ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

あやめ団子不振症

2012-05-19 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
お干菓子が揺れて傷付かない様に、それでも急ぎ足で、
あれ、照と、
あのお客様、どういう経緯で、一緒にお店に来ることになったの?
あのお客様…どこへ行けば…いいのかしら?
ピタ…と道の真ん中で、足が止まってしまった。そこへ、
「ちょっと、アンタさ…」と呼び止められて、
あやめ「わ、」怖い「私に何か御用ですか?」突然、男性に話し掛けられて「急ぎますので…」
お菓子を抱えて…「失礼致します」その人と目を合わせないように、と。
斎藤「…覚えてねぇの?」
あやめ「え?」
斎藤「さっき、菓子買っただろ。領収書貰おうともって。後、お干菓子追加してぇんだけど」
あやめ「あ、さっきの…」こんな方だったかしら…憶えてない。
「あの、お干菓子、うっかりしておりました。申し訳ございません。領収書とお干菓子、お持ち致しました。…御代は、いりません。それから…お名前…」
斎藤「言ったよな」
あやめ「もう一度、伺ってもよろしいでしょうか?」名前の入ってない領収書を取り出した。
斎藤「どうでもいい客だから、抜けちゃった?」
あやめ「いえ、そんな…」
斎藤「優しくてイケメンならしっかりインプットってか」
あやめ「優し…い…?」
斎藤「俺みたいな客、一切合切眼中にネェって感じで…」
あやめ「違いますッ」
斎藤「領収書の名前は、上、でいい。お干菓子の代金は払う。いくらだ」
あやめ「頂けません」
斎藤「そんじゃ、そのマズい菓子もいらねぇ。違う店を探す」
あやめ「そんな…」
斎藤「無愛想なツラで、菓子マズくしやがって」
あやめ「マズい…?」
“笑顔が御馳走だって”
斎藤「あぁ。アンタの、そのツラで、あやめ団子不振症だ」