ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

寸鉄 人を刺す

2012-05-14 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
義経「どこへ行く?」
斎藤「山長の菓子屋。領収書貰ってくるの忘れちまった。ついでに、軽い菓子、買ってくる」
義経「経費で落ちないぞ」
斎藤「こっそり、裏から回すさ」
義経「なら、水増ししとけ」
斎藤「虚偽申告がバレたら、おっかなねぇだろうな。あの人」手を振って、茶店に向かった。
照「わ、私も参ります。斎藤様ッ」を追い駆けようとして「あ…」止められた。
義経「照さんには、別の仕事を頼みたい」
照「し、しかし…」
義経「珠ちゃん。向こうに義隆がいる。先に行っててもらえるかな?」
珠「でもぉ…」チラッとお母さんを見て、
義経「お母さん、後からすぐ行くよ」
珠「う…ん」ちらっと、母親の顔色を窺って「すぐ、ね」と駆けて行った。
照「えぇ」一度目を閉じ、頭を小さく揺らした。目を開けた時には、娘が小さくなっていた。
義経「えらく斎藤を買っているようだが、何か、言われたのか?」
照「いえ。ただ…、私の代わりに、器を片して下さいました」
“心乱れってから、器が代わりに割れちまった”
義経「器…?」
照「心の器です。ずっと、ずっと…壊したかったのです」
池田「なるほど、ビンゴ、されたというわけですね」
照「ビンゴ…痛かったですわ。でも、斎藤様は痛みを分かって下さる方だと思ったのです
池田「…」
照「割れた心に、お薬を塗って頂いたような、そんな気持ちになれました。だから、」
池田「お姉さんを、引き合わせた」
照「はい」
池田「土岐さんから、お姉さんの事伺いました。末摘花さんのご友人だったと、」
照「…大変仲の良いご友人でした。ただ、事件のショックで、姉は男性を信用出来なくなりました。恐怖すら感じているようです」
池田「男性恐怖症…?しかし、お姉さんが、被害を受けた訳では…」
照「被害者とは、ご本人様だけの問題ではありません」