嬉しくても悲しくても感動しても頭にきても泣けてくるという喜怒哀楽に満ちた日常(第1章 日々のこと)と、愛する音楽(第2章 音楽のこと)についてと、本への尽きない思い(第3章 本のこと)の6年分のエッセイをまとめた一冊。
「ダ・ヴィンチ」「L25」(第1章)「朝日新聞夕刊(大阪本社版)」(第2章)「芸術新潮」(第3章)「毎日新聞夕刊」(第4章)に連載。
タイトルについて、(あとがきより)
『まにまに』というタイトルが、私はだいすきだ。
「間に間に」と書けば、合間に、適当に、というようなニュアンスがあるし、「随に」は、なりゆきにまかせるさま、という意味があって、「随」は「随筆」の「随」でもある。「マニマニ」って、なんだかかわいらしいおまじないのようでもあるし、「まにまに」と声に出すと、「に」のところで自然と口角があがっている。
大げさではなく、かみさまにもらったタイトルだ、と思う。
文中のイラストや、装丁画も西さんの作。
「恋する般若」
恋とは言わないまでも、なんとなくいい雰囲気の男の子と最初のデートをするときは、・・・必要以上に見栄えを気にしてしまう。・・・
例えば夜7時頃の新宿ルミネや駅のトイレに行くと、必死で化粧を直している女の子たちを見る。あらデート前? 可愛いわねふふ、と思える子は稀、あとの子はほとんど「鬼」の形相なのだ。
・・・だって彼にさえ可愛く見られたらいいのだ! それではいけないと思っていても、必死なときは自分が見えない。可愛くなくても、みんな格好いい、戦っているのだ。
「色気入札中」
おしゃべりで、がっついていて、決して諦めない自分はきっと、色気から最も遠いのだろう。でも生きる。
「好みのタイプ」の正解
合コンで好みのタイプを聞かれたとき、「ガッキー(新垣結衣さん)ですっ!」とキラキラした目で答えられたら、大概は「ガッキー言われたら・・・おわりやん」と思うはずだ。西さんの答えは「その場にいる女性陣より年上の人(女優など)を言うべきだ」という。それならたしかにどの女性も、いつかはそうなる可能性があるかもと、納得しそうだ。
4畳一間の友人の家に行き、「お昼何食べたい?」と問われ、「フォアグラ」と言うか?・・・オムライス、やきそば、卵かけごはん、いくらでもあるだろう。
安くて美味しい私たちを、どうか忘れないでほしい。
私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)
半分以上を占める「第一章 日々のこと」がおもろい。大阪人らしくすべてを笑かしてくれる。西さんの人柄が浮かび上がってくる。
「第二章 音楽」は私にはつまらなかった。ニュー・ジャック・スウィング? ICE-T? 出てくる名前、すべて知らん! Haruo Okaはどうして出てこんのか! この章はすべて読み飛ばしました。ごめんなさい。
「第三章 本のこと」で紹介している12人の中で、私が読んだことあるのは、
「津村記久子」「ジュノ・ディアス」「長嶋有」「山崎ナオコーラ」の4人だけで、
「村田沙耶香」「いとうせいこう」「ジョン・アーヴィング」の3人は知っているが、
「チマンダ・ンゴスィ・アディーチェ」「ロイド・ショーンズ」「ローラン・ビネ」「小林エイカ」「トニ・モリスン」の5人は初耳だ。
やはり、私は時代に置いて行かれているようだ。