ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

八岐大蛇伝説~国造りと国譲り~

2012-02-20 | 八岐大蛇伝説 ~治世の象徴 天叢雲剣~

五つになったばかりのおてんば娘 須佐之娘(すせり)「ふぅ…ん」と白い雲を眺めていた。
真っ直ぐ、大きな瞳の奥で見た事のない異国の地 高天原を空想しているのだろう、
こんな事言い出した。小さいお手手をうんと大きく広げて、
白い雲の上に、うぅ~んと大きな白いお城があって、異国の人たちがいっぱいで、
須佐之男「…で?」
すせり「そこで、結婚するッ」なぬ?高天原に嫁ぐ!?そんな事してみろッ!
須佐之男「ダメだッ」俺が娘と会えなくなるッ!
すせり「えぇーっ!?じゃッ、ここで結婚するぅ~…」
須佐之男「それなら良しッ」婿なら、まぁ…許す…と思っていたが、娘が年頃になり、
すせり「私、結婚致します」と連れて来たヤツを見て、
須佐之男「ダメだッ」絶対ッ「認めんッ」
すせり「えぇ!どうしてですかッ!?」
須佐之男「ダメなモンはダメだッ」どうしてもこうしてもあるか。もっと、こう優しそうな、
すせり「もぉッ、父上様なんて大嫌いッ」ぷんッと顔を横に向け、話をしてくれなくなった。
娘の機嫌最ッ悪ッ。メシが不味くなるほど険悪なムード…で仕方なく、結婚に条件を出した。
須佐之男「見事、試練にクリア出来たら、結婚を許す」試練は、並大抵の智慧ではクリア出来るものでは…「な!?い!!」その男、見事すせりの智慧を借り、全ての試練をクリアした。ちッ、約束は約束だ。娘との結婚を許した。婚儀は完成した神殿で行い、その後、
須佐之男「俺はそろそろ隠居だ。見えぬ国を統治する。お前はこの国を統治しろ。で…これ、」
国家権力、治世の象徴“天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)”を戴冠した。

娘婿「はッ、しかと承りました」剣を受け取り、
須佐之男「抜いてみろ」
娘婿「ハッ!?」鞘から抜いた剣の型を見て、驚いた様子だった。それは、
須佐之男「諸刃の剣だ。いいか、剣力は悪しきに傾けは禍を、善に向かえば徳となって返る」
国の権力を間違った方向に使えば、自国に禍が降り掛かり、国を滅ぼす。戒めの剣だった。
娘婿「良き国を造りたいと存じます」諸刃の剣を神妙な顔で眺めていた。こやつが、出雲の新しき神 大国主命(おおくにぬしのみこと)。今後、こやつが中心となり、新しい国造りが始まる。しかし、苦心したようで、異国より援者を呼んだ。海を渡って来た異国の男は、小さき体に多くの智慧を持っていた。その事から、この異人を皆は、こう呼ぶようになった。少彦名(すくなひこな)命と。彼の助言を受け、出雲は長く繁栄した。
八岐大蛇伝説 - 完 -