ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~生駒の子~

2013-11-05 | 散華の如く~天下出世の蝶~
暗い本堂で、シック、ヒック、
帰蝶「だ、誰かいるのか?」
暗い本堂の中央御本尊様の後ろから、
子供の泣き声が聞こえる。もしや…、
「筅丸か?」
茶筅丸「う、う…えぇ、ええ、ん…」
帰蝶「また、兄と喧嘩でもしたか?」
兄の帰命丸とは、仲が悪く、
私もこの子とは距離を置く。
話し掛けたりしないから、
言い分も話してくれない。
仕方ないから、私は、
帰蝶「あぁ~あ」
大げさに溜息を突いて、
ゴロン、と寝そべった。
「殿との戦に負けてしもうた」
茶筅丸「…父、上、戦っ…た、の?」
帰蝶「負けじゃ、負け、負け戦じゃ」
戦支度をする女たちが、あまりに哀れで、
神仏にすがる女たちが、あまりに惨めで、
貧しい女たちの暮らしや思いが少しでも、
上に、殿方らに、伝わればとそう思った。
しかし、ただの思い付き、浅はかな暴動は、
母性という私の弱点を突かれて鎮圧された。
女は…、私は…、兎角、戦に不向きである。
「筅丸。お腹、空いておらぬか?」
茶筅丸「ん、…ん」
空いていない、はずがないのに、
はっきりモノを申さぬ子である。
帰蝶「そなたら男の勝ち。まんま、食べに行け」


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