ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

マリアのために…

2013-09-13 | Italy-聖地巡礼の旅-
いつもは静かな、古都シェーナに、
2013年8月16日、
どやどや、人が集まってきた。
駐車場は地元民でいっぱいだ。
今日ここで大変有名な伝統行事が開催されるらしく、
添乗員さん「私も初めてなんですよ」
ベテランの添乗員さんでも滅多にお目に掛かれないという、
その伝統的な御祭りは、
『Palio(パリオ)』

と、紹介してもさっぱりだ。
つまり、競馬という神事だ。
歴史は古く、今から360年ほど前、
日本ではちょうど江戸時代である。
競馬は年二回行われる。
私たちはその二回目に、
かっちんぼっこ(訳・ぶつかった。夫だけの方言??)した。

なぜ二回なのか?
二回とも“マリア”が関与している。
シェーナに聖母マリアが訪れた日と、
マリア被昇天祭に合わせてだという。
つまり、マリアのための競馬なのだ?

町の中心にある扇型のカンポ広場(Piazza del Campo)に、

ドーン、と土を入れ、
選ばれし御馬たちが、
走る、走るの激走だ。

余談だか、
Piazza(ピアッツァ)というのは広場という意味であり、
aが抜けると、チーズが絶妙Pizza(ピッツァ)となる。

逸れた話を馬に話を戻すが、人馬一体のこの競技…
騎手と馬を繋ぐ手綱という絆は一応あるのだが、
見よ、鞍が無い。
よって、ずるり、
絆なんて形だけ。
騎手が落馬しても馬さえ走れば、それで良し。
通常競馬のように騎手落馬で、はい失格、とはならないのだ。
とにかく、
馬だけでも目指せGOALで、
万事結果が全てを物語る。
結果良ければ、All OKの御祭りを見るため、
4時以降、
店主「やってられっかよ」と、
店のシャッターを閉めるらしい。
人々は15世紀の衣装をまとい、
17地区それぞれの旗を掲げる。
17種類の旗、それぞれの象徴は、
鷲、イモ虫、カタツムリ、フクロウ、竜、キリン、ヤマアラシ、一角獣、雌オオカミ、貝殻、ガチョウ、波、ヒョウ、森、亀、塔、山羊…である。
それぞれの生き物獣の旗を掲げ、
己の名誉と誇りと、馬を賭ける。

添乗員さん「滅多に見れるものじゃないので…」
丁度、ガチョウ地区の出陣式に差し掛かった。
中に忍び込み、
撮影を試みた。
「パシャ」
撮影を邪魔する夫を蹴散らし、
「ん?」
遠くから、ドンドンドン…太鼓の音が聞こえる。

鼓笛隊が入り、ファンファーレと、観衆の歓声。
そして突如、歓声は止んだ。
しー…ん、
人々はガチョウの神に祈る。
チリーン、鐘の音が響いた。
司祭様が神に祈り捧げているのである。
武運、地区優勝と、人馬の安全祈願だ。
この御祭りは、
シェーナのアニマそのものだという。
アニマ(Anima)とはラテン語で[精神]。

「ガチョウの神よ、
いつまでも祀りの精神が続きますように」
祀りの精神も知らぬ私だが、ものの次いでだ。
私も祈った。
「落馬して怪我しませんように…」

で、結果は、
イモ虫が勝利を収めたそうだ。
ちなみに、ガチョウかは分からないが、やはり落馬があって、
救急車に運ばれたそうだ。…神事も、命がけである。


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