ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

八岐大蛇伝説~異国の剣~

2012-02-16 | 八岐大蛇伝説 ~治世の象徴 天叢雲剣~
青年「…とッ」
老夫婦「わ…わしらが、行こう」青年の腕を掴んで止めた。
「…イヤなんじゃ、もう耐えられん。この老いぼれが逝く…わしらに逝かせてくれッ」
青年「おいおい、俺は死に行くんじゃない。ここで、無事を祈っててくれ」
老夫婦「う…うぅ、孫を、この手に抱けるよう祈っとる…どうか、どうか、無事で…」
青年「わかった。すぐに、孫…抱かせてやるよ」
俺は一人、大蛇の許へと走った。
酔い潰れて眠った一匹目の大蛇の腹を蹴り、ゴボッ、口から酒と共に一人目の娘が流れ出た。
二匹目、三匹目、四匹目…七匹目から娘たちを救い出した。
青年「皆、無事だな。先に村に戻ってろ」この場から逃げるよう促した。さて、最後の…
八匹目の大蛇「何をするかッ!」酔いから醒め、反撃して出た。
生贄の巫女「あ…危ないッ!」とっさに、持っていた櫛を大蛇様目掛けて、櫛を投げた。
大蛇「小娘がぁッ」目に当たって、片目だけでこちらを睨み、襲って来た。
巫女「わ、私…」死…
“こ…怖い。助けて…助けて、神様…”
飲み込まれるッと思って、目を瞑った。その瞬間、
ザッ、
青年は剣を抜き、ザザァーと大蛇の腹から尾にかけて掻っ捌いた。
ガッキ…ッ、
青年「け、剣が!?」俺の、鉄製の十拳剣(とつかのけん)が折れた「やばッ」と思ったら、
大蛇はドド…ッと地鳴りと共に、
ドシ…ン、地に崩れ落ちた。
大蛇の腹から、ドクドクと禍々しい濁流のうねりのような血が流れた。横たわる大蛇の傍らに娘が投げた櫛があった。サッと、命を救ってくれたそれを拾い…「ん、なんだ?」
キラ…と光る物が大蛇の体から見えた。抜き取ってみると、剣だった。血に染まった剣を、フンッと一振りすると血が吹き飛び、しゅる…と白く、美しい光沢の剣が姿を現した。
「異国の剣…か」
“諸刃型の剣”で、錆び一つ付いてない、螺鈿装飾を施した剣に目を奪われた。
十拳剣を折ったのは、この剣か。
鉄よりも強靭な金属とは、一体…?しかも、