ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

心配すんなって

2011-07-05 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
地面を見つめて、探した。都合のいい言葉がどこかに落ちていないか、と…。
でも、そんな言葉と上手い言い訳と取り繕うウソが見つからず…。
池田「それが、逃げてるって、言うんです」叱られた。
能子「私…」兄に頼んで、源氏方の捕虜にしてもらった。
もし…、宮中に戻れば、政略結婚…子が産まれれば、
考えるだけで「怖い…」
私は、母のように一人で子供を守って生きていく自信が、ない。
どうしよう、どうしたらいい…?と、池田さんに答えを求めるように見つめた。すると、
バッ、ベリッ、バリべリ…ガリッ
能子「へ?」不可解な音がした。そぉっと恐る恐る、その音の方を見たら、
ムシャムシャ、ムシャムシャ…ガツガツガツガツッ、ゲップゥ。
池田「お説教は、その辺にしろっていう事ですか…」と、頂いたお裾分けをきれいに平らげた名馬を見て、呆れた「お行儀悪いですね」
能子「プッ」と吹き出し、あははっと腹の底と心の底から大声出して、笑えた。
ブルブル…ブシュ…ゥ、太ちゃんは首を振った。
その仕草の中に”心配すんなって”と言った、源氏の兄の、優しい面影を見た。
太ちゃんにしがみ付き「ありがと…」まだ、言っていなかったな…、兄にもお礼を言った。
池田「ふぅ…」参ったな、と肩をすくめた。その拍子に「ッ」と胸が痛んだ。
能子「あ…」胸をさすっている池田さんが一瞬見えて、沈みかける夕陽を見た「…宿、さがそ…か」そう、池田さんに言って、太ちゃんから離れた。
そして、自分のように取り残されたお神酒を救い上げるように持ち上げた。
すると「ん?」あるモノに、気付いた。
池田「どうしました?」
能子「招待状…」が、お神酒に貼ってあった。ペリッと引っぺがし、クルッとひっくり返し「地図…だわ」ほら、と池田さんに渡して「ここに、泊まれって事よ」と手放しで喜んだが、
鹿嶋様の手荒なお仕置きに、池田「それこそ飛んで火にいる夏の虫です」サッと痛む胸を着物で隠し、彼女をたしなめた。
能子「でも、蚊に刺されるよりマシよ。ほら、行くわよ」
池田「…はい」狐につままれても知りませんよ。
招待されているのか、神の罠にはまるのか…その温泉旅館に向かった。