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ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

まるでどこかの吉祥天

2012-06-17 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
珠「あやめおばちゃんッ」
あやめ「珠ちゃんまで誘拐を?…斎藤さん…あなた、誘拐魔の一味!?」ビンゴでしょ?
斎藤「アホか…」
池田「あやめさん…?照さんのお姉さん?」男性恐怖症の…
斎藤「…あぁ」
継「道理で容姿端麗。それに、血筋も申し分ない。適任だな」
あやめ「適任?斎藤さん…一体何のお話ですか?血筋って?」
斎藤「さぁ…」肩をすくめて「佐藤伊達両氏とあんま関わりネェからな。とにかく帰れよ」
継「斎藤と知り合い?なら、好都合だ」
斎藤「そっちの都合だけで話を進めるな。彼女にはちゃんとした仕事があって戻ら…」
あやめ「辞めて来ました」
斎藤「な?にぃ!?あれは、寿が決まってから出せってッ!」
あやめ「また間違えちゃいましたね」にぃ~ぃと笑って、
斎藤「笑ってる場合かッ。今なら間に合う戻って…」
池田「まぁまぁ」二人の間に割って入って「つまりは今、無職…なんですね?」
あやめ「はい」
池田「子供は好きですか?」
あやめ「えぇ…」
池田「男と遊ぶ事に抵抗はあるが、子供と戯れる事に抵抗はない?」
あやめ「あの…質問の意図がよく分かりませんが…」
池田「率直言います。子供と遊んで下さい。ほら、義隆…ご挨拶しろ」ツンと頭を小突いて、
義隆「…。源 木曾 義隆…です。よろしくお願いします」深々と頭を下げた。
池田「という訳で、お願いしますよ。人手が足りなくて…」俺も、ぺこっと頭を下げた。
斎藤「てめッ、池田。ガキをダシにして遊びを強要すんなッ」誘導尋問じゃねぇかッ。
あやめ「まぁ、お困りなのですね。私で宜しければ…」丁寧に頭を下げたら、
斎藤「丁寧に断れよ」
あやめ「折角の内定話、無碍に出来ませんわ」顔を上げて、笑った。その笑顔が、
斎藤「…」お福さん…みてぇで、
義経「まるでどこかの吉祥天だ。その笑顔なら、顔パスだ。子供たちの事、頼んだよ」
あやめ「はい」

乳母募集

2012-06-16 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
向こうの数寄屋 待侘庵から、大きく手を振って
与一「準備OKで~す!」大きな輪っかを作って、OKの合図を出した。
義経「なら、斎藤。お前はここで…」
池田「珠ちゃんと義隆を、」ポンと肩を叩いて「頼んだぞ」
斎藤「あ?」
義隆「え?」
義経「子守だ」
斎藤「ちょ、ちょっと待て、なんで俺がッ」
義経「珠ちゃん、おじさん、好きだよな?」
珠「うんッ」
斎藤「…」
義経「義隆、珠ちゃんを斎藤と二人っきりにしていいのか?」
義隆「…」
義経「はい決定ッ」
斎藤「子守なんて出来るかッ。教育係はお前だろ」池田を指差して、
池田「なら…」斎藤に睨みを利かせて「代わりに茶を点ててもらおうか?」
斎藤「無理ッ」
義経「そう心配すんなって、お前一人には任せられないから…」向こうからやってくる、
継たちを見つけて「ほれ、あそこ…って、アイツら…」
斎藤「あん?」
池田「継さんたち、乳母(保育係)をどこかで探してくるって…」
きゃやぁ~ッ!
佐藤 継信「大丈夫だって。俺たち、怪しいもんじゃないって」
女性を小脇に抱えて、
助けてぇ~誰かぁ!!
佐藤 忠信「悪い事するような顔を見える?」彼女の両足を小脇に抱えて、えっほ、えっほ。
見えるぅ~!!
斎藤「おい、どっかで乳母かっさらって来たぞ。犯罪だろ?」
佐藤「乳母募集の張り紙を張ろうとしたらさッ」と女性を下ろして、顔を見たら、
斎藤「ア…アンタッ」

足長おじさん

2012-06-15 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
“きれいな御べべに、つげ櫛、紅さして…”
そう。きれいな着物を…なら、この足長おじさんに任せなさい。
“足長おじさん?”
君たちの夢を叶える、おじさん(パトロン)だよ。
土岐「…」
松殿「どうかな?」四姉妹の年齢の書いてある折り紙を渡して、
土岐「どう…と言われましても…」折り紙の数字の、とりわけ、
“十”
長女の年齢に目がいった。宮中に上がって申し分ない。しかし、
松殿「宮中に上がるといっても二度と会えない訳ではない。何かのついでに、会えば良い」
土岐「ついで…?」
松殿「もちろん、文のやり取りでも構わん」
土岐「それは…」
スパイ?人質?
松殿「いや参った…。壇ノ浦で皇女、女中らこぞって入水して…」
土岐「…」
松殿「老いぼれ唯一の楽しみを奪いおって、義経め」
土岐「心中…お察し致します」
長女の容姿、知性と教養があれば、
大臣に見初められ、行く行くは…、
松殿「どうかな?宮中立て直しに一役買ってくれれば、いずれ…」
土岐「局(つぼね)…」
松殿「もう答えを聞くまでもないか」
土岐「…」
松殿「こちらで、万事手筈を整えよう」
土岐「はい、…ありがとうございます」
松殿「君のお蔭で、茶会が楽しみになったよ」
土岐「はい」
朝廷と武家のパイプラインであるという事を十分承知の上、
私は、長女を宮中に上げる事にした。

娘の嫁ぎ先

2012-06-14 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
松殿「えらく待たせるな…」
中庭の茶会の席を見て、
ピシャッ、
錦鯉が跳ねた。
土岐「もうしばらく、お待ち下さい」
松殿「“ただの”茶会にしては手が込んでいる」
土岐「手が込むなど…。客人を持て成すには、これくらい…」
松殿「はて、君の…名は何と言ったかな?確か…」
一人…、使えそうなのがいます
「珠ちゃん…だったかな」
土岐「…。土岐 珠子(たまこ)と申します」
松殿「そなたは?」
土岐「は…申し遅れました。私、土岐 光衡(とき みつひら)。以後お見知りおきを…」
あまり御近付きには成りたくはないが、礼儀で挨拶を交わしたら、
松殿「一人…」
土岐「は…」
松殿「宮中に上げないか?」と折り紙を見せた。
珠ちゃんは、いくつかな?
折り紙の裏に、
“五つ、もうすぐ六つで、姉様が七つ。姉上は十で…”
数字を書いた。
三姉妹…なのかな?
“ううぅん、四人。妹が一つ。もうすぐ、増えて…0”
きれいな文字を書くね。
“姉上がね、よぉーくよぉーく練習なさいって。それに、お勉強なさいってうるさいの”
一番の上のお姉さんが?
“うん。お勉強しておけば、お嫁さんになれるって”
お嫁さん?
“うん。広いお屋敷にお嫁に行って”
広いお屋敷?

斎藤の娘を!?

2012-06-13 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
白く色が変わって、ペロ…と舐めてみた。その味は、とても…
義隆「甘い…」驚くほど、美味しくて、
斎藤「どうだ、天の味は?」
義隆「お、美味しい…です」
正直、舌が震えた。
初めて口にした味…「これが、アメの味なんだね」
池田「そうだ」
義隆の頭を、ぐしゃっと掴んで、
「斎藤に、礼を言え」ぐい、頭を押さえた。
義隆「あ、ありがとうございます」
俺は初めて、敵に頭を下げる事を覚えた。
“今は、味方だ”
敵が味方になったり、味方が敵になったり、よく分からないけど、
俺は“そういう事”を勉強しなくちゃいけないんだと思った。
斎藤「珠ちゃんに感謝するこったな」
義隆「珠ちゃん、ありがとう…」
珠「良かったね、隆くん♪」
義隆「ん…」コクンと、
池田「…」返事はいい加減だったが、
頭で理解している事と、理性、行動は異なるという事が分かったはず。
私情を挟めば、敵の力量を見誤り、負けを見る。
常に平常、武士道の礼と節を義で通せるか否か。
味方だとしても油断と過信があれば、謀反の引き金となる。
置かれた立場や状況を理解し、機転が利くように成れば、義隆は、
義経「末は、刀持ちだ」
池田「はい」義経さんが、義隆をいずれは刀持ちにと考えているというのは分かっていた。
敵を目の前に私情を挟めば逆上し、刀を抜きかねない。
どうして、斎藤の娘を!?
しかし、冷静な判断が可能なら、主君が敵の娘を正妻にする事があっても、情を抑えられる。
義隆の成長次第だ。斯波さんのバックを守る刀持ちになれるか否か…これからが楽しみだ。

これから、どうすればいい?

2012-06-12 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
義隆「意のまま…?」
斎藤「いいか、人を動かせず、天を取れると思うな」
義隆「人を動かす…」
斎藤「強くなりテェなら、動きを読め。心を見ろ。相手の出方を考えろ」
池田「有り余る力は駒が持てば良い。駒を進めるには、手綱を取れ。義隆」
と、そこへ、「なかなか興味深い話だな」と、
義経「和田…と、巴」
斎藤「和田…桐生足利の?」
和田「如何にも。懐かしいな、練アメか」
斎藤「御一つ、どうぞ」巴御前に割った箸を差し出し、
巴「わぁい、戴きまっす」ネリネリ練って、
珠「おばちゃん、お上手ね」
巴「…。おばちゃん…じゃないわよ」キッと珠ちゃんを睨んで「まだ、三十五よ」
珠「“あやめおばちゃん”と同じ年だ」
巴「あやめ?おばちゃん?」
斎藤「三十過ぎたら、皆オジサン、オバサンだ。どうぞ…」和田に箸を差し出した。
和田「戴こう」←推定三十九歳。
バキッと箸を割って、
「四十過ぎたら、おっさんか…」
巴「義隆は?舐めないの?」
義隆「…」
斎藤「意地張ってネェで、こっちに来いって」
珠「ねぇ、隆君もネリネリしようよぉ」
お箸を割ろうとして「てぇ…割、れ、なぁいぃ…のぉ」
義隆「珠ちゃん…」に歩み寄って、
「…貸して」割り箸を珠ちゃんから受け取った。
力一杯、
バキッと箸をへし折って、
「これから、どうすればいい?」
珠「このツボのアメに、お箸付けてぇ…。くるくるくるっと巻いてぇ」

天の刻、地の利、人の和よ

2012-06-11 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
義隆「アメ…」
斎藤「欲しんだろ?」
義隆「ゴク…」生唾を飲み込んだ。
意地を張っているが、本音は欲しい。
というより、
輪の中に入りテェと見た。
斎藤「ガキのクセに抑えちまって、」
ペロ…ッとわざと美味そぉうにアメを舐めて、
「これから、でっかい天の争奪戦だってのに…なぁ」
義隆「でっかいアメ」
池田「…」チラッと義経さんを見た。彼は黙って、事の成り行きを眺めていた。
義隆の資質を量っている。
無論、斎藤も探っている。
斎藤「己が利得んがため頭を使え。敵の懐、情に入り、甘い蜜を吸え」
義隆「り?何…それ、分かんない…」
“利”
池田「勝利の利。勝ち得た者のみが味わえる美酒…」
アメのツボを持って、
「満足感、充足感、達成感…そして、功利…勝利の功績、利益の味だ」
義隆「勝…」
池田「事を無し得ようとする時、好き嫌いの感情論で動くな。相手がもたらす利を考えろ」
義隆「利…」
斎藤「敵の手に落ちた天を、お前なら、どうする?」
人差し指で、天を指し示した。
義隆「天…」見上げた空は広く、青く澄んでいた。
義経「この広い天を動かしたい思わないか、義隆?」
義隆「動かす…」
“あなたは、天から与えられた“運”という可能性を試されているのです”
能(よ)り可(よ)しと成す
義経「天を、意のまま動かしてみたくないか?」

天の争奪戦

2012-06-10 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
池田「伊達のつまみ食いで捕まるほど愚かではなく、」
義経「無闇に腹を見せる蝮(マムシ)じゃない」
斎藤「いつ牙を剥くか知れないヤツを傍に置いていいのか?」
池田「毒を以て毒を制す。命と引き換えに毒を盛るヤツはいない」
義経「それに、独りで毒に走るほど愚かではない」
斎藤「まだ熟してねぇってか」チラッと義隆を見て、
義隆「…?」
義経「婚活中だろ?」
斎藤「で、美人スパイを派遣か?」
義経「残念、美人らしいがスパイじゃない。照さんのご好意だ。俺らの関知する所じゃない」
池田「照さんが、お前を買っている。無論、斯波さんもだ」
斎藤「で、昨日の敵を今日のバック(味方)に就かせた?」
義隆「バック…」
池田「蝮ほど心強い腹心はなく、これほど腹黒い側近はいない」
斎藤「危なっか臣下ってか?」
池田「…」
義経「危なっかしいほどに、世は均衡と秩序を保とうとする」
池田「如何にも。蝮のバックでは後が無い」
斎藤「俺を取り込む、最大の賭けって訳だ」
池田「お前と真っ向勝負しようとは、誰も思わん」
斎藤「情で繋ぎ止める?」
義経「ほいほいと軽い情に流されるお前じゃない」
池田「しかし、情に厚く、仁と義と貫いた愛は無い」上杉景虎軍師 直江兼続さんです。
斎藤「戦わずして、勝つ戦法か…」道三の子 斎藤義龍→羽柴秀吉軍師 竹中半兵衛さんです。
義隆「戦わず?」
池田「勝利とは多くの人命の上にだけあるのではない。駒を喰うか喰われるか、心理戦だ」
斎藤「おい、坊主。天が欲しいなら、こっちに来い」
義隆「てん…?」
斎藤「頭の足りない僕ちゃんにはちょっと難しい話か?ここでいう…」ツボを持って
「これだよ」

仇だとしても…

2012-06-09 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
みんなして、楽しそうにアメを練って、
義隆「…先生、ひどいよ…分かんないよ」
どうして、斎藤なんかと。敵(かたき)なのに…。
池田「…」
斎藤「まだ、スネてたのか?」
義隆「父上まで、一緒になって…」
義経「ぺろ…と(・・)」
義隆「匠兄ちゃん殴ったヤツなのに、一緒にアメなんか舐めちゃってさッ」
義経「義隆…。父上だって、アメ舐めたいんだぞ」舐めさせろよ。
池田「子供に、そんな事言っても通用しませんよ」
義隆「何でだよッ、そいつは、敵だろ!」
義経「今は、味方だ」はぐっとアメを口に含んだ。
斎藤「…」
義隆「味方…?」
池田「俺と同様に、斯波さんの下に就いた」
義隆「え…?」
池田「子供のお前には理解し難いだろうが、大人の社会では虫の好かぬヤツと表面上だけでもにこやかに、嫌でも隠してお付き合いせねばならん
斎藤「おいおい、なんて言い草だ…」肩をすくめて…「昔の、相棒に」
義隆「昔…?」
池田「ツルんでいた」
義隆「先生と…?じゃ、なんで、匠兄ちゃん、殴ったッ!?」
斎藤「そん時は、敵だった。それだけだ」
義隆「敵…で、今、味方?分かんないよ」
池田「力有る者を敵に回すより、味方にする方がはるかに有利」
斎藤「蝮がとぐろを巻いて、機を伺ってるかもよ?」
義経「無論、謀反の疑いあり。厳戒態勢は敷いている」
斎藤「信用はしてねぇってか?」
池田「だが、こちら側に就いた方が、はるかに有利と考えている。だろ?」
斎藤「流石は元 相棒。御見通しか…」

作戦会議

2012-06-08 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
頭突きを喰らって、義隆「くぅ~ッ」頭を抱えた。
池田「誰に対する申し立てか…」
その節操の無い口の利き方を注意するため、
義隆「ヴぇ゛い゛ヴぇい゛ッ(痛いたい)!!」
池田「問答無用」米神をぐりぃぐりぃと、ぐぅで潰した。
斎藤「電気痙攣療法で…急所の一つ」骨の一番薄い部分で「かなりイテェお仕置きだな…」
義隆「イッ…てぇッ」地べたに座り込んで「先生ッ、痛いよッ」米神を抑えた。
義経「父兄の前でも容赦のねぇ先公だな」
池田「府警(父兄)だろうが、県警だろうが悪い事は悪いでしょ」
義経「見えないとこでこっそりやれよ」
池田「露見する時はします」壁に耳あり障子に目あり。
斎藤「全く、怖ぇご時世だ」
くるくるりんと巻いて、アメをなめ…「と?」
義経「ひょいと」斎藤から、アメを引っ手繰って、
斎藤「横取りすんなッ」二人が問答している隙に、
池田「パクッ」と口の中にアメを入れて「漁夫の利です」
義経「…。兵の損失を最小限に城責め落とすタイプ…」
斎藤「知能戦略型だな」
池田「あ、閃いた」チュッパチャプスみたいに銜えながら、そこらへんに生えている草を、
ガッとむしって、草とアメをくるくるくるくるんと練り合わせて、
池田「…舐めます?」
義経「毒草じゃねぇだろうな」池田を睨んだ。
池田「安心して下さい。やる時は、姑息な手使いませんよ」ふ…、うっすら笑った。
義経「…。その笑み、信用失くすぞ」べ…と舌を出して、ペロ…と舐めたら、すぅ…とした。
斎藤「薄荷(はっか)か」ハーブをむしって、のど飴を作って「しかし、子供には強ぇな」
池田「なら、これは?」抹茶粉を合わせて、
義経「抹茶飴…」ペロッと舐めて、
斎藤「年配向きじゃねぇ?」
池田「なら…」花を摘もうとして、
斎藤「いい加減にしろ」止められた「新商品開発会議じゃねぇんだぞ。どんどこアメ作んな」