生駒「濃姫様…あの…、私の事でしたら…」
おろおろと、
殿の妹君というだけの肩書に怖気付いて、
子供一人を御諫め出来ぬとは嘆かわしい。
帰蝶「別に、そなたのためではない」
我が義妹の、その将来ため、
いずれ嫁がれる御時のため、
「私は、女子供だとて遠慮はせぬ」
一国一城の主を夫に持つ定めと心得、
その妻たる覚悟を理解して頂かねば、
“傾国傾城”
土田御前様のように絶世の美人にご成長されるは、国家危うき。
その美しき容姿に絆され、夫は政を疎かにし、財政傾けかねん。
妻は、奥へ奥へと入り、その奥を取り知りきり守らねばならん。
それに、嫁ぎ先で何が起こるかこの分からぬ乱世。
その宿命と運命、それを背負った者たちの苦悩と哀しみ、
他人と己の思い等しく量れぬ様では嫁ぎ先で疎外される。
生駒がどんな思いで実家に戻ったか、
また二人の子を手放した、その思い。
辛辣な言葉で傷心をさらに抉るとは、言語道断。
悪いは、その傷心を受け入れぬ心の冷たさ狭さ。
人様の心量れぬ姫君に裁量、器用無し。
これでは、殿の御心惹くなど以ての外。
「殿方らは、そなたのような娘、兎角お嫌…」
市姫「みんな…嫌いッ。わらわを嫌っとるッ」
癇癪を起し、
バンッ
大きな音を立てて襖を開けて、
生駒「市の姫様ッ」あぁあ、出て行ってしもうた。
帰蝶「襖は無実…」襖に当たっても仕方あるまい。
おろおろと、
殿の妹君というだけの肩書に怖気付いて、
子供一人を御諫め出来ぬとは嘆かわしい。
帰蝶「別に、そなたのためではない」
我が義妹の、その将来ため、
いずれ嫁がれる御時のため、
「私は、女子供だとて遠慮はせぬ」
一国一城の主を夫に持つ定めと心得、
その妻たる覚悟を理解して頂かねば、
“傾国傾城”
土田御前様のように絶世の美人にご成長されるは、国家危うき。
その美しき容姿に絆され、夫は政を疎かにし、財政傾けかねん。
妻は、奥へ奥へと入り、その奥を取り知りきり守らねばならん。
それに、嫁ぎ先で何が起こるかこの分からぬ乱世。
その宿命と運命、それを背負った者たちの苦悩と哀しみ、
他人と己の思い等しく量れぬ様では嫁ぎ先で疎外される。
生駒がどんな思いで実家に戻ったか、
また二人の子を手放した、その思い。
辛辣な言葉で傷心をさらに抉るとは、言語道断。
悪いは、その傷心を受け入れぬ心の冷たさ狭さ。
人様の心量れぬ姫君に裁量、器用無し。
これでは、殿の御心惹くなど以ての外。
「殿方らは、そなたのような娘、兎角お嫌…」
市姫「みんな…嫌いッ。わらわを嫌っとるッ」
癇癪を起し、
バンッ
大きな音を立てて襖を開けて、
生駒「市の姫様ッ」あぁあ、出て行ってしもうた。
帰蝶「襖は無実…」襖に当たっても仕方あるまい。