ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

ふよぉん、ふよぉんって、な

2012-05-01 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
あやめ「お待たせ致しました」
折り菓子がご丁寧なもって、立派な包装紙に包まれて、後生大事に抱えられやって来た。
斎藤「すぐ破かれんのに、勿体ねぇな」こういう冗談に、
あやめ「…」露骨なまでに嫌な顔して、拒絶した。
いるんだよな、冗談を真に受けて、笑って返せねぇ女って。
のっぺりした、動きのネェ能面で、お宅キレイだね…で、
敢え無く終了する、見た目だけ美人タイプ。
マニュアル通り、事務的に客を処理して、
スマイル下さい、なんて冗談言うと、
はぁ??と不快感を露わに、汚ぇ息を平気で吐き出すタイプの女だ。
昨今流行のカラクリ人形(ロボット)の方が表情豊かで可愛げがある。
ふよぉん、ふよぉんって、な。
斎藤「それ、どうしたんだ?」わざと、掌の火傷の跡に菓子の代金を乗せて、聞いてみた。
あやめ「あ…」俺の火傷痕を見て、硬直した。傷に触れないように、そっと代金を受け取り、
そそっと折り菓子を渡して、サッと袖で腕の火傷を隠した。
何か事が生じると、それを隠そうとする。人間の悪い癖だ。
照さんは、笑顔で隠蔽工作を図り、ネェさんの方は、能面のような顔で感情を抑える。
その心は、
火傷の原因を、知られたくないか、それとも、
俺みたいなヤツが、大が付くほど嫌いか、だな。
「これ、やるよ」
あやめ「え?」渡された薬を見て、豆鉄砲喰らったような顔しちゃって、意外って、感じ?
珠「あ、さっきのお薬ッ」
斎藤「火傷にも効くんだ」
珠「これ、すごいの。私の、かゆいかゆい、治してくれたのぉ」
子供ってのは、ストレートだ。大人を、顔(人相)で量らない。
起こった事象で、善悪を直観的に悟る。
大人ってのは、ブレイクボール。
起こった事象で、善悪の基準が鈍り、判断が出来なくなる。
あやめ「あの…お返し致します。お客様から金品を受け取っては…」薬を返そうと、