ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

俺に、繋がりは…無い

2011-07-13 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
弁慶「分からなくないだろ?お前も、弟だ」
匠「俺は…」下を向いて「別に、兄貴なんか…」
弁慶「強さは腕や技じゃない、相手を量れるかだ。今のお前じゃ、無理か…」
匠「何ッ!」弁慶の胸倉掴んで、食って掛かったら、ゴトッ、石臼の音が止まった。
海尊「おっしゃぁ~!」大声で叫び「終わりッ」ニュッ親指をGoodッと突き出した。
匠「ちッ」海尊にタイミングを外され、す…と弁慶から手を放した。
ガッチャン「次、これなッ」ドン!と海尊の目の前に置いたのは、
海尊「葉っぱ?」
志津「茶の葉※よ。武芸の振る舞い、茶の湯の嗜みが悟りの花を咲かせる」※抹茶の葉
弁慶「茶の嗜み…人は生きながら瞑想し、悟り開く(気付く)…死んで開いた悟りなんて意味がねぇ」だろ?と匠の肩に、ポンと手を置いたら、
パシッと撥ね付け、匠「まるで、クソ坊主の説教だッ」と毒付いて、弁慶を睨んだ。
弁慶「クッ」と笑って「ご名答、説教好きな坊主の血が騒ぐんだ」
ゴロゴロゴロゴロ…
匠「坊主の血?」茶の葉を挽く音がうるさいなと、海尊を睨んだら、
ゴロゴロ…石臼から緑の粉が零れ、海尊「熊野の坊主の息子…」呟きが零れた。
弁慶「熊野の湛増…名は聞いた事あンだろ」
匠「たいぞう?熊野水軍の総帥…」キッと睨んで「平家を裏切った…」
弁慶「別に、裏切ったわけじゃねぇ。確かに、平家には恩義があった。だが、俺たちは俺たちの血を守った、それだけだ」
湛増氏は最初平家方に付いていました。壇ノ浦の合戦前、鶏を紅白に分け戦わせ、どちらが勝つかで源平紅白どちらに付くか、その出陣を決めました。白が勝った事で義経に味方した、という闘鶏神社・和歌山 田辺の伝承です。
匠「え…」
ゴロゴロ…ゴトッと茶の葉が挽き終わり、雨上がり静寂の中で、弁慶の太い声が「俺は義経と義仲、頼朝の、従兄弟だ…」重たく響いた。そこへ「ただいまっ」と帰ってきた義経…と手を繋いだ義仲の忘れ形見、義隆がいた。
匠「お帰り…」粟津の合戦は、従兄弟同士の戦いだった…?
弁慶「血は争うモンじゃねぇ、守るモンだ」
匠「俺に、その繋がりは…」5年前、養子先で赤ん坊が生まれた。俺の意味が…「無いッ」