ひ17-1、1988年7月15日講談社発行)を読んだ。
裏表紙にはこうある。
校内の更衣室で生徒指導の教師が青酸中毒で死んでいた。先生を2人だけの旅行に誘う問題児、頭脳明晰の美少女・剣道部の主将、先生をナンパするアーチェリー部の主将――犯人候補は続々登場する。そして、運動会の仮装行列で第2の殺人が……。乱歩賞受賞の青春推理。
東野圭吾の作家デビュー作。
女子高での殺人ミステリー。
私立進学校「清花女子高等学校」の数学教師の前島は、3度にわたり何者かに命を狙われた。学校のイメージダウンを恐れる校長に口止めされ警察には届けてはいなかった。
しかし、前島ではなく、厳しい生徒指導の村橋が密室で亡くなる。警察は自殺、他殺両面で捜査を進める。女教師の麻生や、最近非行が目立つ女生徒の高原陽子に容疑が深まる。
そして、体育祭で、前島と間違われてと思われる教師の竹井が殺された。
1985年単行本刊行
私の評価としては、★★★(三つ星:お勧め)(最大は五つ星)
女子高生の心理にはもっとも遠い所にいるおじいさんからすると、動機が納得できない。
密室の謎解きも、玩具っぽくてぱっとしない。一度目の解決案を別の案に置き換えるのも、しっくりこない。
ようするにミステリー性はいまいち。
アーチェリーや女子高生のことは良く書けていて、まあまあ面白く読めた。東野さんは大学4年間アーチェリー部に所属し3年ではキャプテンだったようだ。また、東野さんの奥さんだった人は女子高で教えていたと、どこかに書いてあった(真偽不明)。
それにしても、女子高って、先生と生徒の関係が濃いね。好意も反感も。男子生徒の場合は、先生なんてどうでも良いと思っているのが多いと思うけど。
でも、サラリーマンやりながらこれ位のもの書けるのは才能があったからだろう。仕事ぶりはどうだったのかな??
いつものように、先生も生徒も登場人物が多すぎる。多少のことがあっても同じ人を複数のことに当たらせるなり、一度きりの登場人物には名前をつけないなど工夫をして欲しい。人物の多さで謎を深めることはやめて欲しい。年寄りにはキツイぜ!
以下、メモ
登場人物
前島:私立清華女子高等学校の数学教師。「マシン」と呼ばれる。アーチェリー部顧問。
前島裕美子:妻
栗原:校長、理事長
村橋:生徒指導部長、数学教師、院卒
松崎:教頭
竹井:陸上部顧問、現役のやり投げ選手、あだ名はギリシャ
麻生恭子:英語教師。校長の息子との縁談話がある。26歳
藤本:テニス部顧問、若い教師
堀教諭:中年の国語教師、バレーボール部顧問
長谷:高原陽子の担任
その他、教師(前島、時田(歴史)、小田(体育)、森山(北条雅美の担任)
板東:バンさん、用務員
志賀:医務室の養護教諭
高原陽子:成績抜群だったが、最近服装や日頃の態度で問題児に。3年生。父親はK製菓の重役。
加奈江:洋弓部サブ・リーダー
杉田恵子:ケイ、洋弓部キャプテン、全国大会レベル
宮坂恵美:1年生、洋弓部員、成績優秀
北条雅美:3年生、剣道部主将。入学以来の首席。高原陽子と中学から親友。
山本由香:1年生
大谷:刑事
白石:若い刑事
川村洋一:高原陽子の友人、バイク乗り。
貴和:校長の息子、一流国立大を出て、地元企業で働く
芹沢:裕美子が働くマーケットの店長